コラム

ワインファン要チェックの“先物”買い! ボルドープリムールワイン

2019年6月27日、徳岡が主催する「ボルドープリムール試飲会」が東京・表参道で開催された。今回は、フランス・ボルドー地方独自の商習慣である「ボルドープリムール」についてご紹介する。

ボルドープリムールワインとは?

ボルドーでは2019年6月現在、2018年産のワインが熟成中で、出荷されるその時を待っている。2018年秋に収穫したぶどうを醸造し、1~2年の樽熟成を経て瓶詰めされ、短期間の瓶内熟成後に出荷される。日本への入荷は、2021年を予定する。

そのワインを早い時期に試飲し、いわゆる“先物買い”ができるのが、ボルドープリムールだ。若い状態のワインを試飲し、熟成後の味わいを先読みすることで、そのワインの価値を的確に評価する。結果として、シャトーの安定経営が可能になるため、ボルドーでは昔から独自の取引として行われてきた。

ボルドープリムールの利点

プリムールワインの買い付けには、次のような利点が挙げられる。

1.安定した買い付けができる
ボルドーワイン自体の流通量が減少してきている現在、市場に出てからの買い付けではなく、事前に一定数を確実に確保できる。

2.低価格での買い付けができる
一般にワインがリリースされるまでに、3回ほど価格が改定される。プリムールの売れ行きを見ながら価格が上昇していくため、1回目の価格が最も安価となる場合が多い。

ボルドープリムールワインはいつ届く?

プリムールワインは、購入するのは今でも、手元に届くのは約2年後だ。よりよく熟成される可能性を信じ、その2年後を楽しみに待つことになる。シャトーから出荷されたワインは、複数の業者の拠点を経由することなく、ベストな状態でインポーターへ届けられ、インポーターから消費者の自宅などへ配送される。

2018年のボルドーワインの出来は?

ボルドーワイン委員会のアラン・シシェル会長は、2019年4月のボルドーワイン関連の記者会見で、「2018年はどうなるかと思ったが、素晴らしい結果を残すことができた」と話した。

というのも、2018年前半のボルドー地方は非常に雨が多く、5月と7月にはひょうが降るという異常気象に見舞われたからだ。加えて、ベト病も蔓延するという散々な状態であったという。しかし、7月以降の天候は一変して好天に恵まれた。ぶどうの成熟状態は完璧とも言え、過去のグレートヴィンテージの要素を複数持ち合わせている。

ボルドープリムールで購入できるワイン

“優れたクオリティ”が見込まれる2018年ヴィンテージ。インポーターの徳岡のWebサイトで購入できるボルドープリムール銘柄を、いくつかご紹介しよう。

シャトー クロワ ド ラブリ 2018

生産地:サンテミリオン
ぶどう品種:メルロー90%、カベルネ・ソーヴィニヨン7%、カベルネ・フラン3%
特徴:醸造コンサルタントのミシェル・ローラン氏の指導を受け、丁寧な畑の手入れ、醸造をしている。評価の高かった2015年ヴィンテージより優れている可能性がある。濃厚な味わい、絹のような滑らかさが特徴だ。
プリムール価格:9790円

クロ バドン テュニュヴァン 2018

生産地:サンテミリオン
ぶどう品種:メルロー90%、カベルネ・フラン10%
特徴:醸造家ジャン・リュック・テュニュヴァン氏の妻ミュリエル氏が指揮を執るメゾン。濃い色合い、プラムやベリーの香り、凝縮感のある味わい、そしてハーブの爽やかさが感じられる。
プリムール価格:4200円

バッドボーイ 2018

生産地:サンテミリオン
ぶどう品種:メルロー100%
特徴:「バッドボーイ」という名は、ワイン評論家のロバート・パーカー氏が醸造家ジャン・リュック・テュニュヴァン氏に付けたあだ名にちなんでいる。“やんちゃ者”といったニュアンスだ。低価格ながら高品質なワインを求めて、2005年に初リリースした。
プリムール価格:1660円

シャトー バタイエ 2018

生産地:ポイヤック
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン80%、メルロー17%、プティ・ヴェルド3%
特徴:メドック第5級シャトーで、メドックで最も古いシャトーの1つ。しっかりとした骨格、バラやラベンダーのような豊かな香りが特徴。例年と比べ、非常にパワーの感じられる仕上がり。
プリムール価格:5690円

シャトー ラ ドミニク 2018

生産地:サンテミリオン
ぶどう品種:メルロー85%、カベルネ・フラン12%、カベルネ・ソーヴィニヨン3%
特徴:豊かな果実味と柔らかな口当たり。芳醇で官能的な仕上がりだ。サンテミリオン特別級に格付けされたシャトーで、現在は、ミシェル・ローラン氏がコンサルタントを務める。
プリムール価格:7210円

シャトー カマンサック 2018

生産地:その他メドック
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー50%
特徴:熟した果実の香りに、チョコレートやナッツのニュアンスがある。タンニンに裏付けされたしっかりとしたボディが特徴的。シャトーはメドック第5級に格付けされている。
プリムール価格:3980円

シャトー シトラン 2018

生産地:その他メドック
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー50%
特徴:現在は優れたシャトーを多く所有するタイヤングループの傘下だが、その歴史は11世紀までさかのぼることができる。敏腕醸造家、ミシェル・ローラン氏がコンサルタントを務め、クリュ・ブルジョワ級の中でも最上級と言われることも。低価格ながら長期熟成に耐え得るポテンシャルを持つ。
プリムール価格:2400円

シャトー ラ トゥール カルネ 2018

生産地:その他メドック
ぶどう品種:メルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン37%、カベルネ・フラン3%
特徴:メドック第4級、その起源は12世紀までさかのぼることができる歴史あるシャトー。1962年までは荒れ果てていたが、シャトーの改築後、素晴らしい品質のワインを再び生み出すようになった。ミディアム~フルボディのしっかりしたワイン。
プリムール価格:3840円

シャトー マラルティック ラグラヴィエール白 2018

生産地:グラーヴ
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン90%、セミヨン10%
特徴:赤ワインも高評価だが、白ワインの方が高値で取引されている。ベルギー人のアルフレッド&ミシェル・アレクサンドル・ポニー夫妻が1996年にシャトーを購入。以降、劇的に品質が上がっている。リンゴや洋ナシのアロマ、しっかりした味わいのボディ。2030年頃まで熟成が可能な白。
プリムール価格:7410円

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身