2018年4月に東京・日比谷公園で開催された「日本ワインMATSURI祭」。そのオープニングセレモニーでは、国税庁の田村公一酒税課長があいさつに立った。
田村酒税課長は「日本ワインは近年元気がよく、特に伸びている分野だと認識しています」と語り、国税庁が行っている日本ワイン活性化のための取り組みについて説明してくれた。
国税庁の取り組み1:日本ワインの定義を明確化
ラベルを見れば消費者が「これが日本ワインなのだ」と分かるように、国税庁は3年前に日本ワインに関するルールを整備した。このルールが2018年10月30日から完全施行される。
国産ぶどうのみを原料としたものだけが「日本ワイン」と表示できるようになり、国内で醸造したものでも輸入濃縮果汁や輸入ワインを原料としたものは「日本ワイン」とは記載できない。また、裏ラベルの原材料名に「濃縮還元果汁」などの表示が義務付けられることとなる。
これにより、消費者が国産ぶどうでつくられた日本ワインを選びやすくなる。さらに地名、ぶどうの品種、ぶどうの収穫年を表示できる場合のルールや表示方法も国税庁によって定められた。
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国税庁の取り組み2:地理的表示
フランスのAOCのような地理的表示制度は、日本にもある。その産地でつくられたワインの品質・評価が、主に生産地に由来することを国税庁が認定し、その産地でつくられた一定以上の品質を持つワインにだけ、その産地名を表示できる制度だ。
どのような地理的な特性を持ったワインなのか、日本国内だけではなく世界中の消費者に明示される。
現在、日本ワインで地理的表示が取得されているのは「GI山梨」(GI Yamanashi)のみ。しかし「そのほかの地域においても地理的表示を取る動きがあり、支援していきたい」と、田村酒税課長はコメントしていた。
国税庁の取り組み3:国際交渉
2019年の発効を目指している「日EU経済連携協定」(EPA)。合意の中には、ワインを輸入する際にかかっていた関税の撤廃が盛り込まれている。今まで日本産のワインをEUに輸出する際にかかっていた関税も即時撤廃されるとのこと。
日EU経済連携協定(EPA)が施行されれば、ワインの本場であるEUに向けた日本ワインの輸出にとって大きな後押しになるのではないかと期待されている。
国税庁も期待する「日本ワインの活性化」。今後どのように進んでいくのかが楽しみだ。