コラム

生産者が語る! うっかりミスが生んだ奇跡のワイン「タリケ コーテ」とは

フランス・ガスコーニュ地方の白ワインのパイオニアである、ドメーヌ・タリケ(Domaine Tarique)。2025年1月下旬には、オーナーの1人であるアルミン・グラッサ氏と営業担当のシモン・ボワシエラ=ヌーヴィル氏が来日した。

左から、アルミン・グラッサ氏とシモン・ボワシエラ=ヌーヴィル氏

今回は、その際に開かれたランチ会でうかがった話を中心に、「タリケ コーテ」について紹介する。

うっかりミスによって誕生

フランスでも珍しい、混醸(発酵前に異なる品種を混ぜること)でつくられる「タリケ コーテ」。このワインが生まれたのは、全くの偶然だったという。

通常であれば、シャルドネとソーヴィニヨン・ブランの収穫時期が重なることはないが、ソーヴィニヨン・ブランの初収穫となったその年は、収穫のタイミングが分からずに時期が重なってしまったそうだ。シャルドネを収穫した後で、夜中に雨が降るとの予報を聞いて急いでソーヴィニヨン・ブランを摘むことに。慌てて収穫したため、近くに置いていたシャルドネのタンクに、後から摘んだソーヴィニヨン・ブランを混ぜてしまううっかりミスが発生してしまった。しかし、ワインにしてみると思いの外おいしく、商品化することになったという。

ワイン名の「Côté」とは、フランス語で「側/Side」のこと。シャルドネの樽を側に置かなかったら、急に雨の予報が出なかったら、十分に連絡が取り合えていたら、このワインは生まれていなかった。アルミン氏はこの出来事を、「ラッキーなアクシデント」と表現していた。偶然から生まれたワインだが、ドメーヌ・タリケでとても大切にされるワインとなったようだ。

「タリケ コーテ」の味わい

最初はソーヴィニヨン・ブランらしい爽やかなかんきつ系の味わいがあり、続いてシャルドネの丸みが感じられるワインだ。

ドメーヌ・タリケでは全てのワインで、ぶどうを搾った後の皮などを低温で果汁とコンタクトさせて、フルーティーな果皮のニュアンスを引き出している。「タリケ コーテ」では、その期間を長く設定。そうすることで、さらにぶどうのうま味が引き出されたワインになるそうだ。

タリケ コーテ 2022
タイプ・味わい:白・辛口
品種:シャルドネ50%、ソーヴィニヨン・ブラン50%
参考小売価格:2108円(税別)

生産者が語る味わい

このワインについてアルミン氏は、「サラダなどの前菜から魚、肉などのメイン、さらにはデザートやチーズまで、これ1本で合わせられる、アーミーナイフみたいに万能なワインです」と表現している。どんな食事にも合わせやすく、「酸味や甘み、スパイシーさのあるアジアン料理にもすごく合うワインになります」と説明してくれた。


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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