コラム

親しみやすさ抜群のマコンワインは初心者にもおすすめ! おいしくて手頃なマコンワイン5本 ~ブルゴーニュワイン試飲会②

ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)は2022年7月13日、ブルゴーニュワインの展示会と試飲会を開催した。数々のブルゴーニュワインの中から、今回は南部に位置するマコンワインを5本紹介する。

マコンワインは、ブルゴーニュの中でも親しみやすさが魅力。比較的手頃な価格でありながらも、ブルゴーニュのつくり手のこだわりが感じられるワインが多く、ブルゴーニュワインファンはもちろん、初心者にもぜひ味わってほしい。

簡単におさらい! マコンワインとは

マコンは、フランス・ブルゴーニュの最南端に位置するマコネ地区にあるワイン産地。さらに南に行くと、ボージョレ地区がある。88のAOC(Appellation d’origine contrôlée、原産地呼称)の1つで、生産されている85%が白ワインだ。白は主にシャルドネ、赤とロゼワインには主にガメイが使われており、少量だがアリゴテとピノ・ノワールも栽培されている。

ブルゴーニュの中では温暖な地域であり、コクと果実感のあるコストパフォーマンスの良い白ワイン、ガメイを使った軽やかな赤ワインなどがつくられている。

AOCは三段階に格付けされている。エントリーレベルに位置付けられるのが、AOCの52%を占める地域名(レジョナル)アペラシオンで、その上に村名(コミュナル)アペラシオン(47%)、グラン・クリュ(1%)がある。

マコンの地域名アペラシオンには、マコン(赤・白・ロゼ)、マコン・ヴィラージュ(白)、特定生産区域内の限定されたコミューンでつくるワインに付けられるマコン+コミューン名(赤、白、ロゼ)がある。村名アペラシオンには、プイイ・フュイッセ、ヴィレ・クレッセ、プイイ・ロッシェ、プイイ・ヴァンゼル、サン・ヴェランがあり、いずれも白ワインのみが認められている。2020ヴィンテージから、プイイ・フュイッセの22クリマ(区画)がプルミエ・クリュに認可された。グラン・クリュはない。

おすすめのマコンワイン5本

今回は、試飲会と試飲会に先立って開催された記者会見で紹介されたワインから、5本のマコンワインを紹介する。

ヴィニュロン・デ・テール・セクレット/サン・ヴェラン レ・センティネル 2019

マコンの村名アペラシオンであるサン・ヴェランの白ワイン。マコンの代表的な村名アペラシオンのプイイ・フュイッセを挟んで、北と南に分かれている地域だ。

生産者は、マコネ地区で圧倒的なシェアを誇るカーヴ・デ・ヴィニュロン・デ・テール・セクレット協同組合。高品質なワインを、大手ならではの手に取りやすい手頃な価格で提供している。

全体の一部をオークの新樽で熟成させることで、この地域らしい新鮮な果実味に深みとまろやかさをプラス。すっきりとした果実味に樽の風味がきれいに溶け込んだ、上質なシャルドネとなっている。非常にバランスに優れており、まろやかさもある味わいのため、チーズとの相性も良い。軽食からバターを使った白身魚の料理まで、幅広い食事に合わせやすいのが魅力だ。

Vignerons des Terres Secrètes/Saint Veran Les Sentinelles 2019
アペラシオン:サン・ヴェラン
品種:シャルドネ100%
参考小売価格:2860円(税込)
おすすめのペアリング:チーズフォンデュ

オヴィッグ/マコン・ヴィラージュ ムーラン・デュ・ポン 2020

マコン・ヴィラージュは、マコネ地区の中でも特定生産区域内の26のコミューンでつくられたワインに許されたAOC。マコンAOCより厳しい規格に沿い、テロワールが反映されたワインがつくられている。

オヴィッグ家は、1600年代からボージョレやマコンで栽培家として知られている。現在では、伝統を守りながらオーガニック農法を重視してぶどうを栽培。自社畑のぶどうと厳選したぶどうを買い付けて、ワインづくりを行っている。

「マコン・ヴィラージュ ムーラン・デュ・ポン」は、樽を使わずに果実の実力を引き出したワインだ。可憐で上品なフルーツの香り、辛口でバランスの良さがあり、飲み飽きずに楽しめる。日常の家庭料理にも寄り添ってくれる、万能な1本。

