コラム

ドイツワイン、2020年おすすめの20本! Wines of Germany 日本オフィスの消費者向けセレクション

Wines of Germany 日本オフィスは、初めての消費者向けセレクションとなる「Wines of Germany セレクション2020」を発表した。

「Wines of Germany セレクション2020」とは

日本でのドイツワインの普及を目的に2016年に開設されたWines of Germany 日本オフィスは、2020年で5年目を迎える。最初の3年間は、日本市場への参入を強化するため、インポーターや小売業者に対して普及活動を行った。2019年からは消費者に対する普及活動に力を注ぎ始め、5年目となる今年、その活動を本格化。主な活動として、消費者向けのドイツワイン・セレクションを発表するとしていた。

そしてこの春、日本市場に参入したドイツワインの中から、消費者におすすめのワインを選出する「Wines of Germany セレクション」が開催された。「Wines of Germany セレクション2020」には、158銘柄(うち4銘柄は棄権)のワインがエントリー。6人のテイスターがブラインド・テイスティングで評価し、20本が選出された。

「ドイツワイン 飲めば、きっと、好きになる。」というキャッチフレーズとともに発表された「Wines of Germany セレクション2020」は、1000円以下のワインから5000円台のワインまで幅広い価格のものが選出されていて、さまざまな消費者のニーズに応えられるようになっている。

大きな変化の中にあるドイツワイン

地球温暖化による気候の変化や、若手生産者をはじめとする生産者の意識の向上に伴い、ドイツワインは今、大きな変化の中にあると言われる。

甘口の白ワインが主流だったドイツだが、近年では辛口ワインでも高い評価を得るようになり、品質の高い辛口白ワインの生産国として地位を確立しつつある。ドイツではリースリングが多く栽培されてきたが、近年、ピノ品種のピノ・ブラン(ヴァイスブルグンダー)やピノ・グリ(グラウブルグンダー)、ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)の栽培面積が急増するとともに、これらのぶどうの品質も向上した。さらに、若手の生産者が伝統的な製法と現代的なアイデアを融合させたり、テロワールを反映したワインづくりを志したりと、ワイン生産者の意識の向上と努力も加わり、辛口白ワインの品質が高まった。

また、「ドイツワインと言えば白」と言われるほど白ワインが主流だったが、近年では赤ワインの生産が増え、現在ではドイツワインのおよそ34%を赤ワインが占めている。そして、現代のドイツ赤ワインの魅力を最もよく表現しているとされるのが、ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)からつくられるワインだ。他国で経験を積んだ生産者が、「量より質」を優先させた結果、ドイツ特有の魅力が備わったという。そのほか、注目すべき赤ワインとして、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、ドルンフェルダーからつくられる優美なワインが挙げられる。

このように、大きな変化を迎えているドイツワインは、白・赤ともに、Wines of Germany セレクションに関わったテイスターから高い評価を得た。ワイン価格が上昇傾向にある中、ドイツワインがコストパフォーマンスに優れている点や、どんな料理にも合うフードフレンドリーなワインである点などが高く評価された。

「飲めば、きっと、好きになる。」20本のドイツワイン

日本の消費者におすすめしたいドイツワインとして、専門家がブラインド・テイスティングで選んだワインは、次の20本だ。1000円以下~5000円台と価格帯も幅広く、世代やライフスタイルに合わせて選択可能なセレクションになっている。

白ワイン

ベルンハルト コッホ,リースリング ゼクト ブリュット 2016

産地:ファルツ
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:2860円(税込)

黄桃、柑橘、白いコリアンダーなどの香りが豊かに漂う、カジュアルに楽しめる辛口のスパークリング(ゼクト)。きめ細かな泡と柑橘系の果実の味わい、豊かに広がる酸も楽しめる。鶏肉とキャベツの炒め物、タケノコと春キャベツの生姜炒めなど、週末の自宅ランチパーティで料理をつまみながら味わいたい。

マイネ・フライハイト,リースリング ゼクト ブリュット 2015

産地:ラインガウ
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:4290円(税込)

だしのうま味を生かした和食によく合う、品格ある1本。ラインガウ地方らしいスモーキーなタッチ、白檀の香りも感じられる。レモンやライムのようなジューシーな酸、柑橘の皮のニュアンスもあり、記念日などに味わいたい大人のスパークリングだ。

アルベルト・グラス,リースリング ゼクト ブリュット

産地:ファルツ
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:4180円(税込)

まじめな好青年を思わせる、正統派のリースリング。黄色のリンゴや柑橘の香りが特徴的で、その奥からはスモーキーさやコリアンダーのニュアンスを感じる。フレッシュではっきりとしたアタックがあり、酸にも切れ味がある。安心感のある、王道のワインだ。

シュテアライン・クレニッヒ,ランダースアッカー ゾンネンシュトゥール ジルヴァーナー E.L. 2018

産地:フランケン
ぶどう品種:ジルヴァーナー
参考小売価格:3630円(税込)

メロンやスイカを思わせる、軽快でジューシーな飲み口の白ワイン。後からカリンのような果実の味わいも追い掛けてくる。味わいは辛口で、ジルヴァーナーらしいスモーキーさ、土壌に由来する石灰の香り、ムスクの香りも感じられる。

ヴァグナー・シュテンペル,ヴァイスブルグンダー トロッケン グーツヴァイン 2017

産地:ラインヘッセン
ぶどう品種:ヴァイスブルグンダー
参考小売価格:2970円(税込)

引き締まった果実味と、穏やかな酸が魅力のハイレベルな1本。洋梨、アカシア、ピノ系品種ならではのチェリーの要素もあり、香り豊か。後味に、コリアンダーなどの白いスパイス、ムスクなどの要素が感じられる。

ピーロート・エステート,ブルクライヤー ヴァイスブルグンダー 2018

産地:ナーエ
ぶどう品種:ヴァイスブルグンダー
参考小売価格:4620円(税込)

最初から最後まで、心地良いビターなアクセントを感じる白ワイン。香りは穏やかで、洋梨、ドロップ系、シトラスフルーツ、ハーブ、甘草、スパイスなどのニュアンスがある。果実味が豊かで酸も柔らかい。親しみやすく、幅広い人が楽しめるワインだ。

ダルティング,デュルクハイマー シェンケンブール グラウブルグンダー 2018

産地:ファルツ
ぶどう品種:グラウブルグンダー
参考小売価格:2750円(税込)

黄色のパパイヤ、パイナップル、白コショウ、コリアンダー、じゃ香など、複雑でトロピカルな香りを特徴とする。果実、酸、残糖のバランスが良く、豊かで味わいに緩急があり、テンションも高い。ピノ・グリの皮から抽出された黄金がかった色合いが美しく、余韻の長さも魅力だ。

Dr.von.バッサーマンヨーダン エステート・リースリング 2018

産地:ファルツ
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:2508円(税込)

冷涼で緊張感に満ち、ドイツらしい陰影が魅力のリースリング。ライムや青リンゴ系の香りが強く、その奥からアイリスの花、スズラン、白コショウ、ハーブのアロマも感じる。ライムやレモンを思わせる、鋭角的な酸も味わえる。

ドクター・ローゼン,リースリング トロッケン 2018

産地:モーゼル
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:2860円(税込)

繊細で控えめながら、引き締まった山のミネラルの要素があり、硬質さが光る。青リンゴ、アイリスの花、ライム、フヌイユ(ウイキョウ)などのアロマを感じる。酒質はのびやかで余韻が長く、後味も心地良い。京都や金沢、奈良などの古都に旅して、老舗旅館でしっとりと飲みたい1本だ。

カール・ローウェン,リースリング クアント 2018

産地:モーゼル
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:2695円(税込)

リースリングの王者モーゼルの魅力漂う、格調高い味わい。グリーンがかったレモンイエローの色調を持ち、アロマティックでフレッシュ。シスト土壌からくる岩を連想させるミネラル、白い果実の香りの要素もある。ピュアながら、口中ではとろりとした酒質も感じられる。

ペーター・メルテス,リースリング カビネット 2018

産地:ラインヘッセン
ぶどう品種:リースリング、ミュラー・トゥルガウ
参考小売価格:935円(税込)

1000円以下で、コスパ抜群の1本。リースリング主体にミュラー・トゥルガウをブレンドし、洋梨、ミカンの皮、ライム、すだち、柚子などの柑橘系のアロマが感じられる。味わいは穏やかで親しみやすく、ジューシー。アペリティフとして、生ハムやエビとアボカドのカクテルなどのフィンガーフードと一緒に楽しみたい。

クリフハンガー,リースリング 2018

産地:モーゼル
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:1848円(税込)

低アルコールで飲みやすく、親しみやすいワイン。青リンゴや黄色のリンゴ、柑橘の香り。葱などを連想させる白く甘苦いトーンがある。やや辛口で、葱やエシャロットのおいしさを生かした料理と相性が良い。

ヨーゼフ・ビファー,リースリング ハルプトロッケン 2016

産地:ファルツ
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:1650円(税込)

リンゴ、ライムなどの透明でみずみずしい果実をイメージさせる、中辛口の白ワイン。後味にはフレッシュな酸もあり、どんな料理にも合わせやすい。ピクニックやハイキングなどで軽快に、アペタイザー的に楽しみたい。

クラス,エアバッハー ミヒェルマルク ファインヘルプ 2017

産地:ラインガウ
ぶどう品種:リースリング
参考小売価格:2090円(税込)

酸と甘みがきれいに調和した、懐の深いやや甘口の白ワイン。暖かい年ならではの柔らかな口当たりで、口中に穏やかな風味が漂う。青色から黄色のリンゴ、アカシアの蜂蜜、菩提樹のニュアンスがあり、午後のおやつ代わりに冷凍庫でよく冷やして味わいたい。

アイニヒ・ツェンツェン,ドクター・ツェンツェン プライヴェートケラー リースリング カビネット ファインフェルプ 2017

産地:モーゼル
ぶどう品種: リースリング
参考小売価格:1540円(税込)

滑らかで穏やか、酸と果実の甘さがバランス良くまとまり、高品質。食事とも合わせやすいフードフレンドリーな半甘口の白ワインで、洋梨、青リンゴ、ミカン、ユリの花、ペアドロップの香りがある。食事が終わった後、デザート代わりに楽しむのもおすすめ。

ロゼワイン、赤ワイン

ワインガードナー シュトロームベルク ザバーゴイ,オーガニック(ロゼ) 2017

産地:ヴュルテンベルク
ぶどう品種:シュヴァルツリースリング
参考小売価格:948円(税込)

残糖20gのためやや甘さのある、フレンドリーで女性におすすめのロゼワイン。酸は穏やかで、タンニンも優しい。赤いチェリー、ウイキョウ、タバコの葉、トマトのニュアンスに加え、品種の特徴であるスパイシーさも感じられる。ジューシーで丸みもあり、日本の家庭料理とも相性が良い。

レー・ケンダーマン,ブラック・タワー レッド 2016

産地:ファルツ
ぶどう品種:ドルンフェンダー、シュペートブルグンダー ほか
参考小売価格:1760円(税込)

ドルンフェルダーをメインに、シュペートブルグンダーなどをブレンドした、穏やかで気品のあるワイン。香り豊かで、赤黒いチェリー、スモーキーさ、スミレ、野バラなどのアロマが漂う。味わいは滑らかで、タンニンも液体の中にきれいに溶け込んでいる。

フレイ,アッサンブラージュ 2016

産地:ラインヘッセン
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー
参考小売価格:3850円(税込)

モダンドイツの良質なカベルネ・ソーヴィニヨンの魅力がよく出ている。赤紫色のしっかりした色調と、新鮮な果物、インク、ミント、スミレ、ブラックペッパーなどの複雑な香りを持つ。粘性やタンニンと酸の凝縮感もあり、焼いた羊や鶏、レバーソテーなどによく合う重厚な味わいの赤ワインだ。

マイヤー・ネーケル,シュペートブルグンダー 2017

産地:アール
ぶどう品種:シュペートブルグンダー
参考小売価格:3630円(税込)

明るいガーネット色のエレガントな赤ワイン。ダークチェリー、黒コショウ、乾燥したバラ、紅茶葉、ユーカリの香りが漂う。味はフレッシュだが、スパイシーさとタンニンもあり、骨格がしっかりしている。後味には、ハイビスカスのような明るさも感じられる。

ベルンハルト フーバー,マルターディンガー シュペートブルグンダー 2016

産地:バーデン
ぶどう品種:シュペートブルグンダー
参考小売価格:5500円(税込)

表情の硬い、緻密な味わいに、現代ドイツのピノ・ノワールらしさが表れている。温暖な2016年らしく、濃いルビー色で粘性も強度もある。香りは複雑で、小粒の完熟したぶどう、ユーカリ、ブラックペッパー、木樽、しょうのう、ジンジャーブレッドなどの香りが感じられる。

<関連リンク>
ドイツワイン 飲めば、きっと、好きになる。Wines of Germany日本オフィス発表:2020年 初の消費者向けセレクション

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