コラム

ドイツワインの2020年ヴィンテージは? ぶどうの出来栄えは良好!

ドイツ・ワインインスティトゥート(DWI)は、2020年のぶどうの収穫状況とヴィンテージの見通しについて発表した。ワインづくりに理想的な気候で、2020年ヴィンテージの展望は明るいという。

2020年のぶどうの出来栄えは良好

2020年のドイツでは、ワインに使用されるぶどうの収穫が8月10日から始まった。フェーダーヴァイサー(ワインになる前の発酵途中のぶどう果汁飲料)用のぶどうの収穫から始まり、9月上旬には、発泡性のゼクトに使用するベースワイン用ぶどうの収穫が最盛期を迎えた。

続いて、フリューブルグンダー、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュラー・トゥルガウなど、さまざまなぶどう品種の収穫が本格化。9月中旬から下旬頃までには、リースリングなど晩生のぶどう品種を含めたほぼ全ての品種で収穫の本番を迎えることとなる。2020年のぶどうの出来栄えは、9月上旬時点でとても良いとのことだ。

理想的な天候と早い成長

2020年のドイツの天候は、ワイン用ぶどうの栽培に理想的であり、ぶどうの成長が平年に比べて早かったという。

春は、日当たりが良く暖かかったため、発芽が平年より2週間ほど早かった。5月10日から15日にかけて寒の戻りがあったものの、ぶどうの花の開花も平年より8日~10日ほど早かった。ぶどうは開花から100日前後で収穫できるため、収穫時期も早まった。

ただ、収穫の最盛期を前に、秋にかけて日中暖かく、夜は涼しい天候が予想されている。このような昼夜の寒暖差がある環境では、ぶどうが時間をかけて熟すため、アロマが豊かになるという。そのぶどうの成熟スピードの緩みに合わせて、収穫も少しゆっくり進められている。

完熟した良質なぶどうによるヴィンテージ

現在のところ、ふどうの状態は非常に良く、フェーダーヴァイサー用に収穫された早生品種のソラリスには、ぶどうの糖度を示すエクスレ度が100を超えたものもある。早生品種のソラリスでこれほどの糖度が出るのは珍しい。

収穫が終了するまで天候の大きな崩れがなければ、ドイツワインの2020年ヴィンテージは、完熟した良質なぶどうでつくることができそうだ。そのため、白ワインは果実味にあふれ、赤ワインは深みのある赤色をしたワインになると予想されている。

ワイン生産量は例年並み

良質なぶどうができている一方で、ワインの生産量は例年並みとなりそうだ。その原因として、降水量のばらつき、晩霜や雹(ひょう)、日焼けの被害が挙げられる。

降水量が地域によって大きく異なり、根があまり張っていない若い樹や、水はけの良い土地の樹はその影響を大きく受けた。その結果、水不足のために、実が小さいままだった地域も少なくない。また、晩霜の被害で、フランケン、ザーレ・ウンストルート、ザクセンの収穫量は最大30%減少すると予想されている。さらに、嵐で雹が降ったり、日焼けの被害が広範囲に起きたりした。全国生産量の仮予測値は、過去10年の平均ぶどう収穫量と同程度の約900万hlと考えられている。

【関連リンク】https://www.winesofgermany.jp/contents/2020/2020_vintage/

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