コラム

2019年自然災害に苦しんだボジョレー地区、ヌーボーに使うぶどうの出来映えは!?

今年(2019年)のボジョレー・ヌーボーの解禁日は11月21日。日本でも、解禁日のかなり前から小売店がボジョレー・ヌーボーを大々的に宣伝している。その様子からも、ボジョレー・ヌーボーの解禁日がイベントとしてだいぶ浸透してきたと言えるだろう。

ボジョレー・ヌーボーを心待ちにしている人にとっては、出来栄えが気になるところ。デカンター誌が、ボジョレー地区のぶどうの出来栄えについて掲載したので、紹介したいと思う。

雹、熱波、霜の被害に苦しんだ2019年

インターボジョレーによると、2019年の収穫量は、4月の霜による被害、夏の熱波と雹(ひょう)による被害で、例年よりも25%以上落ち込む見込みだ。豊作だった2018年の収穫量が8000万リットルだったのに対し2019年は6000万リットル以下になるという。

今夏、ボジョレー地区は、熱波により気温が40度を超え、水不足にも陥る異常気象に見舞われた。それに加え、8月には直径およそ8cmの大きな雹が1日に数回降るなどの被害もあった。被害のひどい地域では例年の30%ほどの収穫しか見込めない畑もあるという。

しかし幸運なことに、収穫量は激減したが、ぶどうの成熟具合は申し分なく、質の高いぶどうができているようだ。

その年のブルゴーニュ産ワインを予想する上で重要なボジョレー・ヌーボー

ボジョレー地区は、フランス、ブルゴーニュ地方の南端に位置する。そこで栽培されたガメイ種を使用してつくる新酒が「ボジョレー・ヌーボー」だ。

ボジョレー・ヌーボーは、8月終わりから9月頃に収穫したぶどうを、通常とは違う方法で醸造し、およそ2カ月という短期間でつくられる。そのため、ぶどうの質でワインの良し悪しが決まる。ボジョレー・ヌーボーの出来栄えで、その年のブルゴーニュ地方のぶどうの出来栄え、ひいてはワインの出来栄えが予想できるという。

ボジョレー・ヌーボーは赤ワインとロゼワイン 白ワインの新酒は?

ブルゴーニュ地方のその年の赤ワイン、ロゼワインの出来栄えが分かるボジョレー・ヌーボー。しかし、使用するぶどうは黒ぶどう品種のガメイ種と定められているため、ボジョレー・ヌーボーは赤ワインとロゼワインだけになる。

では、ブルゴーニュ地方の白ワインの出来を予測できる白ワインの新酒(ヌーボー)は、存在するのだろうか。

ボジョレー・ヌーボーと比べると影が薄いが、白ワインのヌーボーもちゃんと存在する。白ワインヌーボーは、ボジョレー地区の隣に位置し、ブルゴーニュ地方の白ワインのおよそ4分の3を産しているマコネ地区でつくられている。シャルドネ種を使用してつくられるこのヌーボーは、「マコン・ヴィラージュ・ヌーボー」と呼ばれる。そしてマコン・ヴィラージュ・ヌーボーの解禁日も、ボジョレー・ヌーボーと同じ11月の第3木曜日となっている。

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