コラム

初心者が知っておきたい世界の赤ワイン事情まとめ ~スペイン・ポルトガル編 ~

インフォグラフィック「Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine」など、複数の記事・書籍を参考に、世界各国の赤ワイン事情を取り上げていく本連載。今回取り上げるのはスペインとポルトガルだ。
Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine

気候、土壌がもたらすバラエティに富んだスペインの赤ワイン

まずは「情熱の国」、スペインの赤ワイン事情を取り上げる。

スペインの赤ワイン生産量は、イタリア、フランスに次いで世界第3位だ。ぶどう栽培面積では世界一を誇る。

スペインの赤ワインは濃厚な味わいが特徴。濃厚な味わいになるのは、地質上、地理上の要因が大きく関係している。

夏は日ざしが強く、土壌は乾燥しやすいので、ぶどう樹が低木に育つように枝を剪定しているのだ。低木になればそれだけ味は1つのぶどうの房に集まり、ワインの味はより凝縮するというわけだ。

Uvas negras colgando del viñedo

スペインの赤ワインを特徴づける樽熟成

スペインでは、「オーク樽での長期熟成」=「上質なワイン」と信じる人は多い。実際、スペインの高級赤ワインには、品質による等級以外にも、樽の中での熟成期間に関して細かい規定が定められている。

熟成期間の長いものから「グランレセルバ」、「レセルバ」、「クリアンサ」、「ホベン」という区分がある。グランセレバは60カ月以上の熟成を経ていて、そのうち330リットル以下のオーク樽で最低18カ月の熟成が必要だ。

Haro

レセルバは36カ月以上熟成されていて、そのうち330リットル以下のオーク樽で最低12カ月の熟成が必要とされている。
クリアンサは24カ月以上の熟成を済ませていて、そのうち330リットル以下のオーク樽での熟成期間はレセルバの半分、6カ月が求められる。

なお、ホベンに関しては樽熟成の規定はない。

そういった事情もあり、ホベンを除いて、スペイン産の赤ワインは長期熟成とオーク香が特徴となっている。特にクリアンサはローストしたバニラビーンズと柔らかい土壌のほのかな香りを併せ持つ。

287/366: Azpilicueta

スペイン各地の赤ワイン

リオハではテンプラニーリョ種での赤ワインの醸造が主流だ。テンプラニーリョ種の栽培比率が80%を占める。リオハでの赤ワインはオーク香、バニラ香に加え、チェリーのような酸味とビールが発するような香りもあるのが特徴だ。

リベラ・デル・ドゥエロでは、在来のぶどう品種ではなく、テンプラニーリョ種を他地方から取り寄せて栽培している。そのため、味は自然とリオハに似ている。

スペイン北西部ビエルソの赤ワインは個性的だ。さび、ハーブ、火打ち石の味わいを感じられるという。

プリオラートでは、豊潤で高価なワインが醸造される。濃厚な果実味、スパイシーなテイストに加え、細かく粉砕された石板の土壌に覆われていることから、ミネラル香が感じられる。

テラ・アルタとモンスタンは、ちょっと控えめなプリオラートといった印象だ。フレッシュなタイプの赤ワインが多い。

近年、カタルーニャ、フミージャ、ラマンチャでは、軽めのワインへの需要が増えていることから、かなりフレッシュでお手頃価格なワインづくりへのシフトが見られる。

Vendimia Ribera de Duero 2015

次にポルトガルの赤ワインを見ていこう。

ポルトガルのワイン醸造は過渡期

ポルトガルはヨーロッパの中でも、最も古くからワイン文化を持つ国のひとつである。

Barco Rebelo

これまで、主に協同組合がワイン醸造を統制してきたが、近年才能豊かな醸造家も出てきて、
個性的なワインの生産に新たな可能性を期待できる。

ポルトガルの赤ワインには、ポートワインと同じぶどうの品種を使用したものがあるが、辛口の良質なワインが醸造されている。

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