コラム

マッツェイ家が24代にわたってワインをつくり続ける名門ワイナリー、カステッロ・ディ・フォンテルートリ~ 解説:イタリア・キャンティ名門ワイナリー

   

イタリア、キャンティの名門ワイナリーを紹介するシリーズ。

今回は、キャンティ・クラシコの品質向上にも貢献し、マッツェイ家が24代にわたってワインをつくり続ける名門ワイナリー「カステッロ・ディ・フォンテルートリ」について、ご紹介していこう。

カステッロ・ディ・フォンテルートリのエピソード

Fonterutoli - Castello di Fonterutoli

トスカーナ地方の名門ワイナリー「カステッロ・ディ・フォンテルートリ」では、1435年から、マッツェイ家が24代にわたってワインをつくり続けている。1900年代前半から同じラベルでつくり続けている「フォンテルートリ・キャンティ・クラシコ 」が、ワインスペクテーター誌でTOP100に選出されるなど、テロワールを大切にするカステッロ・ディ・フォンテルートリのワインは、世界的に高い評価を得ている。また、ワイン業界に大きな影響を与えるワイン評論家のロバート・パーカー氏が「トスカーナで最も信頼できる生産者である」と評している。

カステッロ・ディ・フォンテルートリは、長い歴史を持つだけでなく、トスカーナ地方のワインに大きな影響を及ぼしてきた。23代目当主のラポ・マッツェイ氏は、キャンティ・クラシコ協会の会長を20年間務め、トスカーナ地方のD.O.C.Gワインの1つであるキャンティ・クラシコの品質向上に貢献した。18世紀には、後にアメリカ大統領となったトーマス・ジェファーソン氏の依頼を受け、フィリッポ・マッツェイ氏がヴァージニア州でアメリカ大陸最初のぶどう畑を作るなど、アメリカのワイン業界にも多大な貢献をした。

カステッロ・ディ・フォンテルートリの歴史

Fonterutoli

12世紀からワインをつくっていたマッツェイ家が、1435年にカステッロ・ディ・フォンテルートリを取得。1435年以降、24代にわたって、マッツェイ家がカステッロ・ディ・フォンテルートリを所有しワインをつくっている。

カステッロ・ディ・フォンテルートリは、キャンティ・クラシコ地区の中心部であるカステッリーナ・イン・キャンティに位置する。現在は、20年もの間キャンティ・クラシコ協会の会長を務めてきた23代目当主ラポ・マッツェイ氏を筆頭に、24代目に当たる2人の息子、フィリッポ氏とフランチェスコ氏がワイナリーを運営している。

キャンティ・クラシコの品質向上や、アメリカ大陸でのぶどう畑の開拓など、ワイン業界における貢献度や評価は高いが、マッツェイ家はこれらに満足することなく、新たな挑戦を続けている。1997年にはトスカーナのマレンマに「テヌータ・ディ・ベルグァルド」を、2003年にはシチリアの南東部に「ジゾラ」という2つのワイナリーを設立。その地のテロワールとその地に適したぶどう品種の特徴を表現したワインをつくり出している。

カステッロ・ディ・フォンテルートリのワインづくり

徹底した品質管理

Castello di Fonterutoli

カステッロ・ディ・フォンテルートリでは、テロワールを最大限に活かしたぶどう栽培とワインづくりを大切にしている。そのため、畑を区画に分けて、区画ごとに徹底した管理を行っている。

カステッロ・ディ・フォンテルートリは、カステッリーナ・イン・キャンティにおよそ650haの土地を所有し、そのうちの117 haでぶどうを栽培している。「Belvedere」、「Caggio」、「Fonterutoli」、「Le Ripe」、「Siepi」という5つのエリアに広がる畑を120区画に分け、それぞれのテロワールに適した品種を栽培している。

さらに、同ワイナリーでは、ぶどうの高い植樹率と低い収量を徹底している。キャンティの標準的な植樹率は1haあたり2,500本だが、カステッロ・ディ・フォンテルートリでは3倍の7,500本を植えている。高密度で植樹すると、ぶどうの樹の植樹間隔が狭まるため、樹同士の競争が激しくなる。その結果、葉は光を得るために上に伸び、根は養分を得ようと地中深く伸びて、濃くおいしいぶどうができる。一方、収量は通常の3分の1から4分の1となっていて、選別されたぶどうの房に養分やうま味が凝集されるようになっている。

最先端の設備

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カステッロ・ディ・フォンテルートリは、環境に悪影響を与える方法で生産するべきではないという思想の下、環境にやさしい生産を心掛けている。

2007年には、最新設備を備えた醸造所と天然の地形を活かしたセラーが完成。このセラーは、家族の一員であり建築家でもあるアニエス・マッツェイ氏がデザインしたもので、デカンター誌で「キャンティで最も素晴らしいセラーの1つ」と称賛された。

同セラーは建物の65%が地下にあり、果実・果汁をポンプではなく重力で移動させるグラヴィティフローを採用している。さらに、76のステンレスタンクを備えていて、各区画から収穫されたブドウを別々に醸造している。地下15mにある樽熟庫では、岩壁に天然の湧き水が流れており、湿度と温度が適切に保たれている。

カステッロ・ディ・フォンテルートリのおすすめワイン

Castello di Fonterutoli 2004

フォンテルートリ・キャンティ・クラシコ

1900年代前半から同じラベルでつくり続けられている歴史あるワイン。収穫は手摘み。マセラシオンを16~18日間行った後、225Lと500Lのフレンチオーク樽で12カ月間熟成させる。

キャンティ・クラシコ・リゼルバ・セル・ラポ

キャンティという名は、1398年にラポ・マッツェイ氏が初めて「wine of Chianti」という言葉を公の文章に使用し、記録に残したのが始まりと言われている。その祖先に敬意を表してつくられたワイン。サンジョヴェーゼを主体にメルローをブレンドしている。

キャンティ・クラシコ・グランセレツィオーネ

ワイナリーを代表するワイン。1955年に初めてリリースされた。最良の区画で栽培されたぶどうを使用してつくられたキャンティ・クラシコ最上級のキュヴェ。225Lと500Lのフレンチオーク樽で20カ月熟成させている。サンジョヴェーゼを主体にマルヴァジア・ネーラとコロリーノをブレンドしている。

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