Wine Spectatorが1999年1月に発表した「Wines of the Century(20世紀を代表するワイン)」。20世紀にリリースされた数多くのワインの中から、厳選された12本のワインを1本ずつ紹介していく。
Wine Spectatorに選び抜かれた12本とは、一体どんなワインなのだろうか。第7回となる今回は、シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年を紹介していく。
「シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年」はどんなワイン?
フランス・ボルドーのサンテミリオン地区にあるシャトー・シュヴァル・ブラン。サンテミリオンの格付けにおいてプルミエ・グランクリュ・クラッセ・アー(第1特別級A)に格付けされている。
シュヴァル・ブランの他に、オーゾンヌ、ディケム、ペトリュスなどをメドック格付け第1級の5大シャトーに加えて、「ボルドー9大シャトー」と呼ぶこともある。
シャトー・シュヴァル・ブランの記念すべきヴィンテージが生み出された1947年は、5月以降、前年よりも暑い日が続いた。ぶどうは平年よりも早く収穫されたが、すでにぶどうは完全に熟しきっていた。糖度の高いぶどうを使ったことで、ワインのアルコール度数は通常よりも高い14.4%となった。
糖度が高いため、発酵には苦労したそうだ。発酵後にも糖分が1L当たり3g残り、揮発性酸度もかなり高くなった。しかし、それがワインの骨格を形作り、アロマを構成する結果となった。
ロバート・パーカー氏の著した『ボルドー 第3版』によると、そのセパージュはカベルネ・フラン66%、メルロー34%だという。
1947年が特に高い評価を受けているが、続く1948年、1949年も素晴らしいヴィンテージとなったことで知られている。
「シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年」に対する評価
シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年にはロバート・パーカー氏も100ポイントを付けた。著書『ボルドー第3版』では次のように絶賛し、1947年ヴィンテージの価格を高騰させることになった。
ドライな赤のテーブル・ワインというよりポート・ワインに近いこの巨大なワインについて何を言えようか? 1947年のシュヴァル・ブランの舌触りには、車のオイルを思わせるような通常の2倍もの厚みがある。フルーツケーキ、チョコレート、なめし革、コーヒーと東洋風のスパイスの巨大なノーズは度肝を抜くほどだ。とろりとした舌触りと、甘い果実味の豊かさは驚異的である。
このようにシャトー・シュヴァル・ブラン 1947年については、多くのワイン愛好家や批評家によって、典型的なボルドーのワインというよりも、濃厚でポート・ワインを思わせる味わいだと指摘されている。
大物ワイン評論家のマイケル・ブロードベント氏は、2002年発行の著書『Vintage Wine』の中で、シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年を「史上最高のワインのひとつ」と表現している。
「シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年」にまつわるエピソード
シャトー・シュヴァル・ブラン 1947年は、オークションなどにおいて非常に高値で取引されるワインとしても知られている。
Wine Searcherによると、2018年2月時点でヴィンテージを問わずに算出したシャトー・シュヴァル・ブランの平均価格は1万ドル(約111万円)以上。1947年ヴィンテージに限ると、日本の通販サイト「オールドビンテージ・ドットコム」において418万7160円(税込)で販売されている。