南アフリカワイン協会(Wines of South Africa:WOSA)は2023年10月17日、年に一度の南アフリカワインの大試飲会「DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2023」を開催した。同日に2回開催したマスタークラスは、申し込み多数により抽選となるほどの大盛況となった。
同試飲会のレポートでは、19社のインポーターと6社の未輸入ワイナリーが一堂に会した中から、いくつかのワイナリーとそのワインをピックアップして紹介する。
第6回目となる今回は、エアラインや高級ホテルなどからも選ばれる、ジャーニーズ・エンド(Journey’s End)だ。
ジャーニーズ・エンドとは
南アフリカワインの銘醸地ステレンボッシュに位置する、ジャーニーズ・エンド。2004年にファーストヴィンテージをリリースしてから、南アフリカのワインガイドブック『Platter’s』で5つ星を獲得するなど、国内外で数々の賞を受賞している。イギリスのワインジャーナリズムの第一人者であり、マスター・オブ・ワイン(MW)のジャンシス・メアリー・ロビンソン氏からも、高い評価を得ているワイナリーだ。
SDGsに取り組む企業からの信頼も厚い。ぶどう畑には土壌を改良する小麦が植えられており、受粉を助けるミツバチの箱や害虫を捕食するフクロウなどが見られるという。2010年には、Sustainable Wine South Africa (SWSA)から認定を受け、2017年にはフェアトレードの企業認定を受けている。
エミレーツ航空やブリティッシュ・エアウェイズなどのビジネスクラスやファーストクラスに採用された実績があり、日本国内でも数多くの高級ホテルが採用。ソムリエからの信頼も厚いつくり手だ。その高い品質とサステナブルな取り組みで、ステレンボッシュのトップワイナリーの1つとなっている。
ジャーニーズ・エンドで人気の高い3本のワイン
DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2023で出展されていたのは、7本のワインだ。今回はその中から、プレステージワインの3本を紹介する。
この3本は特に人気が高く、早期の売り切れが見込まれるとのこと。購入を希望する人、早めに輸入元のシーズンワインに問い合わせをするのがおすすめだ。
テイスティングコメントは、ジャーニーズ・エンドによるもの。
デスティネーション シャルドネ 2020
「デスティネーション(目的地)」という名は、このワインが究極のシャルドネを探求する旅の終わりとなり、世界中の人々を魅了することを願っていることから付けられた。
手摘みのシャルドネだけを使い、アルコール発酵には野生酵母を使用している。80%に酸を和らげるマロラクティック発酵(MLF)を行い、複雑な味わいを出すためにバトナージュ(熟成中にワインと澱をかき混ぜる作業)を実施。70%にフランス産の新樽を使用して、10カ月熟成させている。
輸入元のシーズンワインは、このワインを「複雑な香りが広がるジャーニーズ・エンドのシンボル的存在のワイン」と表現している。
【テイスティングコメント】
凝縮したアプリコットと熟したモモ、ライムの皮とオレンジの香り。オーク樽由来のバランスの取れたアーモンドとバニラのスパイス感が、果実味を引き立てている。ミネラル感がフレッシュさを強調し、フィニッシュはクリーミーで長い。
Destination Chardonnay 2020
アルコール分:13.5%
品種:シャルドネ100%
生産地:ステレンボッシュ
参考小売価格:5940円(税込)
ケープ・ドクター カベルネ・ソーヴィニヨン 2017
ワイン名の「ケープ・ドクター」は、春から夏にかけて、西ケープ州に海から吹き抜ける強い南東風のこと。冷たい海風が気温を下げ、ぶどうは酸をキープしたままゆっくりと成熟する。また、ケープ・ドクターがスモッグや不純物を吹き飛ばし、湿度を吹き払うことで病害を防ぎ、オーガニックやサステナブルな環境下で健康な果実ができる。
手摘みしたカベルネ・ソーヴィニヨンを使用。マロラクティック発酵を行っている。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローはフレンチオークの新樽のみで、カベルネ・フランはフレンチオークの旧樽で20カ月熟成させている。
【テイスティングコメント】
果実由来のカシスや芳醇なフルーツケーキ、オーク樽由来のシナモンスパイスとダークチョコレートの香り。濃縮したダークベリーのような果実味は、クリーミーで柔らかくエレガントなタンニンを伴い、フィニッシュは美しくて長い。
Cape Doctor Cabernet Sauvignon 2017
アルコール分:14.5%
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン40%、メルロー40%、カベルネ・フラン20%
生産地:ステレンボッシュ
参考小売価格:5940円(税込)
ザ・グリフィン シラー
オーナー一族の故郷、ウェールズの紋章「グリフィン」を冠したワインだ。当日会場にいた、ジャーニーズ・エンドのクリスティン・アンドリュース氏によると、本国で一番人気のある、南アフリカを代表するシラーとのこと。
手摘みしたシラーを除梗後、フレッシュで爽やかな果実味となるマセラシオン・カルボニック(タンク内に二酸化炭素を充満させて発酵させる)を行い、アメリカンオーク樽とフレンチオーク樽を使用して、16カ月間樽熟成をしている(新樽率40%)。重厚さとしなやかさを併せ持つ1本に仕上げている。
【テイスティングコメント】
若々しさと複雑さを持ったワイン。スミレやチェリーと、かすかな白コショウの香り。アメリカンオーク樽を使用することで、ほのかなキャラメルの香りに、口に含んだ時の重みと口当たりが生まれている。全体的にリッチでジューシー。シルキーかつ磨かれたタンニンが、ストラクチャーとエレガントな余韻をもたらしている。
The Griffin Syrah 2017
アルコール分:14.5%
品種:シラー 100%
生産地:ステレンボッシュ
参考小売価格:6000円(税別)
【関連記事】「DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2023」レポート
①日本で最も売れている南アフリカワインKWV、おなじみの高コスパワイン3本
②南アフリカNo.1のメルローも! シャノンのワイン3本
③南アフリカでキャップ・クラシックのパイオニアと呼ばれるシモンシッヒの代表ワイン
④南アフリカの固有品種ピノタージュを味わうなら! カノンコップの2本
⑤マンデラ氏、オバマ氏が祝杯に選んだ高品質なキャップ・クラシックを産するグラハム・ベック・ワインズ