コラム

日本の優れた逸品を選出する「フード・アクション・ニッポン アワード」、受賞10産品が決定!

日本の農林水産物や食文化の魅力を生かした産品を発見するコンテスト「フード・アクション・ニッポン アワード」。農林水産省が主催するこのコンテストは、2009年に初めて開催されてから、今年で11年目を迎える。

「フード・アクション・ニッポン アワード」とは?

「フード・アクション・ニッポン」とは、国産農林水産物の消費拡大を図るため、民間企業・消費者・行政などが一体となって進める国民運動のこと。そして、国産農林水産物の魅力を生かした優良な産品をコンテスト形式で発掘・表彰するのが、フード・アクション・ニッポン アワードだ。大型百貨店、流通、外食事業者などが審査委員となり、最終審査で「受賞」10産品を選定する。これらの産品は、審査委員各社の流通販路を通じて消費者に届けられる。

2019年度は日本全国から1491産品の応募があったが、まず1次審査で入賞100産品を選定。その中から、審査企業のトップ10人が自社の商品として販売したいという1品をそれぞれ選んだ。そのほか、2019年10月1日から期間限定で開設された「フード・アクション・ニッポン 食堂」で実際に入賞産品を食べた一般のゲストがお気に入りを投票した結果、多くの票を集めた5産品が特別賞を受賞した。

表彰式と受賞産品

2019年10月17日に開催された表彰式では、冒頭の挨拶で農林水産省食料産業局長の塩川白良氏が、「現在、日本のスーパーを見ると、並んでいるのは輸入品が多い。少しでも安い買い物をしたいという姿勢が見て取れる。そういった状況を少しでも打破したい」と同事業の狙いを説明した。


審査基準と審査員

続いて、審査経緯の説明と審査基準について紹介された。具体的な審査基準は次の通りとなる。

<審査基準>
・国産農林水産物の消費拡大、あるいはその意識の啓発に寄与している
・地域の食材・知恵・技術等を活かしている
・生産者や産地の情報が明確に伝わるなど、消費者からの信頼を高める工夫がされている
・仕入れたい魅力を感じる
・類似産品にはない新たな工夫が感じられる
・ストーリーを感じる
・作り手の想いが伝わる
・美味しさを期待できる

審査委員は次の10社。それぞれ、社長や代表などトップが登壇した。

<受賞産品の審査委員>
・アマゾンジャパン合同会社
・イオンリテール株式会社
・株式会社イトーヨーカ堂
・株式会社オンワード樫山
・株式会社紀ノ國屋
・株式会社トランジットジェネラルオフィス
・株式会社阪急阪神百貨店
・株式会社フォーシーズ
・星野リゾート
・株式会社ローソン

「特別賞」「受賞」に選出された産品

表彰式は、100産品の生産者が一堂に会するなか、緊張感を伴って始まった。まず、一般消費者の投票によって選ばれた「特別賞」が紹介された。その後、審査委員を務めた10企業が選定した受賞産品を表彰した。各社のトップがそれぞれの受賞理由を紹介したが、こだわりにあふれた産品の背景に触れ、思わず熱くなる場面も。受賞した企業も喜びにあふれたスピーチを披露した。

「特別賞」5産品

・栗駒フーズ「栗駒高原竹炭ヨーグルト」

・今井ファーム「プレミアム淡路島たまねぎかくし玉擦りおろしドレッシング」

・森山「湯庵プリン(プレーンはちみつとみのり)」

・すが野「すが野の国産たたきごぼう」

・広尾地サイダー企画委員会(販売:橘産業)「広尾しおサイダー」

「受賞」10産品

審査委員:アマゾンジャパン合同会社
受賞産品:グルテンフリーティーズキッチン「グルテンフリーヴィーガンラー油」
受賞理由:ダイバーシティ時代にふさわしい産品だと感じた。2020年には、多様な国の人々が訪れる。それに向け、ダイバーシティを意識した産品を増やしていかなければならない。たくさん売っていきたいと思う。

