コラム

日本ソムリエ協会「J.S.A.ワイン検定」とは? ワインを楽しむための基礎知識が学べる検定試験

   

ワインは好きだが、「ワインエキスパート」や「ソムリエ」などの資格取得は敷居が高いと感じている人に、ぴったりの検定がある。それが、2012年にスタートした日本ソムリエ協会(JSA)の「J.S.A.ワイン検定」だ。

ワイン検定には、日本ソムリエ協会が実施するJ.S.A.ワイン検定と、全日本ソムリエ連盟(ANSA)が実施する「ワイン検定」がある。今回は、日本ソムリエ協会のJ.S.A.ワイン検定について、その種類や受検方法、合格率などの詳細を紹介したい。

「J.S.A.ワイン検定」とは

J.S.A.ワイン検定は、ソムリエやワインエキスパートなどの呼称資格認定試験と同様に、日本ソムリエ協会が主催する検定試験だ。「ブロンズクラス」と「シルバークラス」の2種類がある。

試験に申し込むと、先にテキストブックが送付される。試験当日は、会場でワインエキスパートの有資格者による講習会を受講した後、検定試験が実施される。

「ブロンズクラス」の試験内容とメリット

J.S.A.ワイン検定のブロンズクラスは、入門編として、家庭でワインを楽しむための知識の習得を目的としている。
試験内容は、ワインの分類や歴史、ぶどうの種類、栽培の条件、ワインができるまでの工程、ワインの選び方やテイスティングのやり方、ワインと料理の相性など、幅広い。

事前に送付されるテキストには、基礎的な知識がコンパクトにまとめられている。試験当日には講習会も開かれ、ワインに関する知識が全くない人でも、ワインの楽しみが広がる知識を効率よく身に付けることができる。ワイン入門書を読む前に、知識の土台づくりとしても役立つ内容だ。

「シルバークラス」の試験内容とメリット

シルバークラスでは、レストランやワインショップで専門家のアドバイスを得ながら、自分に合ったワインを選ぶのに役立つ知識の習得を目指している。
試験は、日本、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ポルトガル、オーストリア、アメリカ、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドの13カ国について、その産地ごとに歴史や気候、栽培されるぶどうの種類、格付けなどが出題される。

試験前の講習会では、ソムリエやワインショップの店員とスムーズにコミュニケーションがとれる知識を学べるため、自分好みのワインを選びやすくなる。

どちらのクラスも、単なる検定試験ではなく、資格を持つ専門家の講習が受けられるのがメリットだ。合格者には後日、認定カードとタスト・ヴァン(利き酒用の銀製杯)をかたどった認定バッジが授与される。さらに、シルバークラスの合格者には、「シルバークラス」の呼称が記載された名刺が授与される。


[出典]一般社団法人日本ソムリエ協会


[出典]一般社団法人日本ソムリエ協会

「J.S.A.ワイン検定」受検までの流れ

受検資格

J.S.A.ワイン検定の受検資格は、以下の通りだ。

ブロンズクラス:検定日当日に20歳以上であること
シルバークラス:J.S.A.ワイン検定ブロンズクラス認定者

受検資格に国籍は問われないが、テキストブックや講習会、試験は日本語のため、日本語での読み書きができる必要がある。
幅広い人を対象としており、ワインに興味があって、「ワインの基礎的な知識を学びたい」「ワイン好きをアピールできる資格を手軽に取りたい」という人におすすめだ。

受検料

J.S.A.ワイン検定の受検料は、クラスによって異なる。

ブロンズクラス:1万1000円
シルバークラス:1万5000円

いずれもテキスト代と認定料が含まれ、合格後に支払う登録料などはない。

開催日程と申し込み

ブロンズクラスは年3回、シルバークラスは年1回検定試験が開催される。どちらもテイスティングはなく、選択式の筆記試験のみとなる。
なお、2019年度の開催日程は以下の通りだ。

