フランスで最も有名な女性醸造家と言えば、「マダム・ルロワ」こと、ラルー・ビーズ・ルロワ氏だろう。
全ワイン界から尊敬を集める彼女が率いる名門中の名門「ルロワ」。本コラムでは、「ドメーヌ・ロマネ・コンティに匹敵するクオリティ」と評されるルロワについて、ご紹介していこう。
マダム・ルロワとルロワの歴史
DRCから自分のドメーヌへ
ルロワは1868年に、ブルゴーニュのオーセイ・デュレス村に設立された。ネゴシアンとしてぶどうやワインを買い付け、熟成・瓶詰めしてワインを流通させていた。
先代アンリ・ルロワ氏より、ルロワとドメーヌ・ロマネ・コンティ(DRC)のオーナーの座を引き継いだマダム・ルロワは、DRCとネゴシアンとしてのルロワのビジネスのみならず、ワインづくりそのものに熱い興味を持っていた。
彼女は自社で買い付けるワインのテイスティングに類まれなるセンスを発揮してきたが、「ワインの味の質的変化は、化学肥料などの影響により土壌が痩せてきたことに由来するのでは」という疑念を持つようになり、自身の考えを証明しようと1988年に自らのドメーヌ「ドメーヌ・ルロワ」を設立。畑を所有してぶどうを生産するところから、ワインづくりに携わるようになる。
一方のDRCは、自らのドメーヌを設立したマダム・ルロワを快く思わず対立することに。マダム・ルロワは1991年にDRCオーナーの座を追われ、ルロワに心血を注ぐようになった。
ビオディナミへの挑戦
マダム・ルロワは先に触れたような考えを持っていたため、畑の力を取り戻そうと化学肥料を撤廃。有機農法の中でも、天体の動きに合わせて農作業をしていくビオディナミ農法をいち早く採り入れ、ワインづくりに取り組んでいった。
そうした試みが奏功し、1993年にはワイン評論家のロバート・パーカー氏が、ルロワのワイン3本に同時に100点を付けた。この快挙によって、DRCを追われたマダム・ルロワがDRCを超えようとする姿を、まざまざと世間に見せつける結果となった。
ルロワのワインづくりの特徴
マダム・ルロワの天才的なテイスティング力
マダム・ルロワのテイスティング能力は、人並み外れたレベルにあると言われている。次女であった彼女がネゴシアンとしてのルロワの後継者に選ばれたのも、このテイスティング能力を父が見抜いていたためだったという。
品質への徹底したこだわり
マダム・ルロワのすごさは、絶対に妥協しないワインづくりに取り組む姿勢にもある。
2004年、天候不順の影響で一部のぶどうの出来が悪かった。徹底した選果の上、ワインを醸造したにもかかわらず、マダムの納得のいくクオリティではなかった。
そのため、マダム・ルロワは特級/一級のワインを一切リリースせず、すべてを大幅に格下げてリリースした。
ルロワのおすすめワイン
ルロワのワインには、自社栽培のぶどうを使った「ドメーヌ・ルロワ」のワインと、契約農家のぶどうを使った「メゾン・ルロワ」のワインがある。当然、「ドメーヌ・ルロワ」のものはリリース本数が少なく、希少性が高い。
・コトー・ブルギニヨン・ブラン (ドメーヌ)
・ブルゴーニュ・ルージュ(メゾン)
・マコン・ヴィラージュ(メゾン)
・リュリー(メゾン)
・ジュヴレ・シャンベルタン(メゾン)
・ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ レ・ブード(ドメーヌ)