コラム

アジア最大のワイン審査会「ジャパン・ワイン・チャレンジ2019」発表。最高位はハンガリーの貴腐ワインで、日本ワインも入賞

アジア最大規模のワイン審査会の一つと言われ、国内外からエントリーされた多くのワインから、様々な部門ごとにベストワインを選ぶ「ジャパン・ワイン・チャレンジ」が2019年度も開催された。

ジャパン・ワイン・チャレンジは、1997年に設立された国際ワインコンクールだ。その規模は年々拡大しており、今年の「第22回ジャパン・ワイン・チャレンジ2019」(JWC2019)には、世界中から1200種以上のエントリーがあった。

例年、エントリーワインの中から、デザートワインやローズワインなどの部門ごとにベストワインが選出され、トロフィー賞が与えられる。それだけでなく、全ワインの中における最高位(BEST OF SHOW)も決定される。さらには、金賞や銀賞、銅賞なども選ばれる。

本年度も、国内外のワイン業界から経験豊富な審査員が集まり、1日100本程度のワインをテイスティングして議論を重ねた。その結果、JWC2019では、トロフィー賞の受賞ワインが13種、プラチナ・ゴールド賞18種、金賞120種、銀賞260種、銅賞が533種となった。

本記事では、受賞ワインの中から、BEST OF SHOWとデザートワイン部門のトロフィー賞を獲得した「TOKAJI ASZU 6 Puttonyos(トカイ・アスー・6プットニョシュ)2013」や、ローズワイン部門のトロフィー賞を取った「2017高畠クラシック マスカット・ベーリーAブラッシュ」について解説する。それに加えて、金賞や銀賞、銅賞を受賞した日本産ワインを紹介していく。

JWC2019 トロフィー賞受賞ワイン

TOKAJI ASZU 6 Puttonyos(トカイ・アスー・6プットニョシュ)2013

価格:2万8000円
アルコール度数:10.58%

ジャパン・ワイン・チャレンジに本年度、初参戦し、いきなりベスト・オブ・ショーとデザートワイン部門のトロフィー賞を獲得したのが「トカイ・アスー・6プットニョシュ 2013」だ。

「トカイ・アスー・6プットニョシュ 2013」は、ハンガリーのトカイ地方にワイナリーを構えるデゲンフェルド(Gróf Degenfeld)伯爵家によって生み出された貴腐ワインだ。ハンガリーのトカイ地方で生まれる貴腐ワインは、フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼと並び、世界三大貴腐ワインの一つとされている。

その魅力は何と言っても、貴腐ぶどうのもたらす濃厚な甘さ。残留糖度は197g/ℓにも及ぶ。プットニョシュは136 ℓの樽の中に、1籠(プットニ)約25kgの貴腐ぶどうが何杯分含まれているかを表し、糖分含有量によって3~6プットニョシュのランク付けで分類されている。

飲み初めは柑橘類に蜂蜜をかけたような甘さが感じられ、後から桃の味がやってくる。若い状態でも飲めるが、年とともに味が豊かになり、深みが増すという。

香りもオレンジの砂糖漬けのようで、微かに桃のニュアンスもある。色は透明感のある淡い黄色。デザートワインなので冷やして飲むのがおすすめ。飲み頃は11℃だ。

2017高畠クラシック マスカット・ベーリーAブラッシュ

価格:1400円(税込)
アルコール度数:13%

「2017高畠クラシック マスカット・ベーリーAブラッシュ」は、山形県の高畠町に位置する高畠ワイナリーの赤ワイン。ローズワイン部門でトロフィーを獲得し、金賞も受賞した。

日本を代表する赤ワイン用のぶどう品種マスカット・ベーリーAを使用。高畠町内の契約農家から最も熟したぶどうだけを集め、セニエ製法により醗酵させることで、エレガントなブラッシュ=薄いピンク色をつくり上げている。

セニエ製法とは、ぶどうの果汁と果皮を一緒に仕込み、果皮の色が果汁に移った段階で、果汁だけを抜き取って発酵させる手法のこと。高畠ワイナリーでは、この際に皮からの抽出を抑え、淡い色調のフルーティーなスタイルを生み出している。

また、じっくりと低温で発酵しているため、果実の美味しさが引き出されている。口に含むと、辛口ながらほのかに甘みがあり、程よい酸味とボディ感が感じられる。幅広い料理とマッチする一本だ。

JWC2019 金賞受賞ワイン

尾ノ下エステートシャルドネ#5 2018

価格:3300円(税込)
アルコール度数:11%

宮崎県都農町の都農ワインがおくる白ワイン。自社農園で収穫したシャルドネを100%使用し、良質な果汁のみを6カ月間オーク樽の中で発酵させる。その際、澱引きせずに澱の上で熟成させるシュール・リーを行うことで、複雑味と厚みのある味わいを生み出している。

透明感のある澄んだ色合いが特徴で、ほんのりと黄色い色調の中に若さが感じられる。レモンなどの柑橘系の香りに腐葉土のようなアロマ、優しいオーク樽のニュアンスとの一体感が堪能できる。

口に含むと、シャルドネ自身に備わった果実味に加え、新鮮で爽やかな酸味、シュール・リー由来の旨みを味わえる。喉ごしは柔らかで、レモンを皮ごとかじった時のような苦味がアクセントになる。余韻は程よく、中程度に続く。3年から5年かけて熟成のピークに向かうので、将来の変化を楽しむこともできる。

JWC2019 銀賞受賞ワイン

牧内アンウッディドシャルドネ 2018

価格:2618円(税込)
アルコール度数:10%

こちらも都農ワインの白ワインで、自社農園で栽培したシャルドネのみを使用。アンウッディドとはウッド(樽)を使っていないという意味で、オーク樽を使用せずに、良質な果汁のみをステンレスタンクで3週間、15度で低温発酵させている。発酵終了後は直ちに澱引きし、さらに6カ月間タンクで熟成させる。

色調は輝きのあるシャンパンゴールド。第一印象として、パイナップルやバナナのような南国系の果物の甘い香りが感じられる。グラスを回すと、白桃や青リンゴに似た爽やかで上品な香りが、鼻腔をくすぐる。

口当たりはやや辛口。味わいは、凝縮したまろやかな果実の甘味と爽快な酸味があり、熟したキウイフルーツのよう。余韻として、グレープフルーツをかじったような苦みが口中に広がる。全体的に南の風を感じることができるワインだ。

JWC2019 銅賞受賞ワイン

伊豆シンフォニー・レッド プレミアム 2015(赤・辛口)

価格:5700 円(税込)
アルコール度数:12%

温暖な伊豆の自然に育まれたぶどうがもたらす、濃い赤色が特徴。口に含むと、プラムやカシスなどの赤黒い果実の風味とやわらかなタンニンが口全体に広がる。赤い果実の香りはもちろん、樽由来の香ばしさも感じられる。

甲州 2017 樽熟成

価格:2300円(税込)
アルコール度数:13.5%

辛口の白ワイン。山梨県産のぶどう「甲州」をタンクで発酵し、樽で熟成させている。柑橘系とハチミツの入り混じった甘い香りのほか、樽によるナッツのような香りも感じられる。

シャトーT.S ホワイト甘口 2018

価格:1650円(税込)
アルコール度数9.5%

日本産ぶどうを100%使用した甘口の白ワイン。甲州、デラウェア、ナイアガラ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランをブレンドしている。フルーティーな香りと爽やかな酸味、適度な甘みの調和が取れている。

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