・ブロンズクラス(年3回)
開催日:2019年4月6日(土)・7日(日) *開催終了*
開催時間:14:20~16:40(講習会・休憩・検定試験含む)
受付期間:2019年2月7日(木)~3月7日(木)

開催日:2019年6月26日(水)・27日(木)
開催時間:14:20~16:40(講習会・休憩・検定試験含む)
受付期間:2019年5月1日(水)~5月30日(木)

開催日:2019年9月28日(土)・29日(日)
開催時間:14:20~16:40(講習会・休憩・検定試験含む)
受付期間:2019年8月1日(木)~8月30日(金)

・シルバークラス(年1回)
開催日:2019年11月23日(土)・24日(日)
開催時間:14:10~17:00(講習会・休憩・検定試験含む)
受付期間:2019年9月27日(金)~10月27日(日)

いずれもJ.S.A.ワイン検定の公式サイトから申し込みが可能。開催日と試験会場を選択し、申し込みと決済を行う。WEB決済後、申込受付期間内に限りキャンセル可能、それ以降はできない。

<関連リンク>
J.S.A.ワイン検定の公式サイト

試験会場

J.S.A.ワイン検定の会場は、全国各地の講師が設定した場所から選択できる。ワイン学校の教室やワインバー、講師の自宅など、会場はさまざまだ。
都道府県によっては開催場所がないこともあるが、東京23区では、毎回多くの会場が設定されている。会場へのアクセスで選んでもいいし、講師のプロフィールを見て選んでもいいだろう。

検定試験の勉強方法と合格率

事前にテキストブックを送付

試験に申し込むと、受検料の支払い確認から1週間前後でテキストブックが送付される。このテキストブックの中から試験問題が出題されるため、少しでも早くテキストブックを受け取りたい人は、早めの申し込みをおすすめしたい。

テキストで事前勉強、講習会でポイント復習

ブロンズクラスの講習会は90分。テキストブックは20ページと少なめで、試験直前の講習会でポイントを押さえておけば、試験の準備は十分だ。
シルバークラスの講習会は120分となる。テキストブックは80ページで、ブロンズクラスのおよそ4倍だ。事前にテキストブックに目を通した上で、講習会でポイントを復習するのがいいだろう。

過去問題は公開されていないため、事前勉強はテキストブックに目を通し、分からないことがあれば試験会場の講師に質問をして、試験に備える。
講師によっては、検定試験日の前に、ポイントを押さえた解説メールや試験準備用のクイズを送ってくれる場合もある。

受検者数と合格率

J.S.A.ワイン検定に合格するには、満点の70%の点数取得が必要だ。日本ソムリエ協会によると、合格率は「ブロンズ、シルバー合わせて約9割」とのこと。落とすための試験ではないことが、合格率からもよく分かる。

これまでの総合格者数は非公開だが、総受検者数は以下の通り。

 【ブロンズクラス】
  第1回2012年11月開催~第14回2018年9月開催まで 約1万2400人
 【シルバークラス】
  第1回2014年開催~第5回開催まで 約4400人

合否は、当日もしくは数日中にメールで通知される。認定カードと認定バッジは、約1カ月後に郵送される。

全日本ソムリエ連盟が実施する「ワイン検定」との違い

J.S.A.ワイン検定とワイン検定の大きな違いは、講習が受けられるかどうかだ。また、J.S.A.ワイン検定は、申し込み後に送付されるテキストブックからの出題となるため、勉強しやすく、合格率も高い。

一方、全日本ソムリエ連盟が実施する「ワイン検定」は、筆記試験のみとなる。その分、検定料が3650~4700円(テキスト代は別)と、比較的安い金額で受検できる。試験内容は、ワインおよび周辺知識に関する基礎知識、関連の法律や文化・歴史、モラル・マナーなど、より詳しい知識が求められる。
自分自身の目的に合わせて、どちらの検定を受検するかを決めるといいだろう。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