コラム

初心者が知っておきたい世界の赤ワイン事情まとめ ~オーストラリア・ニュージーランド編 ~

インフォグラフィック「Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine」など、複数の記事・書籍を参考にして世界各国の赤ワイン事情を取り上げていく本連載。今回も引き続きワインの「新興勢力」の一角であり、ここ十数年で飛躍的な成長を遂げて、脚光を浴びているオーストラリアとニュージーランドの赤ワイン事情を取り上げていこう。

Pinot Grigio prior to harvest, vintage 2012

世界的評価が高まるオセアニア地域の赤ワイン

オーストラリアでワインが最初につくられてから、実はまだ200年も経っていない。しかし、ワインづくりの歴史は浅くとも、科学技術に基づいたワインづくりを推進することで、進取の精神に溢れた高品質なワインを産み出すようになった。

そんなワイン「新興勢力」のオーストラリアからは、従来の常識にとらわれない合理的な考えから、「カスクワイン」と呼ばれる箱に入ったボックスワインや、コルクに代わるスクリューキャップなどが生み出されてきた。

Lovely Art Work

一方、ニュージーランドでは、白ワインのソーヴィニヨン・ブラン種が全体の収穫量の約7割を占めるが、赤ワインのピノ・ノワール種の人気も高く、生産量が伸びている。

それでは続いて、両国でつくられる赤ワインの特徴を紹介しよう。

Wine Glasses at Lunch

オーストラリア

オーストラリアでぶどうが栽培されているのは南緯31~43度の地域。南オーストラリア、ヴィクトリア、ニュー・サウス・ウェールズ、西オーストラリア州の4つの州に集中している。

ぶどうはオーストラリア土着の固有種はなく、ヨーロッパや南アフリカから持ち込まれたものだ。2400を超えるワイナリーが100種以上のぶどうを栽培している。温暖な地中海性気候に加えて水はけの良い肥沃な土壌がぶどう栽培に適している。

Vineyard

オーストラリア産赤ワインの主要品種は、シラーズ種、カベルネ・ソーヴィニヨン種、メルロー種だ。概して言えるのは優雅で豊潤な香りを持ち、イチゴやベリー系のフルーティーな味わいを楽しめるということだ。ただし、西部に行けば行くほど、南部に行けば行くほど、味わいがより複雑化してくることは覚えておいてほしい。

また、お手頃価格で楽しめるワインが多いことも人気に拍車をかけている。約1300~2000円の価格帯で、十分満足のいく赤ワインが楽しめてしまう。

もちろん、日頃から楽しむための廉価なワインもあれば、ちょっとワインにうるさい人や専門家も満足できるほど高品質な少し値の張るワインもある。価格も質もバラエティに富んでいるのが、オーストラリア産赤ワインの特徴と言えよう。

wine

ニュージーランド

ニュージーランドでぶどうが栽培されているのは、南緯36~45度の地域。マールボロ、ホークスベイ、ギズボーンが3大生産地だ。ちなみにギズボーンは世界で最も東に位置するワイン産地。南島南部のセントラル・オタゴは、世界最南端にあるワイン産地だ。

気候は涼しい海洋性気候に属し、ぶどう栽培には最適だ。ニュージーランド産赤ワインの主要品種はピノ・ノワール種、メルロー種、カベルネ・ソーヴィニヨン種だ。特にピノ・ノワールからつくるワインは、渋みが少なくフルーティーな味わい。初心者でも飲みやすく、世界的にも評価が高い。

Lunch at the Brancott Estate

ニュージーランドは、あと25年もすれば、フランスワインを凌ぐ高品質な赤ワインを産出するのではと期待している専門家もいる。ただし、ぶどうの木が十分に成長するまで時間を要するため、あと25年もするまではフランス産赤ワインの「フルーティー版」とでもいうべき位置付けになるだろう。

Te Mata Estate

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