コラム

サン・テミリオン地区の格付けシャトーがつくる、こだわりの日本未上陸ワイン「シャトー・デ・バルド」 ~「Undiscovered 2024」試飲・商談会レポート②

ボルドーワイン委員会(CIVB)は2024年4月17日、東京都渋谷区の代官山 蔦屋書店で「Undiscovered 2024」を開催した。

「Undiscovered 2024」の会場となった、代官山 蔦屋書店

このイベントは、ボルドーワインの知られざる魅力を伝えるために、CIVBが2024年に開始した新プロモーション「Re BORDEAUX」の第1回目となった。日本未輸入のボルドーワイン60種と、ボルドーワインの“今”を代表する厳選50種の試飲・商談会が行われ、ボルドーの各地区から6人の生産者も来日。自らのシャトーおよび地区のワインを披露した。

今回は、来日した生産者の中から、シャトー・ブティス(Château Boutisse)を紹介する。

シャトー・ブティスとは

シャトー・ブティスは、フランス・ボルドー地方の銘醸地サン・テミリオン地区のサン・クリストフ・デ・バルド村にある。1996年にミラード家が買い取った25haのシャトーで、サン・テミリオン地区のグラン・クリュ・クラッセ(特別級)に格付けされている。

2005年からはミラード家4世代目のマルク・ミラード氏が運営し、サステナビリティの実践を重視する自身の哲学をワインづくりに注いでいる。その成果もあって、畑は2018年からフランス農業・食料省が管轄する環境認証のHVE(Haute Valeur Environnementale、環境価値重視)のレベル3を取得し、2020年からは有機栽培に転換している。

シャトー・ブティスのおすすめワイン

試飲・商談会では、来日したマルク・ミラード氏に話を伺った。

シャトー・ブティスのオーナー、マルク・ミラード氏(左)と、醸造家のフランソワ・ボワレ氏(右)

――ワインづくりで工夫していることは?

ワインの向こうにある“人”の存在を、ワインで表現するよう心がけています。土壌を観察してその状態を理解し、環境保全や有機栽培の問題も含めて、よりよい栽培をするために努力しています。

ぶどうは手摘みで収穫し、細心の注意を払って選果しています。醸造の過程では、ワインが酸素となるべく触れ合わないようにする、嫌気(けんき)性発酵に取り組んでいます。醸造後は、小さなステンレス・スチール製タンクでロット(区画)ごとに熟成させます。熟成に使用する槽は、ステンレスとコンクリート製が70%、木樽が30%です。

最近のボルドーでは、フレッシュさや果実味のあるワインが主流です。ぶどうを尊重し、木樽は内側を軽く焼いたライトトーストのもののみを使用して、樽の個性を出しすぎず、よりピュアなワインをつくるようにしています。

――おすすめのワインを教えてください。

シャトー・ブティスでは、2種類のワインをつくっています。ファーストラベルは「シャトー・ブティス」ですが、今回おすすめしたいのは、セカンドラベルの「シャトー・デ・バルド(Château des Bardes)」です。2023年にオーガニック認証を取得しました。

ぶどうを除梗せずに発酵させる全房発酵により、スパイシーでフローラルな香りを出しています。また、木樽の内側を軽く焼くことにより、バニラの香りが出てきます。

――「シャトー・デ・バルド」はどんな味わいでしょうか。

爽やかかつエレガントなワインで、モカや甘いスパイスなどの濃厚な香りと、しっかりとしたタンニンが感じられます。また、ブラックチェリーとバニラの風味があり、余韻も長く楽しめます。

熟成によって、さらなる良さが出るワインです。収穫した年の5年後ぐらいが飲みごろです。

「シャトー・デ・バルド 2019」
タイプ:赤
品種:メルロー85%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%、カベルネ・フラン5%

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About the author /  菅沼 佐和子
菅沼 佐和子

おもに旅行の書籍やウェブサイトの制作に携わる編集者兼ライター。世界各地を旅するうちに、ワインに出会い興味をもつ。好きなワインはポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ。