コラム

まさに“キング・オブ・スペイン”! その名を世界にとどろかせるトーレスの魅力に迫る ~解説:スペインのワイナリー

フランスやイタリアと並び、世界的なワイン産地として知られるスペイン。数多くのワイナリーがあるなかで、個人所有としては世界最大の規模を誇るのがトーレス(Torres)だ。

スペインのみならず世界各地に醸造所を持ち、数々の功績や伝統ある歴史から、トーレスは“キング・オブ・スペイン”の名をほしいままにしている。そんなトーレスの魅力は、どのようなところにあるのかを紹介する。

“キング・オブ・スペイン”に輝く、その理由とは?

トーレスが“キング・オブ・スペイン”と称えられるのには、主に3つの理由がある。それぞれについて、詳しく解説していこう。

圧巻の受賞歴

トーレスは、細部にまでこだわり尽くしたワインにより、数々のコンクールで受賞しているワイナリーだ。1979~80年には、フランスの『ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)』誌主催で行われた「ワインオリンピック」のカベルネ・ソーヴィニヨン部門で1970年ヴィンテージが優勝。その後、2002年に現在の当主であるミゲル・トーレス氏が、イギリスの『デキャンター(Decanter)』誌で「マン・オブ・ザ・イヤー」を受賞、2006年にはワイン誌の『ワインエンスージアスト(Wine Enthusiast)』で、ヨーロッパ最高峰のワイナリーに選定された。

そして圧巻なのが、イギリスの専門誌『ドリンクス・インターナショナル(Drinks International)』において、「世界で最も称賛されるワインブランド」に2014年、2015年、2017年、2018年、2021年、2022年の6回も選ばれた点だ。この審査では、トーレスの献身的かつ先駆的なワインづくりへの情熱や信頼性が評価されていた。そのような点からも、トーレスの“キング・オブ・スペイン”たるゆえんが垣間見える。

逆境や困難を乗り越えてきた、歴史あるワイナリー

トーレスの起源は、17世紀にスペインでぶどう栽培を行っていたことに始まる。そして1870年、タラゴナ県ビラフランカ・ダル・ペネデスに、トーレス家が経営するミゲル・トーレスを設立した。その後、害虫のフィロキセラのあおりを受けたり、スペイン内戦の誤爆でワイナリーが全壊したりといった困難に見舞われた。

そのような状況下でも、当時先駆的であったセパージュワインの生産や、テロワールに即したぶどう栽培などに果敢に取り組んだ結果、今日のような世界から評価されるワイナリーへ成長することができたのである。

逆境や困難にも耐え、斬新な方法に挑みながら長い歴史を紡いできたからこそ、トーレスは世界中の生産者から尊敬を集めているのだ。

環境に配慮したワインづくり

トーレスは、環境保全への取り組みにも惜しみなく尽力している。「TORRES & EARTH」と名付けられたこの取り組みでは、ワインづくりに用いるエネルギーに、バイオマスや太陽・風力発電に代表されるような代替エネルギーを利用。社有車には電気自動車やハイブリッド車を積極的に採用している。

また、気候変動や地球温暖化への環境問題に対し、売上高の約11%を気候変動関連事業に投資したり、ぶどう発酵時に発生するCO₂を再利用するための研究開発にも取り組んでいる。トーレスのこうした取り組みは世界中から高く評価されていて、2010年にはイギリスの飲料専門誌『ドリンクス・ビジネス(drinks business)』の「グリーン・カンパニー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。

スペイン&世界に展開するトーレスの生産地と名産ワインを紹介

トーレスの生産地は、スペイン国内だけでも9カ所ある。その他にも3カ所のワイナリーを所有し、スペインおよび世界に合計で12カ所展開している。この数は、個人経営のワイナリーとしては最大規模だ。当然ながら、生産地やワイナリーごとに特色があり、名産とされるワインも異なる。ここでは、それぞれの生産地と名産ワインを紹介していく。

