コラム

ついに解禁! ボージョレ・ヌーボーの基本と2021年のラインアップを一挙紹介

いよいよ解禁日を迎えた、ボージョレ・ヌーボー。毎年11月の第3木曜日が解禁日とされ、今や秋の風物詩として日本でも多くの人が楽しんでいる。

2021年は11月18日が解禁日となったが、ワインを取り扱う各社からは、今年もさまざまなボージョレ・ヌーボーがラインアップされている。本記事では、ボージョレ・ヌーボーをより深く濃く楽しめるよう、「ボージョレ・ヌーボーとは何か」といった基礎知識から味わい、魅力、歴史などを解説。併せて、今年のおすすめヌーボーを一挙に紹介する。

そもそも「ボージョレ・ヌーボー」とは?

「ヌーボー」とは、フランス語で「新酒」を意味する。ボージョレ・ヌーボーはその名の通り、フランス南東部のブルゴーニュ地方に位置するボージョレ地区で、その年に収穫したぶどうからつくられる新酒ワインの総称だ。

ボージョレ地区のワインづくり

ボージョレ産のワインには、ブルゴーニュ原産の黒ぶどうであるガメイが使用される。ボージョレ地区の石灰粘土層の土壌や日照条件の良い地形はガメイと相性が良く、質の高いぶどうが収穫できるためだ。

ガメイは日光が当たることでおいしく育つとされ、ぶどう棚を低く仕立てることで日光をまんべんなく当てる。

ボージョレ地区では、ぶどうの収穫期になると世界中から収穫を手伝う人々が集まり、村人とともに手摘みで収穫するという。

仕込み前のぶどうは紫がかった薄いルビー色をしており、粒は比較的大きめ。皮は薄く、果汁が多くてジューシーな品種である。

ボージョレ・ヌーボーの味わい

ガメイを使ったワインは、イチゴキャンディを思わせる甘いフルーツの香りが特徴だ。タンニンが少なく、酸もほどほど。ボディは軽めで飲みやすく仕上がる。

通常のボージョレワインとボージョレ・ヌーボーの違いは、熟成期間の差にある。ボージョレワインは、ぶどうを収穫してから半年ほど熟成させ、翌年の春以降に出荷される。一方、ボージョレ・ヌーボーは、およそ1カ月の熟成期間を終えると、すぐに出荷される。

ボージョレ・ヌーボーの魅力は、その醸造期間の短さから、早飲みに向いたフレッシュな味わいを楽しめることだ。少し冷やしておくことで、タンニンと酸味のバランスの良さが際立つといわれている。

「解禁日」の歴史

今でこそ世界中に知られているボージョレ・ヌーボーだが、もともとは他の多くの産地のヌーボーと同様に、その年の収穫を祝って地元の人々で消費される地酒であった。

ボージョレ・ヌーボーが世界中に広まるのは、20世紀以降。キーワードは、ご存知の「解禁日」である。

その起源は1951年にさかのぼる。フランス政府は、軍に供給するワインを確保するため、国内のワインをその年の12月15日より前に販売することを法令で禁止した。

しかし当時のワイン生産者たちは、フレッシュな味わいが魅力のヌーボーを市場に早く流通させたいと政府に申請。この訴えが認められ、12月15日を待たずに販売できるAOCワインが決められた。ボージョレはその1つに含まれ、ボージョレ・ヌーボーが正式に誕生することとなった。

1967年には解禁日を固定する政令が出され、11月15日に定められた。その後、解禁日の曜日が年によって異なることで、安息日の日曜日と重複することもあったため、1985年に11月の第3木曜日に変更。以降、今日まで定着している。

“ボージョレの帝王”と呼ばれるジョルジュ・デュブッフ氏は、解禁日が制定された1950年代、「ボージョレ・ヌーボーがやってきた!」のキャッチコピーとともに、毎年の解禁日を祝うスタイルを提唱。世界中に、ボージョレ・ヌーボーを浸透させた。

【関連記事】ボージョレ・ヌーボーの解禁日を世界に広めたジョルジュ・デュブッフとは? ――ボージョレ・ヌーボーのキーマンを知って解禁日をもっと楽しもう!

