信州ワインバレーにあるワイン生産地を紹介していく本シリーズ、最後を飾るのは「天竜川ワインバレー」だ。
天竜川ワインバレーの気候・風土
天竜川ワインバレーは長野県南部の伊那谷に位置する。西に中央アルプス、東に南アルプスがある伊那谷は、天竜川に沿って南北に延びる盆地だ。
川沿いは温暖だが、山麓は冷涼な気候。河岸段丘や扇状地が広がっており、日照に恵まれている。水はけのよい土地を利用して、ぶどうなどの果物栽培が盛んな地域だ。宮田村、松川町、伊那市にワイナリーが存在している。
宮田村では、標高650m付近に広がる扇状地を利用したぶどう栽培が行われている。この地にあるワイナリー「本坊酒造 信州マルス蒸留所」は、標高800mほどの場所にある。
「信州まし野ワイン」のある松川町では、標高700m以上の東向きの斜面を利用したぶどう栽培が行われている。
伊那市には伊那谷の農家がぶどうやりんごを持ち込み、少量から委託ワインの醸造を受け入れている「伊那ワイン工房」がある。
天竜川ワインバレーは今後、ワイナリーの新規参入やこの地に適した品種の検討などで、さらにワインづくりが盛んになると期待されている地域だ。
天竜川ワインバレーのワインの特徴
シャルドネやメルローなどの欧州系品種も使用されているが、日本の固有種であるヤマブドウとカベルネ・ソーヴィニヨンとの交配種である「ヤマ・ソービニオン」を使用したワインづくりが盛んだ。濃い色合いや、やや強い酸味、高い糖度が特徴のワインが生み出されている。
また、リンゴを使用したシードルも製造されている。
天竜川ワインバレーの代表的な生産者
りんご加工組合を前身としているのが、松川町にある「信州まし野ワイン」だ。地元の農家から仕入れたヤマブドウやりんごを使用したワインのほか、自社畑で栽培したシャルドネ、メルロー、信濃リースリングなどを使用したワインづくりをしている。
価格帯は1000円台がほとんど。ワインのほかにジュースの製造も盛んだ。
天竜川ワインバレーのエピソード
リンゴ栽培や稲作を主体としていた宮田村は、ぶどう栽培やワインづくりで、村の活性化を目指している自治体だ。ヤマ・ソービニオンの栽培からはじまり、2000年にワイン醸造をスタート。以降、国内のコンクールなどで入賞する高品質のワインを生み出している。
また、村の特産品ワインが飲み放題になる「宮田村ワインまつり」を毎年開催している。
天竜川ワインバレーの代表的なワイン
本坊酒造 信州マルス蒸留所:信州みやだワイン紫輝、信州駒ヶ原ヤマソービニオン
信州まし野ワイン:エクセレントシャルドネ、信濃リースリング、まし野ルージュ、エクセレント山葡萄
伊那ワイン工房:ナイアガラ