コラム

デルハイム|南アのワイン業界に多くの伝説を残すワイナリー ~「DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2024」レポート③

WOSA JAPAN(Wines of South Africa、南アフリカワイン協会)は2024年10月22日、年に一度の南アフリカワインの大試飲会「DISCOVER SOUTH AFRICA TOKYO 2024」を開催した。

今回は、出展されたワイナリーの中から、セラーマスターのRoelof Lotriet氏が来場した、デルハイム(Delheim)を紹介する。

デルハイムとは

デルハイムは、南アフリカのワインの銘醸地として知られるステレンボッシュに1949年に設立されたワイナリーだ。1971年には、同国で初のワインルート「ステレンボッシュ・ワインルート」を設立。当初は3つの生産者のみだったが、現在は200を超える生産者が所属している。1976年にはピノタージュで初めてロゼワインをつくっており、輸入元のSelestaは、デルハイムを「ワイン業界に多くの伝説を残しています」と説明している。

デルハイムが重視しているのは、ワインづくりにおける環境保護と持続可能な農業だ。環境保全への取り組みと責任ある生産、そして自然と共に行う農業への献身が認められ、WWF(世界自然保護基金)よりConservation Championに表彰されている。

デルハイムは350haを超える広大な敷地を持ち、そのうちのおよそ100haにぶどう畑が広がっている。来場していたLotriet氏は、ぶどう畑について「海から50kmほどの距離にあり、海から吹く冷たい風とシモンスバーグ山から吹き下ろす冷たい風の影響を受ける、非常に冷涼な地域です」と説明してくれた。

ボルドー品種を中心に植えられており、Lotriet氏は「テロワールに忠実に、自分たちに合う品種にこだわっています」としている。

デルハイムのワイン5本

南アフリカに帰りたくないと思うほど、日本での食事が気に入ったというLotriet氏。日本食にかぎらず、日本で提供されている料理には、デルハイムのワインが合うと感じたそうだ。そんなデルハイムのワインを5本紹介する。

日本への輸入はSelestaが手がけており、レストランへの卸売りが主とのことだが、系列の柴田屋酒店でも購入可能だ。

デルハイム ピノタージュ ロゼ 2024

ピノタージュで初めてロゼを手がけた歴史を持つデルハイムでは、ロゼ用の畑でぶどう栽培をするなど、こだわりを持ってこのワインをつくっている。複数の酵母を使用して発酵し、ブレンド後に軽くろ過して瓶詰めする。2021ヴィンテージは、「サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards) 2023」でゴールドを受賞している。

【味わい】
輝かしいライトピンク。凝縮したクランベリーとザクロのアロマが、花のような香りと一緒に広がる。口の中ではバランスのとれた酸によって、フレッシュで快活な印象。フィニッシュに向かって、熟したベリーの味わいが続く。おすすめのペアリングは、エスカベッシュ、生春巻き、鶏肉の香草焼き、生姜焼き。
Selestaの商品紹介より

品種:ピノタージュ96%、マスカット・デ・フロンティニャン4%
アルコール分:12.7%
タイプ・味わい:ロゼ・辛口
生産地:コースタル・リージョン
参考小売価格:3410円(税別)

デルハイム シュナン・ブラン アンウデット 2023

Selestaが扱うデルハイムのワインで、最も人気のある1本。Lotriet氏は「あらゆるシーフードに合う」と断言している。豊かな香りがあり、当日開催されたミニセミナーでも「南アフリカらしいシュナン・ブラン」「価格以上の味わい」と紹介されていた。雑味が出ないように優しく圧搾した果汁を、コンクリートとステンレスのタンクで低温発酵させる。澱と共に2カ月間保管し、軽く成長した後にろ過して瓶詰めする。清澄(コラージュ)工程で動物性タンパク質を使用していない、ビーガンフレンドリーのワインでもある。

【味わい】
白桃、黄桃、グアバ、そしてパイナップルのトロピカルなアロマ。軽快でピリッとした口当たりで、フレッシュな酸とさまざまな果実のすっきりとした味わいが、口の中で素晴らしいバランスを生み出す。メロンのような丸みをおびた余韻が続く。おすすめのペアリングは、ムール貝の酒蒸し、グリル野菜のマリネ、カプレーゼ、ホタテのカルパッチョ。
Selestaの商品紹介より

品種:シュナン・ブラン100%
タイプ・味わい:白・辛口
アルコール分:13.2%
生産地:ステレンボッシュ
参考小売価格: 3410円

デルハイム カベルネ・ソーヴィニヨン 2019

輸入元のSelestaが「1953年からつくられており、ステレンボッシュの特徴が表現されています」と述べるワイン。Lotriet氏は、「デルハイムの畑では、良いカベルネ・ソーヴィニヨンが育ちます」と自信をにじませている。メルローワインにも、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしているそうだ。「昨晩、和牛ステーキとデルハイムのカベルネ・ソーヴィニヨンをいただきました。タンニンの風味がしっかりしたワインなので、美しい霜降りで脂身の多い肉によく合います」と説明してくれた。

【味わい】
ステレンボッシュのカベルネ・ソーヴィニヨンらしい鉛筆の芯、タバコの葉、カシスの香りに続き、口の中では心地よいタンニンと共に、熟した赤系果実が広がる。長い余韻を楽しめる。
Selestaの商品紹介より

品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
タイプ・味わい:赤・フルボディ
アルコール分:14.5%
生産地:コースタル・リージョン
参考小売価格:5420円

デルハイム ピノタージュ 2020

ボトルは2018ヴィンテージ

みそや鶏肉、豚肉との相性の良さを感じる1本。ステンレスタンクで発酵後、一部を樽とタンクでマロラクティック発酵(MLF)し、フレンチオーク樽で18カ月間熟成させている。「ジェームス・サックリング・ドット・コム(James Suckling.Com)」で90点を獲得。

【味わい】
明るいクリムゾンレッドと紫の輝き。ジューシーで爽快、クローブとアジアンスパイスのアロマ、そして調和の取れたオークのニュアンス。ダークベリーの濃厚な味わい。フィニッシュは柔らかくエレガントに調和し、ほんのりとオークのアンダートーンを感じさせる。モダンで繊細なスタイルのピノタージュ。おすすめのペアリングは、レバーのクロスティーニ、牛のカルパッチョ、ラムチョップ、プロシュート。
Selestaの商品紹介より

品種:ピノタージュ
タイプ・味わい:赤・ミディアム
アルコール分:14.0%
生産地:コースタル・リージョン
参考小売価格:5420円

デルハイム ゲヴェルツトラミネール 2022

デルハイムは、南アフリカでゲヴェルツトラミネールを生産している数少ない生産者の1つだ。フリーランジュース(破砕した時に自然に流れ出した果汁)のみを使用し、ステンレスタンクにて発酵させた後に、8カ月間熟成している。

【味わい】
香水、ライチ、ターキッシュデライト(トルコのお菓子)、バラの花びらのようなアロマが、ほんのりとした白こしょうやショウガの香りの上に広がる。フレッシュでエレガントな口当たり、繊細な果実味と酸味のバランス。ライチとターキッシュデライトの味が口中にきれいに感じられ、フィニッシュはショウガと新鮮なパイナップルのアフターテイストが長く続く。おすすめのペアリングは、タイ料理、中華料理、タンドリーチキン、カレーのスパイスを使うような料理。
Selestaの商品紹介より

品種:ゲヴェルツトラミネール
タイプ・味わい:白・やや辛口
アルコール分:13.2%
生産地:ステレンボッシュ
参考小売価格:5890円


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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