2021年のおすすめボージョレ・ヌーボー

ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2021

日本国内のボージョレ・ヌーボー販売容量No.1ブランド(※)として人気が高い、ジョルジュ デュブッフのボージョレ・ヌーボー。果実や花の香りが楽しめる。
※インテージ拡大推計値より(期間:2019年1月~2020年12月)

参考小売価格:2288円(税込)

ドメーヌ・ド・ラ・プラス ボージョレ・ヌーヴォー2021

卓越した栽培家として知られる、ドゥブラン家が手掛ける。減農薬農法を採用した平均樹齢40年ほどの古樹のぶどうを使用し、複雑味のあるワインに仕上げている。全てシリアルナンバー入りのため、世界でただ1つのボージョレ・ヌーボーを味わえる。

参考小売価格:3087円(税込)

ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー by ラブレ・ロワ&久野靖子 2021

ラブレ・ロワとサッポロビール、それぞれのワインメーカーが協働で香味設計したヌーボー。フランスから原酒を輸入し、オンラインで香味バランスなどを検討しながらブレンドしており、日本の食事に合う味わいに仕上がっている。

参考小売価格:2500円 (税込)

ドメーヌ・ルー・ペール・エ・フィス ボジョレー・ヌーヴォー

5代続く家族経営の老舗ドメーヌが、2017年から生産を開始した実力派ヌーボー。ラズベリーやチェリーなどのピュアなアロマと、口に含んだ時にあふれる赤系果実のジューシーさが魅力の1本。

参考小売価格 :3080円(税込)

アルベール・ビショー ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2021

ブルゴーニュの名門ワイナリー、アルベール・ビショーのヌーボー。ボージョレ地区の北部に位置する優良区画から産出されたぶどうを使用している。

参考小売価格:2450円 (税込)

ピエール・フェロー ボジョレー・ヌーヴォー キュヴェ・ノスタルジー V.V. 2021

ワイン批評家のロバート・パーカー氏が、ボージョレ地区の中でも最高評価を与えるピエール・フェロー。古樹のぶどうからつくられ、フレッシュながらも繊細で奥行きを感じられる。

参考小売価格:4180円 (税込)

ルイ・ジャド・ボージョレ・ヴィラージュ プリムール 2021

少量生産へのこだわりと特別な醸造法で、ガメイが持つ色や香りなどの個性を引き出した1本。ヌーボーでありながら、しっかりとした骨格とボディ、深い味わいを持つ。

参考小売価格 :4350円(税込)

コラン・ブリセ ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー 酸化防止剤無添加

酸化防止剤を添加せず、自然な味わいが楽しめる。ボージョレ・ヌーボー唯一のコンクール「トロフィー・リヨン・ボージョレ・ヌーヴォー(Trophée Lyon Beaujolais Nouveau)」で2019年から2年連続で最高金賞 を受賞している。

参考小売価格:2728円(税込)

アンリ・フェッシ・ボージョレ・ヌーヴォ・キュヴェ・フェッシ 2021

130年以上の歴史を誇り、“クリュ・デュ・ボージョレのスペシャリスト”とも呼ばれるアンリ・フェッシ。名門ワイナリーが手掛ける酸化防止剤無添加のボージョレ・ヌーボーが、このワインだ。新鮮さの中に、深い味わいを感じられる。

参考小売価格:2280円 (税込)

タイユヴァン ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ

樹齢35~80年ほどの古樹から採れたぶどうを使用し、新酒ならではのフレッシュさの中にもコクとしっかりとした骨格を感じられるヌーボー。フランス・パリ最高峰のレストラン「タイユヴァン」が手掛けている。

参考小売価 格:3960円(税込)

2021年は春先に不安定な気候が続いたものの、以降は天候に恵まれ、ボージョレ・ヌーボーらしい、素晴らしいヴィンテージに仕上がったという。早くもボージョレ・ヌーボーを味わったという人も、これからという人も、ボージョレ・ヌーボーについて知り、フレッシュで奥深い味わいを楽しんでみてはいかがだろうか。

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