INDEX
ワインの栓といえば、コルクをイメージする人が多いだろう。スクリューキャップ式のワインも増えているが、どうしても「安物」というイメージが浮かんでしまいがちだ。
ただ、機能面で考えると、スクリューキャップにもさまざまな利点がある。今回はコルクとスクリューキャップの利点を取り上げるとともに、知りたくなかった欠点についても紹介したい。
コルク栓の種類
まず、コルク栓の種類について紹介しよう。主なコルク栓の種類としては、全部で3種類ある。
天然のコルク栓(無垢コルク栓)
コルクガシのみを打ち抜いて作られるコルク栓。ギリシャ・ローマ時代から使われているという。
圧搾コルク栓
主に無垢コルク栓を抜いたあとの屑を粒状にした後、接着剤を使ってブロック状にしたコルク栓。20世紀から使われ始めたものだ。無垢コルクを上下に張り付けたものもある。
合成コルク栓
コルクに似せて、シリコンなどで作られた合成素材。オーストラリアやアメリカなどのニューワールドが1990年代から使い始め、世界各地に広まった。
コルク栓のメリットとデメリット
長年使われ、進化を遂げてきたコルク栓。どんなメリットとデメリットがあるのだろうか。
メリット
・開ける過程を楽しめる
・水を通さないが空気を通すので、封をしたままワインを熟成できる
・無垢コルクは自然のものを使って作られている
・コルクの下から液面までの距離が近いため、ボトルの中でワインが酸素に触れにくい
デメリット
・開けるのが面倒くさい
・熟成の間にコルクが劣化することがある
・無垢コルクは天然物のため個体差があり、コルク臭がワインに移ることがある(およそ3%のワインが影響を受ける)
・一部の合成コルク栓は空気を通さない
また、無垢コルクは合成コルクより、数倍の生産コストがかかっているようだ。そのため使われているのも、比較的高いワインに限られている。
スクリューキャップのメリットとデメリット
一方でスクリューキャップのメリット/デメリットを考えてみよう。スクリューキャップが使われている理由は、安さだけなのだろうか?
メリット
・簡単に開けることができる
・空気を通さずに密閉できる
・コルク臭が発生しない
デメリット
・開ける過程が楽しめない
・安物のイメージがある
・ボトルの口の部分から液面までの距離がコルクよりも長いため、比較的ボトルの中でワインが酸素に触れやすい
コルクとスクリューキャップ、どちらがワインによいのか
メリットとデメリットを比べる限り、
・熟成させるワイン → コルクがオススメ
・熟成させないワイン → スクリューキャップがオススメ
という印象を受けるかもしれない。
実は最近のスクリューキャップでは、適度に酸素を通すものもあり、熟成にも耐え得るようになっているのだ。もちろんコルク臭の心配も要らないし、湿度の影響も受けにくいため、コルクよりも安定して熟成できる素材だともいえる。
スクリューキャップを主に使っているのはニューワールド産のワインだが、最近では歴史ある生産者でもスクリューキャップを導入しているところが増えているという。
寂しいような気がするが、品質へのリスクやコスト面から、今後、スクリューキャップ化が進むのかもしれない。