メルシャンは2017年10月17日、長野県・塩尻市に「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー」、同・上田市に「椀子ワイナリー」を新設すると発表した。山梨県・甲州市勝沼町にある「勝沼ワイナリー」を含めたこれら3つのワイナリーで、メルシャンが手掛ける日本ワインの販売数量を2016年の3万5000箱から2027年には6万7000箱へ拡大する考えだ。
桔梗ヶ原ワイナリーは、桔梗ヶ原という銘醸地でワインづくりに特化するガレージワイナリーとする。2018年9月オープン予定で、初年度の生産は赤ワイン中心に1000~1500箱の計画だ。
椀子ワイナリーは、畑から醸造までを一貫してすべて体感できるブティックワイナリーを目指す。2019年秋のオープン予定、北信のシャルドネなどを使った白ワインと赤ワインを醸造し、初年度は5000箱を生産する。
桔梗ヶ原と椀子のワイナリーは共に、圧力を掛けるポンプなどの機械に頼らず、ぶどうやワインを重力によって自然に移動させる「グラビティ・フロー」式の設備を導入するという。
また既存の勝沼ワイナリーは見学通路を一部改修し、これまで未開放だった醸造設備も見学できるようにする。勝沼ワイナリーは年間約5万箱のワイン生産を担うことになる。
桔梗ヶ原と椀子のワイナリー完成後は、「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー」は桔梗ヶ原ワイナリー、「同 マリコ・ヴィンヤード オムニス」は椀子ワイナリー、「同 城の平カベルネ・ソーヴィニヨン」は勝沼ワイナリーにおいて醸造するといったように、各ワイナリー近くの自社管理畑から採れるぶどうを使って最高峰のワインを生み出していく構想だ。
ワイン人気でワイナリー新設が急務に
国内のワイン消費量はここ10年ほど右肩上がり。2015年のワイン消費量は37万337kLと、10年前の1.55倍に拡大している。
ワイン人気が高まる中、日本で育ったぶどうを使用して日本のワイナリーで醸造する「日本ワイン」にも注目が集まっている。日本ワインのシェアは2015年、国内ワイン市場全体の5%ほどにとどまったものの、前年の約162万箱から32.7%増の約215万箱へと成長。メルシャンの提供する日本ワインも、2017年1~9月累計で約1万7000箱と前年同期比9%増となっている。
このように日本ワインへのニーズが高まってきたことで、勝沼ワイナリーの製造キャパシティが一杯になり、日本ワインの販売を増やすには製造拠点の拡大が必要になった。そうした背景もあって、ワイナリーの新設に踏み切ったと説明している。