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メルシャンは2019年9月4日、新しい欧州産オーガニックワイン4種類のテイスティング会を開催した。ワインに合うおすすめ料理の紹介もあり、食事とともに楽しめるオーガニックワインだという自信が感じられた。
なぜ今、メルシャンは、“欧州産”そして“オーガニック”に注目するのか。テイスティング会で語られた内容を紹介する。
輸入関税撤廃で人気が高まる欧州ワイン
2019年2月1日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効され、ワインの輸入関税が撤廃となった。その効果もあり、同年2~7月にかけてのメルシャンの欧州ワイン主力商品の販売量は全体で対2018年比110%、ブランド別では「コドーニュ」が同125%、「ドメーヌ・カズ」が同146%、「メスタ・オーガニック」に至っては同521%と、順調に増加している。
日本における欧州産ワインの輸入量も112%と増加しており、欧州産ワインへの注目が高くなっていることがうかがえる。
こうした傾向について、メルシャン マーケティング部輸入グループ長の山田一幸氏は、「よりお求めやすい価格での提案をできるようになってきたが、それだけではなく、さまざまな魅力や価値をお届けしたい」と語る。
その価値の1つが、“オーガニック”だ。
オーガニックワインとは
「自然」「品質の良さ」「体に良い」というイメージのあるオーガニックワイン。科学的な肥料や農薬、除草剤を使わない、有機農法のぶどうからつくられたワインのことだ。自然の営みを引き出して高品質のワインを目指す方法だが、病気などを予防するために、生産者は手間のかかる栽培をしなくてはならない。
オーガニックワインの認証機関は、EUの「ユーロリーフ」、フランスに本部を置く「エコサート」をはじめ、フランスの「ビオディバン」、スペインの「ソヒスサート」、イタリアの「ビオアグリサート」など、さまざまなものがある。それぞれの厳しい基準をクリアした確かなワインだけが、オーガニックワインの認証を受けることができるのだ。
ワイン伝統国で広がるオーガニックへの転換
日本における輸入スティルオーガニックワインの販売量は、2014年から2018年までに44%も増加している。ボリュームをけん引しているのが、フランス、イタリア、スペインというワイン伝統国の主要3カ国だ。
この3カ国では、オーガニックのぶどうの栽培面積が拡大し続けており、特にフランスでは名門ワイナリーがオーガニックへ転換している。
以下にその例を挙げる。
●ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(フランス)
2000年頃からオーガニック農法に取り組み、2006年にはビオディナミへ転換。
●シャトー・ラトゥール(フランス)
2018年、メドック格付け第1級シャトーで初めてエコサート(世界最大級のオーガニック認証団体)の認証を取得。
●ルイ・ロデレール(フランス)
2020年には、シャンパン「クリスタル」の畑を100%ビオディナミへ転換する予定。
●シャトー・ディケム(フランス)
数年内に完全オーガニックへ移行。いずれはビオディナミへの転換を目指す。
●アルベール・ビショー(フランス)
2012年からオーガニック栽培に移行し、2018年にはワインのオーガニック認証を取得。
高品質なオーガニックワインを手頃な価格で
メルシャンでは、エコサートによるオーガニックの認証を得ている藤沢工場で、輸入した欧州ワインのボトリングを手掛けている。これによって、高品質なオーガニックワインを、より手頃な価格で提供することを可能にした。
藤沢工場でボトリングしているオーガニックワインは、「ラ・コロンバ・ピッコラ」「ベル・フルール オーガニック」の2ブランドだ。
今までオーガニックワインに対して、「興味はあるが高い」と感じていた人にも、1000円以下の高品質で、コストパフォーマンスに優れたオーガニックワインを増やすことで手に取ってもらえればと、メルシャンでは考えている。
ヘルシーさだけではない、オーガニックの価値
さらに今、海外で重視され、今後日本でも広がっていくと考えられているのが、「エシカル消費」だ。
エシカル消費とは
エシカル消費とは、買い物を通じて人や社会、環境に配慮する消費行動のこと。その例として、エコバックやマイボトルの使用、プラスチック製ストローの廃止、食品ロスの削減などの取り組みが挙げられる。持続可能な社会づくりに向けて、企業に環境への取り組みや貢献を求めるエシカル消費は、欧州で広がりを見せている。
International Trade Centre, European Commissionが2019年5月に公表した調査では、欧州の85%の小売業者が、過去5年でエシカル商品の販売が増えたと答え、92%が今後5年でエシカル商品の販売が増えるだろうと回答している。
オーガニックワインの魅力は、ヘルシーさだけではない。オーガニックは環境にも優しい栽培方法のため、エシカル消費を重視する人々にも安心して手に取れる商品だ。
料理とともに楽しむオーガニックワイン
テイスティング会では、ワインとともに、「DRAWING HOUSE OF HIBIYA」の島田治夫シェフによる料理も紹介された。4種のオーガニックワインと、秋のオーガニック食材をメインに使った料理がこちらだ。
コドーニュ バルセロナ 1872 ロゼ オーガニック
品種:ガルナッチャ、ピノ・ノワール、トレパット
生産者:コドーニュ
国:スペイン
原産地呼称:D.O.カバ
参考小売価格(税抜):1660円
●おすすめ料理「生ハムのリエットズッキーニのマリネ」(写真中央下)
イタリア産生ハムのリエットと北海道産のオーガニックズッキーニのマリネを、高知県産のさんしょうとミントを使って爽やかな香りで仕上げた。スパークリングに合うように仕上げられている。
メスタ テンプラニーリョ オーガニック(赤)
品種:テンプラニーリョ100%
生産者:ボデガス・ファンタナ
国:スペイン
参考小売価格(税抜):900円
●おすすめ料理「ローストポークと北海道産インカのめざめ」(写真左)
青森県産カシスとの香りが楽しめる、ローストポークと雪室で熟成させた北海道産インカのめざめのピンチョス。豚肉、ジャガイモの甘みを、ベリー系の酸味で引き立てている。フレッシュ感の強いワインに合わせるため、余計な味わいのない食材を使用。豚肉のうま味との相性も抜群だ。
カノン・デュ・マレシャル ロゼ 2018
品種:シラー50%、ムールヴェードル50%
生産者:ドメーヌ・カズ
国:フランス
原産地呼称:I.G.P.コート・カタラン
参考小売価格(税抜):1640円
●おすすめ料理「信州サーモンのオープンサンドとケールのコールスロー」(写真右)
オーガニックのケールとアップルビネガーを使用し、コールスローと低温調理した信州サーモンをオープンサンドにした1品。サーモンとロゼのピンクを目で楽しめる。ワインとのペアリングを考える際には、色味を合わせるのもおすすめだ。
ラ・コロンバ・ピッコラ カタラット オーガニック
品種:カタラット・ルチード100%
生産者:コロンバ・ビアンカ
国:イタリア
原産地呼称:I.G.T.テッレ・シチリアーネ
参考小売価格(税抜):870円
●おすすめ料理「稚鮎のコンフィと加賀太キュウリ」(写真中央上)
ごま油を使い、1時間ほど低温でじっくり火を入れた稚鮎(ちあゆ)と味わいの濃い加賀太キュウリのマリネ。コンフィにすることで骨や繊細な肝まで鮎のうま味を全て味わえる。自宅で挑戦する場合には、稚鮎の代わりにサンマを使うとよい。うま味と程よい苦味が、スッキリとした辛口ワインとよく合うメニューだ。
身体にも環境にも良いオーガニックワインが、より身近になりつつあるのはうれしい限りだ。