コラム

ブルゴーニュワイン初心者にもおすすめ! おいしくて手頃なデノミナシオン付きブルゴーニュワイン4本 ~ブルゴーニュワイン試飲会①

ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)は2022年7月 13 日、ブルゴーニュワインの展示会と試飲会を開催した。数々のブルゴーニュワインの中から、今回はデノミナシオン付きのブルゴーニュワインを4本紹介する。

おいしくて比較的手頃な価格で、ブルゴーニュの多様性やテロワールが味わえるので、ブルゴーニュワインファンはもちろん、初心者にもぜひ味わってほしいワインだ。

デノミナシオン付きのブルゴーニュワインとは

フランス・ブルゴーニュ地区にある88のAOC(Appellation d’Origine Contrôlée、原産地呼称)は、格付けによってピラミッド状になっており、3つのカテゴリーに分類されている。その1番下にあるのが、地域名(レジョナル)アペラシオンだ。ブルゴーニュで生産されるワインの半分以上を占めている。

ピラミッドの下に位置するからといって質が悪いわけではなく、品質と価格のバランスが優れたワインであるということが特徴だ。1人の栽培家が、ピラミッドの最も上にあるグラン・クリュから地域名アペラシオンまで、幅広く手掛けていることも少なくない。

生産者たちは、どのカテゴリーのワインも同じように手をかけている。そのため、地域名アペラシオンのワインは、つくり手のこだわりを手頃な価格で味わえるカテゴリーだともいえる。“手の届くぜいたく”として、ブルゴーニュワイン初心者にも、ぜひおすすめしたいカテゴリーだ。

全部で14ある「デノミナシオン(Dénomination Géographiques Complémentaires、地理的補足を持つ呼称)」も、地域名アペラシオンに属している。ブルゴーニュAOCは、ブルゴーニュ地方全体で収穫されたぶどうを使用できるが、デノミナシオン付きのAOCは、ブルゴーニュの特定エリアで栽培されたぶどうに限定されている。生産地がより厳しく規定され、ブルゴーニュAOCの中でも、よりテロワールが味わえるワンランク上のワインだといえるだろう。

出品されていたデノミナシオン付きのブルゴーニュワイン

展示会で紹介されていたのは、ブルゴーニュ・トネール、ブルゴーニュ・クランジュ・ラ・ヴィヌーズ、ブルゴーニュ・コート・ドーセール、ブルゴーニュ・コート・シャロネーズ、ブルゴーニュ・コート・ドール、ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌのワインだ。

その中から、ネットショップなども含めて日本でも取り扱われている4本のワインを紹介する。

ドメーヌ・アラン・マティアス/ブルゴーニュ・トネール

シャブリの東に位置するブルゴーニュ・トネールは、2006年に制定された新しいアペラシオン。シャルドネの白ワインのみが認められており、ジュラ紀後期の1億5200万年前~1億4200万年前にできたキンメリジャンの泥灰・石灰岩の土壌とポートランディアンの石灰岩の土壌だ。畑は、南または南東に向いている。

このワインのつくり手であるドメーヌ・アラン・マティアスは、1982年にアラン・マティアス氏によって立ち上げられた。2013年には有機栽培の認証(AB)を取得。2015年に息子夫婦がドメーヌを引き継ぎ、進化を続けている。

輸入元のフィネスによると、2018年、2019年、2020年は既に完売しているとのこと。気になる人は、2021年のワインを待つ必要がありそうだ。

DOMAINE ALAIN MATHIAS/Bourgogne Tonnerre, blanc
アペラシオン:ブルゴーニュ・トネール
品種:シャルドネ100%

ドメーヌ・ジャン・ユーグ・エ・ギエム・ゴワゾ/ブルゴーニュ・コート・ドーセール、ラ・ロンス、ルージュ

シャブリの西に位置するブルゴーニュ・コート・ドーセールは、シャルドネの白ワイン、ピノ・ノワールの赤ワインとロゼワインが認められているAOCだ。表土の下層にある土壌は、後期ジュラ紀(キンメリジャンとポートランディアン)および前期白亜紀(オートリビアン)の石灰質、粘土質、泥灰石灰質で構成。畑は、南東から真南、南西に向いている。

14世紀から続くファミリー企業を、ジスレーヌとジャン=ユーグ夫妻が1979年に引き継いだ。2015年には息子夫婦が加わり、ビオディナミ認証を取得。土地のエッセンスを引き出すワインづくりは、若い世代に引き継がれている。

選果をしながら手摘みした果実を、100%除梗して発酵。野生酵母を使用してSo2(酸化防止剤)の使用もごく少量にとどめている。1~4回使用した樽で13~15カ月熟成させたワインだ。

DOMAINE JEAN-HUGHES ET GUILHEM GOISOT/Bourgogne Côtes d’Auxerre, La Ronce, rouge
アペラシオン:ブルゴーニュ・コート・ドーセール
品種:ピノ・ノワール100%

ドメーヌ・ジョルジュ・ジョワイヨ/ブルゴーニュ・コート・ドール、ルージュ

2017年に誕生したブルゴーニュ・コート・ドールは、コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌのおよそ1000haが対象となっている。畑は斜面の麓の南東向きになっており、地域名アペラシオンの1つ上のカテゴリーである村名(コミュナル)アペラシオンの畑と隣り合っていることもある。デノミナシオン付きの中で、最も質が高いと評されているAOCだ。シャルドネの白ワイン、ピノ・ノワールの赤ワインが認められている。

ドメーヌ・ジョルジュ・ジョワイヨは、ぶどうの育苗・栽培業を営んでいたロベール・ジョワイヨ氏が1929年に設立。現在は、コート・ド・ボーヌ地区のポマールにプルミエ・クリュの区画を所有している。2代目のジョルジュ・ジョワイヨ氏の名前が付いたドメーヌは、孫にあたる4代目に引き継がれ、伝統を守りながら近代化に努めている。リュットレゾネ(減農薬栽培)を実践しているつくり手だ。

DOMAINE GEORGES JOILLOT/Bourgogne Côte d’Or, rouge
アペラシオン:ブルゴーニュ・コート・ドール
品種:ピノ・ノワール100%

ドメーヌ・アレクサンドル・パリゴ/ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ、クロ・ド・ラ・ペリエール、ルージュ

ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌは、石灰質台地に切り込む谷の南と南東向きの日当たりの良い斜面で、ぶどうが栽培されている。コート・ド・ボーヌ地区よりも標高100~200mほど高いため、ぶどうの成熟はやや遅くなる。シャルドネの白ワイン、ピノ・ノワールの赤ワインが認められている。

パリゴ家は、1950年代からぶどう栽培やワインの醸造を手掛けており、2004年に現当主のアレクサンドル・パリゴ氏がドメーヌに参加。2011年には才能のある若手生産者に送られる「トロフェ・ジュンヌ・タラン」を受賞した。ぶどう畑に真摯(しんし)に向き合い、ぶどう畑の個性を引き出したワインづくりを行っている。

DOMAINE ALEXANDRE PARIGOT/Bourgogne Hautes Côtes de Beaune, Clos de la Perrière, rouge
アペラシオン:ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ
品種:ピノ・ノワール100%

【BIVBミニ記者会見】
①BIVB広報委員会会長ミシェル・バロー氏が語る、日本とブルゴーニュの今とこれから
②生産者の目線で語られた、気候変動がブルゴーニュに与える影響と対策とは

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