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知識があればあるほど、楽しみが増えるのがワインだ。せっかくワインの勉強をするのなら、「ソムリエ」や「ワインコーディネーター」とまではいかなくても、どれくらい知識があるのかを証明する資格を取っておきたいもの。そんなワイン好きの人に、ぴったりの検定がある。それが、“ワイン知識指標”と称する、全日本ソムリエ連盟(ANSA)の「ワイン検定」だ。
ワイン検定には、全日本ソムリエ連盟が実施するワイン検定と、日本ソムリエ協会(JSA)が実施する「J.S.A.ワイン検定」がある。今回は、全日本ソムリエ連盟のワイン検定について、その種類や受検方法、合格率などの詳細を紹介したい。
全日本ソムリエ連盟の「ワイン検定」とは
ワイン検定は、ソムリエやワインコーディネーターなどの認定資格と同様に、全日本ソムリエ連盟が実施する検定試験だ。1級から3級まであり、いずれも年に1回、試験が開催されている。
ワインの魅力を知り、ワインをより楽しむことを目的としており、幅広いワイン愛好家をターゲットにしている。
「ワイン検定」の試験内容
ワイン検定の出題分野は、「歴史、文化」「造り方」「モラル・マナー」「楽しみ方」「雑学」の4項目だ。具体的な出題内容は、以下の通りとなる。
歴史、文化:飲酒文化、地域文化など
造り方:テロワール、栽培醸造
モラル・マナー:未成年飲酒の危険性や飲酒運転の撲滅など、飲酒のモラル、マナー
楽しみ方:飲用温度、酒器、料理との相性、ラベルの読み方など
雑学:周辺知識、地理など、さまざまなこと
モラル・マナー以外は、全ての級で全日本ソムリエ連盟認定の参考資料『ワインの基』(発行:NPO法人FBO)から出題される。テイスティングはなく、選択式の筆記試験のみとなる。問題数は50問。
「ワイン検定」受検までの流れ
受検資格
ワイン検定の受検資格は、以下の通りだ。
共通:申し込みの時点で20歳以上であること
2級:ワイン検定3級合格者、もしくは「ワインコーディネーター/ソムリエ」取得者
1級:ワイン検定2級合格者
20歳以上であれば、学歴、職業などに関係なく受検できる。幅広い人を対象としており、ワインに興味があって、「ワインの知識レベルを示せる指標が欲しい」「ワインの勉強をするのに目標や基準が欲しい」という人におすすめだ。
検定料
ワイン検定の検定料は、級によって異なる。
3級 3380円(税別)
2級 3889円(税別)
1級 4352円(税別)
いずれも認定料が含まれ、合格後に支払う登録料などはない。参考資料『ワインの基』(本体価格3000円)は各自で購入する。
開催日程と申し込み
ワイン検定は年に1度、午前と午後の2回試験が実施される。開催日はどの級も同じ日で、申し込み時に希望の時間と会場を選択する。
なお、2019年度の開催日程は以下の通りだ。
開催日:2019年9月8日(日)
開催時間:11:00〜11:50(受付10:30)/13:00〜13:50(受付12:30)
申込締切:2019年8月30日(金)
申し込みは、ワイン検定の公式サイトから行える。申し込み後の変更・取り消し・返金はできないので要注意だ。
<関連リンク>
ワイン検定の公式サイト
検定会場
2019年の検定会場は、札幌、仙台、東京(23区内)、大阪、京都、広島、福岡の7カ所。申し込みの時点では検定会場の詳細は公開されておらず、受付後に送られる受検票で通知される。各会場とも定員が限られているため、早めに申し込みたい。
検定試験の勉強方法と合格率
参考資料で事前勉強
受検者は参考資料『ワインの基』を各自で購入し、自分のペースで勉強を進めていく。公式の問題集や対策アプリなどはない。
参考資料は下記の4章から構成されている。出題内容のうち、モラル/マナーについては、同資料には含まれていない。
第1章 ソムリエ/ワインコーディネーターが学習すべきこと