Maison Auvigue/Mâcon-Villages, Moulin du Pont, 2020
アペラシオン:マコン・ヴィラージュ
品種:シャルドネ100%
参考小売価格:2970円(税込)
おすすめのペアリング:魚料理、白身肉、和食、中華料理

ドメーヌ・ジェラルド・タルマー/マコン・ウシジー 2020

マコン・ウシジーは、マコンのデノミナシオン付きAOC。マコンAOCは、マコネ地区全体で収穫されたぶどうを使用できるが、マコン・ウシジーは、ウシジー村の特定のエリアで栽培されたぶどうに限定されているのが特徴だ。マコンAOCよりも規定が厳しく、よりテロワールが味わえるワンランク上のワインだと言えるだろう。地層の背斜の部分が浸食され、周囲より低くなって形成された谷の南側に位置しており、畑は東を向いている。マコンの中でも特にコクのあるワインができる。

ぽってりとした果実感やコクが感じられるワインが多くつくられており、このワインもそんなマコン・ウシジーらしさを感じられる1本。樽を使用していないので、より果実感が引き出されている。バランスが良く、料理にも合わせやすい。親しみやすい味わいで、ワイン初心者からワイン愛好家まで幅広く好まれる。人が集まる場やプレゼントにも適したワインだ。

Domaine Gérald Talmard/Mâcon-Uchizy 2020
アペラシオン:マコン・ウシジー
品種:シャルドネ100%
参考小売価格:3190円(税込)
おすすめのペアリング:脂が適度にある魚介や豚肉料理、コクのあるドレッシングのサラダ、白カビのチーズ

ドメーヌ・ラ・スフランディーズ/マコン・フュイッセ ル・ロンテ 2019

マコン・フュイッセは、マコンにコミューン名のフュイッセが付いた、地域名アペラシオン。フュイッセは、マコンの代表的な村名アペラシオンであるプイイ・フュイッセとの境界に位置している。

ドメーヌ・ラ・スフランディーズは、夫婦が協力してつくり上げる高品質なワインだ。小さなつくり手だが、所有する畑を約20区画に分け、それぞれの個性をブレンドさせて調和の取れた味わいを生み出している。ブレンドしなかったワインは、自社で瓶詰めせずに他の会社へ販売。ドメーヌ・ラ・スフランディーズの名前にふさわしいワインだけが、自社でボトリングされている。

リュットレゾネ(減農薬栽培)を実践しているが、樹齢によって仕立て方や房の数を変えている。このワインは、樽を使わずにステンレスタンクで発酵・熟成させる。イーストや蜂蜜っぽさ、フレッシュな酸、しっかりとしたミネラル感が味わえるワインに仕上げている。

コストパフォーマンスに優れたワインとして評価の高い1本だが、酸味もまろやかで、ワインを飲み慣れていない人にもおすすめしやすい。

DOMAINE LA SOUFRANDISE/Mâcon-Fuissé, Le Ronté, 2019
アペラシオン:マコン・フュイッセ
品種:シャルドネ100%
参考小売価格:3850円(税込)
おすすめのペアリング:魚や鶏肉のソテーやヤギのチーズ

レニャー/マコン・ルージュ 2018

画像は2017ヴィンテージ

シャブリ地区で最も古いつくり手の1つであるレニャーが、マコンで手掛けるワイン。シャブリと同様に、樽を使わずにヴィンヤードの個性を引き出している。

ガメイ種らしいイチゴやチェリー、フランボワーズなどの赤い果実系の香りがあり、爽やかな酸味と程よいタンニン、生き生きとした果実味が魅力。マコンのガメイらしい軽快なワインだ。軽やかでかわいらしい味わいなので、少し冷やして飲むのもおすすめ。

REGNARD/Mâcon Rouge, 2018
アペラシオン:マコン
品種:ガメイ100%
参考小売価格:2530円(税込)
おすすめのペアリング:岩ガキ、テリーヌ、穴子のかば焼き、ポークソテー

【BIVBミニ記者会見】
①BIVB広報委員会会長ミシェル・バロー氏が語る、日本とブルゴーニュの今とこれから
②生産者の目線で語られた、気候変動がブルゴーニュに与える影響と対策とは
【ブルゴーニュワイン試飲会】
①ブルゴーニュワイン初心者にもおすすめ! おいしくて手頃なデノミナシオン付きブルゴーニュワイン4本

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