ボルドーワイン委員会(CIVB)は2024年4月17日、代官山 蔦屋書店(東京都渋谷区)で、ボルドーワインの“今”を紹介するイベント「Undiscovered 2024」を開催した。
同イベントは、ボルドーワインの知られざる魅力を伝えるために、CIVBが2024年に始めた新プロモーション「Re BORDEAUX」の第1回目となる。日本未輸入のボルドーワイン60種と、ボルドーワインの“今”を代表する厳選50種の試飲・商談会が行われた。未輸入ワインについては、ボルドーの各地区から6人の生産者も来日。自らのシャトーおよび地区のワインを披露した。
今回は、これらの生産者の中から、ヴィニョーブル・フォール(Vignobles Faure)を紹介する。
ヴィニョーブル・フォールとは
ヴィニョーブル・フォールは、フランス・ボルドー地方のコート・ド・ブール地区で1870年に創業したワイナリー。現在は6代目のデルフィーヌ・フォール・メゾン氏が受け継ぎ、コート・ド・ボルドーとボルドー・シュペリュールを加えた3地区のシャトーでワインづくりを行っている。
デルフィーヌ氏は持続可能性を重視し、2018年にフランス農業・食料省が管轄する環境認証のHVE(Haute Valeur Environnementale、環境価値重視)を取得。一方で、大規模で集約的な農業のあり方を変えるアグロエコロジー(農業生態学)を実践し、その精神を反映した新たなボルドーワインを生み出している。
ヴィニョーブル・フォールのおすすめワイン
試飲・商談会では、来日したデルフィーヌ氏に話を伺った。
――どんなワイナリーですか?
1970年代に父のアラン・フォールが事業を引き継いだとき、コート・ブール地区に所有していたぶどう畑は17haでした。その後、ブライ・コート・ド・ボルドーのシャトー・フォンタラビなどを購入し、畑を125haまで拡張しました。
私は1980年代から30年間、父と共にワインづくりをしてきました。父から受け継いだワイナリーの歴史を大事にしています。そして今、うれしいことに、私の子どもたちもワインづくりに興味を持ってくれています。
――ワインづくりで工夫していることは?
特に大切にしているのは、ぶどう畑での仕事です。土に触れ、畑の状態を感じることで、良いワインをつくれると信じています。化学肥料、除草剤、殺虫剤の使用をできる限り抑える「リュット・レゾネ(Lutte raisonnée)」という手法を用いて、畑をより理解し、より良い状態にしようと努力しています。常に何かを考え、常に何かを変えていくことで、新たな発見につながると考えています。
――おすすめのワインを教えてください。
コート・ド・ボルドー地区でつくる「プルミエ・ド・シャトー・フォンタラビ(Premier de Château Fontarabie)」です。「プルミエ」(1番)というのは、常に新しいことをやっていたいという意志の表れです。男性社会である醸造業界で、女性の名前と写真が入ったワインを販売するという、新しいことをやってみたかったんです。
――「プルミエ・ド・シャトー・フォンタラビ」はどんな味わいでしょうか。
フルーティーな香りを持つ、まろやかなワインです。タイトでスパイシーなタンニンと、ウッディーなニュアンスが感じられます。エレガントでありながらパワフルなボディで、グリルした肉、ラムチョップ、チーズなどによく合います。17~19℃でお楽しみください。
「プルミエ・ド・シャトー・フォンタラビ 2020」
タイプ:赤
品種:メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%
【関連記事】
進化し続けるボルドーの白ワインを、日本ソムリエ協会副会長の石田博氏が解説! 「Re BORDEAUXマスターセミナー」レポート①
先進技術を取り入れ、“量より質”を目指すボルドーの赤ワイン。ソムリエの石田博氏が解説する「Re BORDEAUXマスターセミナー」レポート②