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フィラディスは、シャンパーニュの試飲イベント「フィラディス 泡フェス!2024」を、2024年4月8日に大阪、同月10日に東京で開催した。フィラディスの考える「アルチザン・シャンパーニュ」を生み出す6人の生産者が来日し、それぞれのシャンパーニュを提供した。アルチザン・シャンパーニュのコンセプトについては、下記の記事で紹介している。
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今回は、来場していた生産者のうち、コート・デ・ブランで4世代にわたって歴史をつないでいる、ドワイヤール(Doyard)について紹介する。
ドワイヤールとは
急逝した兄の思いを受け継ぐ
プルミエ・クリュのヴェルテュに本拠地を構えるドワイヤールは、小規模生産者でありながら、シャンパーニュ地方で存在感を示してきた生産者だ。その歴史は、第2次世界大戦後に創立者のモーリス・ドワイヤール氏が、この地にワイナリーを購入したことに始まる。モーリス氏は、モエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)のロベール・ジャン・ド・ヴォギュエ氏と共に、シャンパーニュ委員会(CIVC)の生産者代表を務めた。
ぶどう栽培農家として収穫量の多くをメゾンに売却しているが、選び抜いた高品質のぶどうを使用して、自社でシャンパーニュを生産している。
3代目のシャルル・ドワイヤール氏は、グラン・クリュのオジェ、ル・メニル・シュール・オジェ、アヴィーズ、クラマン、アイに所有畑を拡大。2017年に彼が31歳の若さでこの世を去ってからは、弟のギョーム氏と父で2代目のヤニーク氏がワインづくりを受け継いでいる。
生産者が語る、良いワインをつくる3つのこだわり
来場していたギョーム氏に話を聞くと、ドワイヤールが大切にしている3つのこだわりを教えてくれた。
1つ目は、栽培量を抑えることだ。栽培量を抑えることで、フェノールやアロマの成熟もうまくいくという。
2つ目は、ワインづくりに時間をかけること。「チョーキーなテロワールのコート・デ・ブランでは、特にシャルドネは果実が個性を発揮するのに時間が必要です。すぐにリリースしてしまうと、私たちがワインに望むエレガントさが失われてしまうのです。酸が立って、シャープすぎるワインになってしまいます」と説明してくれた。
そして、「小さいことですが」と3つ目に挙げたのは、プレッシャーをかけすぎないこと。具体的には、激しい泡ではなく細やかな泡にするために、ガス圧を通常よりも低い気圧に抑えているそうだ。ワインの味わいを隠さない、細やかでエレガントな泡を重視していると教えてくれた。
ドワイヤールのワイン
キュヴェ・ヴァンデミエール・ブリュット
ヴィンテージ:NV
品種:シャルドネ100%
熟成:木樽とステンレスタンク
瓶内熟成期間:54カ月以上
ドサージュ:4g/L
参考小売価格:9800円(税別)
ドワイヤールのスタンダード・キュヴェ。2代目のヤニーク氏が、1990年にコート・デ・ブランのシャルドネだけでつくったブラン・ド・ブランだ。ヴェルテュと、4つのグラン・クリュ(主にアヴィーズ、他にル・メニル・シュール・オジェ、オジェ、クラマン)の5つの村のぶどうを使用している。
ベースとなる最新ヴィンテージを50%使用しており、これは毎年変わらないという。このボトルについては、2018年のものが50%、2017年が30%、2016年が20%使用されており、毎年同じ味わいになるようにしている。
熟成には、ワインが酸素と触れ合うために、そして複雑さを加えるために木樽を使用。樽っぽさが果実を隠さないことを重視している。60%にステンレスタンクを使用し、フレッシュさとストレートさを加えている。
食事に合う、アペリティフに合うエレガントなシャンパーニュを目指しており、全てのワインでフリーランジュース(圧搾機を使わず、ぶどうの重さで自然に流れ出した果汁)のみを使用している。ぜいたくな使い方だが、「搾り切ってしまうと、香りは立つが、エレガントさが失われてしまうから」とギョーム氏は教えてくれた。ドサージュも「ワインを隠さず、食事に合うことを考えて加えています」とのこと。
ギョーム氏は「ヴァンデミエール」について、「私たちの名刺ともいえる1本です。高品質なものを、毎年同じ味わいで届けられるようにしたいと思っています」と語っていた。
2024年4月下旬には、限定入荷の予定。今年は手に入らなくても、入荷は毎年しているそうだ。
出会えたらラッキーなワインも
会場では、他にも2本のワインが提供されていた。流通先が限られているとのことで、出会えたらラッキーなワインだ。
キュヴェ・レボリュシオン・ノン・ドゼ
ヴィンテージ:NV
品種:シャルドネ100%
熟成:木樽とステンレス
瓶内熟成期間:66カ月以上
ドサージュ:0g/L
参考小売価格:1万3800円(税別)
コート・デ・ブランの4つのグラン・クリュのシャルドネだけをブレンド。より複雑さが楽しめる。
キュヴェ・ウイユ・ド・ペルドリ
ヴィンテージ:2019
品種:ピノ・ノワール75%、シャルドネ25%
熟成:木樽
瓶内熟成期間:42カ月以上
ドサージュ:3g/L
希望小売価格:2万3000円(税別)
グラン・クリュのアイのピノ・ノワールを主体とした上級キュヴェ。フランス革命があった時代のボトルを再現している。
来場者から「印象的なワイン」として、名前が多く挙げられていたドワイヤール。口に含むと「甘めのすし酢を使った寿司に合いそうだな」と自然に浮かんでくるような、食事に合わせたいワインだった。