審査委員:イオンリテール株式会社
受賞産品:宮城学院女子大学「伝承牡丹焼『鯖ちくわ』」
受賞理由:産学の取り組みが非常に成功している。伝統製法、安心な材料、ちくわという手軽さやサバの人気、そして何より地域に貢献したいという思いを感じる産品だ。

審査委員:株式会社イトーヨーカ堂
受賞産品:株式会社SUNAO製薬「九州ドライベジ」
受賞理由:大変すばらしい産品だと感じた。1400gの中にニンジン2本、キャベツ1玉に加えて、ワカメや小松菜などが入っている。そのまま食べてもおいしいし、戻すと5倍の量になる。忙しい主婦や一人暮らしの方など、ラーメンなどにそのまま入れれば野菜不足が解消できる。

審査委員:株式会社オンワード樫山
受賞産品:有限会社ロイヤル「ブランデーケーキ(スタンダード)」
受賞理由:オンワードでは、全国の社員が各地に根付いた産品を発掘し、販売する通販サイトを持っている。そちらでぜひ販売したい。製造された1日目と賞味期限の90日目とで、熟成して味が変わってくるのが面白い。また、ブランデーの他に、日本酒も使っているのは魅力的だ。

審査委員:株式会社紀ノ國屋
受賞産品:有限会社竹内商店「土佐のぶしみそ」
受賞理由:日本伝統の調味料であるみそ、うま味のある宗田節を組み合わせていること、化学調味料や着色料を使っていないこと、県内に3軒しかないかつお節店の1つが、かつお節の魅力を発信したいと開発したこと。全てに妥協がない。

審査委員:株式会社トランジットジェネラルオフィス
受賞産品:カタシマ株式会社「朝倉山椒タプナードVERT」
受賞理由:日本原産のハーブでありスパイスであるさんしょうをうまく加工し、海外へもアピールできる商品に感じる。トランジットジェネラルオフィスの多様な業態の飲食店舗に展開できる調味料だと感じた。

審査委員:株式会社阪急阪神百貨店
受賞産品:開屋本舗株式会社「coco-vege わたしにやさしいチップス(国産お野菜+ココナッツオイル)」
受賞理由:“もったいない”という精神でつくられていることに加え、おいしくてパッケージも魅力的。百貨店を訪れる顧客、そして子どもたちに積極的におすすめしたい。

審査委員:株式会社フォーシーズ
受賞産品:ナチュラルファームタニグチ「タカノプリンセス」
受賞理由:安心で安全な産品であり、希少価値のあるフルーツ。丸い味わい、夏のイチゴであること。そして、名前を聞いて商品をすぐ連想できること、全ての条件がそろっている。

審査委員:星野リゾート
受賞産品:合同会社田島柑橘園&加工所「AJIOH 食べるより美味しい冷凍ジュース クレメンティン」
受賞理由:星野リゾート“界”での展開ができる商品だ。他の産品も全ておいしいので、おいしさだけが受賞理由ではない。製品になるまでのストーリーがあること、このクレメンティンの他にいくつかの冷凍ジュースがあり、全て見栄えが素晴らしく、ゲストが写真に撮って世界に拡散してくれることと思う。

審査委員:株式会社ローソン
受賞産品:有限会社仁井田本家「こうじチョコ」
受賞理由:仁井田本家という会社の思いにほれ込んだ。ローソンも各店舗が地域に根差し、地域を発信するような店舗になってほしいが、仁井田本家こそ地元の誇りを胸に自給自足を実現した、世界最高のつくり手と感じている。

受賞した産品は、審査企業の経営する店舗や物流サービスなどで積極的なセールスを展開されることになる。地元の誇りをかけて開発・販売してきた産品が、日本全国の消費者の手に渡る、そんな期待と興奮にあふれた表彰式だった。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身