コラム

サントリーワインインターナショナル2022年事業方針説明会③ ――好調の缶ワイン、新たなステージへ

サントリーワインインターナショナル(SWI)は2022年1月21日、「2022年事業方針説明会」を開催した。サントリーホールで行われた会見は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、前年同様オンラインでも配信された。

会見では、SWIの2021年実績やコロナ禍におけるワイン需要、2022年に計画されている取り組みや新商品について発表があった。今回の記事では、2022年事業方針の1つである「缶商品による新需要創造」について紹介する。

4年で4倍に拡大した缶ワイン市場

海外で人気が高まっている缶入りワインは、日本でも伸長している。2021年の缶ワイン市場は2017年比で4倍に拡大しているというデータ(※1)があり、さらなる成長が期待される。
※1:インテージSRI+調べ、缶ワイン市場および、RTDワイン(カクテル)フレーバー市場

SWIでも、250ml缶の本格スパークリングワイン「ボッリチーニ」や「サントリーワインサワー350ml缶」など、気軽に楽しめる缶ワインを販売しており、人気商品となっている。

なぜ小容量の缶ワインなのか

同社は2021年5月のWEB調査において、1回の飲酒でユーザーがどれくらいワインを飲むかを調べた。その結果、「125ml(グラス1杯)以下」が43%、「250ml以下」が21%と、全体の約6割は「グラス2杯以下」の飲用量であることが分かった。

また、2021年9月のデプス調査(消費者にインタビューする調査)では、「ワインは飲み切れる自信がない」「(ワインの)瓶を買って帰るのは重くて、買うのをためらう」という声が上がっている。

缶ワインに関するユーザー調査(SWI資料より)

人気の「ワインサワー」を「ワインソーダ」にリニューアル

2021年2月に発売した「サントリーワインサワー350ml缶」は、発売後1カ月半で販売数量が当初計画の7割近くに達したため、販売計画を4割増に上方修正した人気商品だ。

人気の「サントリーワインサワー350ml缶」

SWIは、この「ワインサワー」を、2022年に「ワインソーダ」として大幅リニューアルする。味わいをよりワインらしいものに高めるだけでなく、パッケージデザインやネーミングも刷新するという。

人気商品をあえてリニューアルする理由として、同社代表取締役社長の吉雄敬子氏は「ワインサワーを試さなかったユーザー」の声を紹介した。「ワインのソーダ割りには興味があるけれど、ワインサワーという名前からサワーだと思った」「本格的なワインではなさそうだから飲まなかった」といった声があったという。

一方、「ワインサワー」を愛飲しているユーザーの中に、同商品のワインらしさを理解した上で飲んでいる人がいることも分かったため、ワインのソーダ割であることがより伝わるネーミングや少し落ち着いたパッケージデザインに変更することについて、これまでのユーザーにも受け入れられると判断したそうだ。

新しい飲み方を提案する新商品「サントリーワインカフェ〈ワインソーダ〉」

「サントリー ワインカフェ〈ワインソーダ〉」2種

新しい缶ワイン「サントリーワインカフェ〈ワインソーダ〉(赤)」「同〈ワインソーダ〉(白)」は、2022年2月15日の発売を予定する。ブレンドするワインは、特許技術「高密度酒母発酵技術」を用いたワインの中から、ワインソーダに合うものを選んでブレンド。豊かな果実の味わいを薄めないよう、ソーダの比率にもこだわっているという。

容量はワインサワーと同様に350mlで、アルコール度数は5.5%。同社は「ワインソーダで、ユーザーにより自由で新しいワイン体験を提案したい」としている。

ノンアルコールニーズの広がり

お酒の飲用シーンが多様化するとともに、ノンアルコール飲料のニーズも増えてきた。休肝日を設けている人や車を運転する予定がある人、妊産婦などがノンアルコール飲料のターゲットだが、お酒を飲める人があえて飲まないライフスタイル“ソバーキュリアス”も存在感を増してきた。

ワイン市場の中でノンアルコールワインが占める割合は0.6%とまだ少ないものの(※2)、国内のノンアルコール市場はここ10年ほどで確実に伸びている。2009年には8.4L換算で700万ケースだったが、2019年には2900万ケースとなり、2021年は3700万ケースの見込みだ(※3)。
※2:購買データを基にした同社推定値(2021年、数量ベース)
※3:ノンアルビアテイスト+ノンアルRTD(缶計)の同社推計、メーカー出荷ベース

ノンアルユーザーの不満を解消する新商品「ノンアルでワインの休日」

SWIが社内WEB調査でノンアルコールユーザーの不満を調べたところ、最も多かったのは「選べる種類が少ない」だった。そこで開発したのが、スパークリングワインテイストの「ノンアルでワインの休日(赤)」「同(白)」だ。ワインらしい本格的な味わいと香りを持ちながら、瓶ではなく缶という販売形態にしたのは、ビールやチューハイなど、他のノンアルコール飲料と並べて選びやすいようにするためだ。

スパークリングワインテイストの「ノンアルでワインの休日」

こちらの商品も350ml缶入りで、アルコール度数0.00%と商品名のすぐ下に分かりやすく表示されている。発売は、2022年3月1日を予定する。

「ノンアルでワインの休日」は、サントリーソムリエエクセレンスの久保將氏、柳原亮氏といったスペシャリストの知見だけでなく、清涼飲料やチューハイなど他の飲料チームの意見も聞きながら、7年がかりで開発した商品だ。果実味あふれる香り、ミネラルや酸による余韻など、ワインらしさがリアルに再現されているという。

【サントリーワイン2022年事業方針説明会】
2021年の実績とコロナ禍でのワイン需要
登美の丘ワイナリーから日本ワインの魅力を発信

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