コラム

ワインコルクのアートでコロナ疲弊する飲食店を支援! オリジナルラベルのワイン販売プロジェクトが始動

新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国に緊急事態宣言が発令され、政府から外出自粛や営業休止・時短営業などが要請される今、日本の飲食業界の冷え込みは激しい。

多くの飲食店が売り上げを落としているが、それには当然、ワインを販売するレストランやバーなども含まれている。このままでは飲食店のみならず、日本のワイン産業にも影響しかねない。

そんな窮地に立たされているワイン業界に貢献できることはないかと、1人の男性がクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」でプロジェクトを立ち上げた。ワインのコルクを使った「コルクアート」で、感染拡大の影響で疲弊しているレストランを支援したいという。

廃材コルクを使って描くコルクアート

発起人は、ソムリエでコルクアーティストの久保友則さんだ。コルクアートを描くため、日本各地のレストランやワインショップから廃材コルクを集め、コルクについたワインの自然の色合いを生かし、さまざまな肖像画を描いている。

コルクアート活動は、これまで6年間続けてきたという。肖像画を1枚描くのに2400個のコルクを用いるといい、6年で25枚の肖像画を製作し、5万個以上のコルクを使用してきた。その作品は国内外で高く評価されており、オーダー作品は諸外国に輸出することもある。しかも、2019年には海外のアート展に招かれた実績を持つ。

コロナショックで苦しむレストランを支援したい

久保さんは今回のクラウドファンディングで、2つのことに挑戦する。1つは「やりたいこと」、そして1つは「やるべきこと」だという。

コルクアートの新作をブルゴーニュワインに

その1つは、未発表のコルクアートの新作2枚をワインラベルにして、2種類のワインを同時に発売することだ。フランス・ブルゴーニュワインにコルクアートをデザインしたラベルを付けて販売するという、新しい取り組みになる。

ワインの聖地であるブルゴーニュのワインは、ラベルなしではなかなか輸入できないが、今回、数量限定で輸入できたという。これは、久保さんの協力者であるソムリエの今野有子さんがフランスの生産者のもとで何日もぶどうの栽培やワインの仕込みを手伝い、日本に輸入したいという思いを伝えた結果、実現した。

このワインにふさわしいラベルはどんなものなのか、久保さんはデザイナーのハヤシコウさんと思案を重ね、「貴婦人」「ユニコーン」という2つのアート作品を完成させた。この2作品の完成には3年の年月を費やしたという。貴婦人ラベルは赤ワイン「ブルゴーニュ・ルージュ2016」に、ユニコーンラベルは白ワイン「マコンミリー・ラマルティーヌ2015」に貼られる予定だ。

コルクアートラベルのワインを無料でレストランに提供

2つ目の取り組みは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦しんでいるレストランに、コルクアートラベルのワインを無料で提供すること。これまでコルクを譲ってくれたレストランを中心に寄贈する。「仕入原価0円のワインの売り上げを少しでも今回のコロナショックの足しにしてほしい」と、久保さんは語っている。

しかし、これまでコルクを提供してくれたレストランは100軒ほどあり、全てのレストランに無料でワインを届けることは、久保さんには不可能だ。そこで、今回のプロジェクトを立ち上げた。

プロジェクトでは、ワインをレストランに寄贈するための「支援付き・ワインリターン」が用意されている。これには、リターンで受け取るワインの他に、約3000円分のレストラン支援ワイン代が含まれている。このワインリターンを購入した2組につき1本のワインが、レストランに届けられる仕組みになっている。しかも、贈られるワインには、支援者の名前が添えられる。「その人がレストランを訪れた時、会話が生まれてくれたらうれしい。共にこの苦境を乗り越えるためのわずかな支援をアートの可能性に託したい」という思いをラベルに込めたと久保さんは語る。

支援は現在募集中で、目標額は100万円。クラウドファンディング期間は2020年5月25日までとなっている。支援付き・ワインリターンには2本セットなどもあり、支援金は1万円~1万6000円。ワイン以外にも、作品の実物サイズのポスターやコルクアート作品の現物もリターンで用意しており、さまざまな支援が可能だ。

久保さんは、「ワインだけの購入も大歓迎。ただ少しだけ、これまでのコルクアートをつくり上げるために多くのコルクを提供してくれたレストランに感謝の気持ちを込めて、自分たちにしかできない支援ができたら」としている。

<関連リンク>
『コルクアート』ワインで、コロナ疲弊しているレストランを支援したい!

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