スペイン「トーレス」ブランドの産地

スペイン国内で、「トーレス」のブランドで提供している産地は以下の通りだ。

■DOカタルーニャ
さまざまなテロワールが混在するカタルーニャ州にある。トーレスのフラッグシップワインの生産地。

代表的な名産ワイン:「サングレ・デ・トロ オリジナル」(赤)、「ヴィーニャ・エスメラルダ」(白)

■DOペネデス
元々はカバ(カヴァ)の生産地として有名だったが、近年ではスティルワインの産地としても名を上げてきている。さまざまなぶどうが育つ土壌である。

代表的な名産ワイン:「ヴィーニャ・パラウ・メルロ」(赤)

■DOCaプリオラート
2009年に、スペイン国内で2番目となるDOCa(特選原産地呼称)に認定された。スレート岩の土壌はリコレリャと呼ばれ、濃厚な風味の赤ぶどうが育つ。

代表的な名産ワイン:「サルモス」(赤)

■DOコンカ・デ・バルベラ
穏やかな地中海性気候と石灰質の土壌がワインづくりに最適。古代品種の復活に成功した生産地。

代表的な名産ワイン:「グラン・ムラーリェス」(赤)

■DOコステルス・デル・セグレ
生産地内は、7つのサブゾーンに区分けされている。名産ワインの「プルガトーリ」は、ガリゲスというサブゾーンでつくられるが、夏は40℃近くまで気温が上がる。その暑さがぶどうに良いストレスを与え、高品質なワインが出来上がる。

代表的な名産ワイン:「プルガトーリ」(赤)

■DOCaリオハ

最初にDOCaに認定された、スペインきっての名産地。クラシックスタイルとモダンスタイルが競合している。

代表的な名産ワイン:「アルトス・イベリコス・クリアンサ」(赤)

■DOリベラ・デル・ドゥエロ
老舗ワイナリー、ベガ・シシリアの「ウニコ」の成功により、一躍脚光を浴びるようになった産地。ティント・フィノ(テンプラニーリョ)の赤ワインづくりが盛んだ。

代表的な名産ワイン:セレステ・クリアンサ(赤)

■DOルエダ
大陸性気候に属し、寒暖差の激しいテロワールである。フレッシュな酸味が特徴の白ワインが名産。

代表的な名産ワイン:「ヴェルデオ」(白)

■DOリアス・バイシャス
スペインを象徴するぶどう品種アルバリーニョがぶどう畑のほとんどを占める。それゆえ、白ワインの名産地として有名。

代表的な名産ワイン:「パソ・ダス・ブルーシャス」(白)

トーレス以外のワイナリー

トーレスは、スペインやその他の国にもトーレス名義以外のワイナリーを3カ所所有している。

■ジャン・レオン(スペイン)
スペインの長いワインづくりの歴史の中で、初めてカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった品種を栽培したジャン・レオン氏の名を冠したワイナリー。

代表的な名産ワイン:「ジャン・レオン」(赤)

■マリマー・エステート(アメリカ)
オーナーは、4代目当主のミゲル・トーレス氏の妹であるマリマー氏。冷涼な気候を生かしたぶどう栽培とワインづくりで、評価が高い。

代表的な名産ワイン:「マリマー・エステート」(赤、白)

■ミゲル・トーレス・チリ(チリ)
ミゲル・トーレス氏が、チリの恵まれた土壌や害虫の影響を受けていないぶどう樹などにほれ込み、1979年に設立したワイナリー。チリワインの歴史を変えたと評価され、国内外に絶大な信頼を得ている。

代表的な名産ワイン:「エミスフェリオ」(赤、白)、「サンタ・ディグナ」(赤、白)

【解説:スペインのワイナリー】
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関西大学卒 専業ライターを夢見て日々執筆する複業ライター。酒と肉と旅行と昼寝が好き。