第2章 ワインの基礎知識
第3章 ワインのテイスティング
第4章 ワインのサービス
検定試験の難易度について全日本ソムリエ連盟に質問したところ、「一概に基準を示すのが難しい」とのこと。参考資料には、ソムリエやワインショップ店員などワインの提供者向けの内容も含まれており、自分が挑戦する級はどの章を中心に勉強したらいいか、全日本ソムリエ連盟が示す合格人物像を参考にしながら、勉強を重ねていくといいだろう。
【合格人物像】
3級:ワインおよび周辺知識に関する、基礎知識を習得している者
2級:ワインに関する法律と地理、またその特徴と魅力を理解する者。また、第3者に提供できる者。また、ワインの周辺知識の基礎知識を習得している者
1級:ワインとソムリエおよびワインの周辺知識のあらゆることに精通している者
受検者数と合格率
ワイン検定に合格するには、各級ごとに下記の合格基準をクリアする必要がある。
3級:合格基準は全問題の70%以上
2級:合格基準は全問題の75%以上
1級:合格基準は全問題の85%以上
全日本ソムリエ連盟によると、2018年度までの通算の総受検者数は154人。そのうちの105人が合格しており、合格率は68.2%とのこと。ただし、当日欠席者は不合格としてカウントしている。
合格発表
受検日から40日以内に、受検者全員に検定結果の通知が届く。合格者には、カード型の認定証書も同封される。
「ワインコーディネーター」「ソムリエ」との違い
全日本ソムリエ連盟では、申し込み時に20歳以上なら誰でも挑戦できる認定資格として、ワインコーディネーターとソムリエの2つがある。これらの資格試験にはテイスティングが含まれるなど、ワイン検定と違いがある。
●ワイン提供者向けの資格
ワイン検定は、消費者がよりワインを楽しむための知識取得を目指す検定だ。一方、ワインコーディネーターやソムリエは、ワイン愛好家や学生なども受検可能だが、飲食店従事者や小売店従事者など、ワインの提供者を主な対象としている。
●出題範囲が広い
出題範囲は、ワイン検定と同じ参考資料『ワインの基』に加え、『新訂 もてなしの基』(発行:NPO法人FBO)も含まれる。もてなしやサービスについて掘り下げられ、マネジメントについても範囲に含まれる。
●試験にテイスティングが含まれる
ワインコーディネーターやソムリエの資格取得には、「通信プログラム」「受験プログラム」「2日間集中プログラム」の3タイプのコースを用意してる。通信プログラムは試験はなく、全3回の課題を提出して基準に達すれば合格となる。受験プログラム、2日間集中プログラムについては、学習方法は異なるものの、どちらも最終的に会場で試験が行われる。
それぞれのスタイルに合わせて選択が可能だが、ワイン検定とは異なり、どのプログラムにもテイスティングが含まれている。
●合格後にはFBOに入会する必要がある
試験に合格後、NPO法人FBO(飲料専門家団体連合会)への入会手続きを済ませた後、認定書や認定章が発行される。入会後には、FBOのHPに有資格者として登録される。FBO主催のセミナーが半額で受講できるといった特典もあり、認定後もワイン提供者として勉強を続けたい人や飲食業界への就職を目指す人にはうれしい内容となっている。
日本ソムリエ協会が実施する「J.S.A.ワイン検定」との違い
日本ソムリエ協会が実施するJ.S.A.ワイン検定との大きな違いは、試験当日に講習が受けられるかどうかだ。J.S.A.ワイン検定は、検定試験の前に講習会があり、合格率が9割と高い。
しかし、受検料は「ブロンズクラス」で1万1000円、「シルバークラス」で1万5000円となっており、全日本ソムリエ連盟のワイン検定と比べると安くはない。
自分のペースでワインの学習を重ねていきたいのか、手軽にワインの資格に挑戦したいのかなど、自分自身の目的に合わせて、どちらの検定を受検するかを決めるといいだろう。
関連リンク
ワイン検定の公式サイト