目で見て、鼻で香りを楽しみ、そして舌で味わうのがワインというものだろう。
ところで、ワインを楽しむ過程で視覚を奪われたら、人々はどんな反応をするのだろうか。そんな面白い挑戦をしたワイン専門店がイギリスにある。
暗闇での試飲会にチャレンジ
こだわりのワインを提供している専門店「Laithwaite’s Wine」は11月4~5日、ウエストミンスターで“暗闇試飲会”を開催した。
30ポンド(約4000円)のチケットを購入した客は真っ暗な部屋の中に入り、数種類のワインを試飲する。どれくらいの暗闇なのかというと、ナイトビジョンゴーグルがないとソムリエも給仕できないほどの暗闇だ。
ワインの注がれる音を聴き、香りや味わいを楽しむ様子は、こちらの動画でも紹介されている。
真のブラインドテイスティング?
ソムリエコンクールやテイスティング大会では、「ブラインドテイスティング」が行われている。ただ、本当に目隠しをしてテイスティングをするわけではない。
ブラインドテイスティングとは、商品名を隠した状態で、グラスに注がれたワインの見た目や香り、味わいなどからワインを推測するというものだ。
今回のLaithwaite’s Liveのイベントでは、視覚を完全に奪ってしまうので、「真のブラインドテイスティング」だと言えるだろう。
暗闇で味覚は変わる?
普段はぶどうの品種や産地による味の違いを事細かに説明しているワイン通たちの味覚は、暗闇の中でどう変化するのだろうか。
イベントを主催したマスター・オブ・ワインのJustin Howard-Sneyd氏は、「暗闇が味覚を強めるかもしれないし、変化させてしまうかもしれない」とコメントしている。
同氏によると、暗闇の中では赤ワインを飲んでいるのか、白ワインを飲んでいるのかが分からなくなるだけではなく、飲んでいるものがワインかどうかも分からなくなる可能性があるそうだ。
もし暗闇で正しくワインが判断できなくなってしまうようなら、何年間も無意識のうちに、視覚でワインを飲んでいたのだと言えるかもしれない。
マネしたら「ドタバタの喜劇」に?
そんな話を聞くと、自分の味覚の確かさを試したくなるワイン通もいるかもしれない。
しかし、Laithwaite’s Wineは十分な準備や専門家抜きで暗闇試飲会を開くのは「ドタバタの喜劇を生み出す可能性がある」と推奨しない考えのようだ。