インフォグラフィック「Red Wine Infographic: Everything You Need to Know about Red Wine」など、複数の記事・書籍を参考にして世界各国の赤ワイン事情を取り上げていく本連載。今回はここ20年近くで、赤ワインの醸造並びに国際的評価を伸ばしているオーストリアとドイツを取り上げる。
固有品種とピノ・ノワールが特徴のオーストリア
オーストリアは、北緯47~48度に位置し、北にドイツ、南にイタリアの国境を接する。気候帯は冬と夏の温度差が激しい大陸性気候に属する。
オーストリアには35品種のぶどうが栽培されており、そのうち13種類が赤ワイン用品種として認められている。栽培は、主にオーストリア南西部に位置するブルゲンラント州で行われている。
白ワイン種のぶどう栽培が盛んな国ではあるが、赤ワインの生産はここ20年で倍になり、赤ワイン用ぶどうの栽培は、ぶどう栽培総面積の3分の1を占めるまでに成長した。
赤ワイン用の主要ぶどう品種は以下の通りだ。
ツヴァイゲルト
オーストリアの固有品種で、オーストリアの赤ワイン用品種としては最も生産が多い。チェリーやベリーなどの森の果実を思わせる豊かなアロマが特徴。3~5年の熟成で飲む若飲み用のワインだ。
ブラウフレンキッシュ
こちらは長期熟成に向いている、やはりオーストリアの固有品種だ。フルーティーかつ、ハーブ香、スパイス香も感じられる。そのバランスの取れた果実味と個性的アロマが、様々な食事とあわせやすくしてくれる。
サン・ローラン
原産地はフランスで、ピノ・ノワールの一種である。ベリーや干し肉のような野性味のあるフレーバーが特徴で、タンニンがしっかりと感じられ、香り高い濃醇な赤ワインが造られる。
ブラウブルグンダー
こちらもフランスが原産のピノ・ノワール。イチゴ、ラズベリー、チェリー、ドライプラムなどの香りと、あまり濃くない色合いが特徴。
ワイン生産世界最北端の国、ドイツ
ドイツの主なワイン生産地は、北緯47~52度に位置し、ワイン生産地の中では世界最北端にある。
ドイツは白ワインで有名であるが、それは赤ワインの人気がないということを意味しない。赤ワイン用のぶどう栽培には、果皮に十分な色素が生成、凝集させるために、たっぷりの太陽光を必要とする。高緯度にあるドイツでは、通常の赤ワイン用品種の栽培は困難だったのだ。
しかし、現在、品種改良が進み、この問題を解決しつつある。
ドイツで最も多く栽培されている赤ワイン用品種はシュペートブルグンダーである。これはドイツ語でピノ・ノワールのことだ。ちなみにシュペートはドイツ語で「晩熟の」、ブルグンダーは「ブルゴーニュのもの」を意味する。
イチゴ、チェリー、木イチゴ、スグリなどの赤系果実を感じさせるエレガントな味わいが特徴となっている。