コラム

ドメーヌ・ニュダン|20以上のアペラシオンを有する老舗ドメーヌ ~知っておきたいブルゴーニュのつくり手

フランスワインの2大産地の1つ、ブルゴーニュ。その中でも偉大なワインを生み出す銘醸地として知られるコート・ド・ニュイで、長い歴史を持つ老舗ドメーヌ(ワイン生産者)が、ドメーヌ・ニュダン(Domaine Nudant)だ。

中世の時代には同地でぶどうを栽培していたとされ、現在所有する畑内には、20を超えるアペラシオン(Appellation d’Origine Controlee:AOC、原産地呼称)があり、自然の力を大切にしたぶどう栽培に取り組んでいる。

今回は、ドメーヌ・ニュダンの歴史とワインづくりの特徴について解説する。

ドメーヌ・ニュダンとは

ドメーヌ・ニュダンは、ブルゴーニュ地方のラドワ・セリニィ周辺で古くからワインをつくってきた。

中世から続く長い歴史

その歴史は長く、初代生産者であるギョーム・ニュダン氏は、今から500年以上前の1453年に、コート・ド・ボーヌ地区アロース・コルトンでぶどうを栽培していた。最後のブルゴーニュ公シャルルが統治していた時代であり、その後、ドメーヌ・ニュダンは長い年月をかけてぶどう畑を拡大させてきた。

現在では、コート・ド・ニュイからコート・ド・ボーヌに16haの栽培地を所有する。その畑をジャン・ルネ氏と息子のギョーム氏が管理している。

地域名から特級畑まで、20のアペラシオンが存在

ドメーヌ・ニュダンが所有するぶどう畑には、20を超えるアペラシオンが存在する。

地域名:レジオナル(Régionales)
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ・ピノ・ノワール(Bourgogne Hautes cotes de Nuits Pinot Noir)
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ・シャルドネ(Bourgogne Hautes Cotes de Nuits Chardonnay)
ブルゴーニュ・ピノ・ノワール・ラ・シャペル・ノートル・ダム(Bourgogne pinot noir La Chapelle Notre-Dame)など

村名:ヴィラージュ(Villages)
ヴォーネ・ロマネ(Vosne Romanee)
ニュイ・サン・ジュルジュ(Nuits-Saint-Georges)
ラドワ(Ladoix)
アロース・コルトン(Aloxe-Corton)など

1級畑:プルミエ・クリュ(Premier Cru)
ラドワ・ラ・コルヴェ(Ladoix La Corvée)
ラドワ・レ・ビュイ(Ladoix Les Buis)
ラドワ・レ・グレション・ブラン(Les Grechons Blanc)
アロース・コルトン・ラ・クティエール(Aloxe-Corton La Coutiere)

特級畑名:グラン・クリュ(Grand Cru)
エシェゾー(Echezeaux)
コルトン・ブレッサンド(Corton Bressandes)
コルトン・シャルルマーニュ(Corton-Charlemagne)

上記に加え、今後、ムルソー(Meursault)やピュリニー・モンラッシェ(Puligny-Montrachet)といった土地が、白ワインのアペラシオンとして加わる予定があるという。既に多くのアペラシオンを所有するドメーヌ・ニュダンだが、現状に満足することはない。この貪欲な姿勢こそが、ドメーヌ・ニュダンが現在も発展し続けている原動力だろう。

ドメーヌ・ニュダンのワインづくり

ドメーヌ・ニュダンは、リュット・レゾネ(lutte raisonnee)と呼ばれる減農薬栽培を実践するなど、自然の力を大切にしたぶどう栽培を行っている。可能な限り農薬を使用せずに病気を予防するため、ぶどうの房周りの葉の除去や樹勢の調整などを行っている。これによって通気性が確保され、果実の衛生状態が保たれているのだ。

さらに化学合成肥料など、自然に相反する物質を使用しない。冬には収穫後の樹の枝を細かくして土に混ぜ、春や夏に畑をよく耕して土に空気をたくさん取り込むことで土の環境を整えている。また、畑をよく耕すことで雑草が取り除かれ、除草剤の使用を減らすことにつながっている。

自然の力を最大限に利用して栽培されたぶどうは、収穫の3週間ほど前から熟成具合をチェックし、畑ごとに適切なタイミングで収穫している。

ドメーヌ・ニュダンは、熟成に重きを置いたワインではなく、新鮮な果実味を早くから楽しめるワインを生産している。そのため、樽の香りがワインに移り過ぎないよう、赤ワインの樽熟成は12カ月間で、その後、ステンレスタンクで4~6カ月熟成させている。ドメーヌ・ニュダンは赤ワインだけでなく、白ワインも醸造しており、白ワインも赤ワインと同様に新鮮な果実味を楽しめるワインに仕上げている。

おすすめのワイン5選

レジオナルからグラン・クリュまで、さまざまなワインを産するドメーヌ・ニュダン。その中から、おすすめのワイン5本を紹介する。

ニュダン・ラドワ・ルージュ

コート・ド・ボーヌでも最北端に位置するラドワぶどうを使用している。赤い果実の香りと味わいが豊かで、タンニンがうまく溶け込んでいる。

ドメーヌ・ニュダンでは、ピノ・ノワールを100%除梗した後、低温でマセレーション(醗酵中のワインに果皮を漬け込むこと)をしている。時間をかけてアルコール発酵させているが、発酵初期にピジャージュ(醗酵中に棒などを使い、醗酵槽上部にたまった果帽を突き崩し、液体中に沈める作業)をしてぶどうの成分を抽出している。

ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・ミディアムボディ・辛口
参考小売価格:5720円(税込)

アロース・コルトン・クロ・ド・ラ・ブロット(モノポール)

アロース・コルトンの単独所有畑(モノポール)のぶどうを使用している。深みのあるボディ、まろやかでありながら、しっかりと感じるタンニンが特徴的だ。

ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・ミディアムボディ・辛口
参考小売価格:6930円(税込)

エシェゾー・グラン・クリュ

高級ワインを生み出すことで知られる、グラン・クリュのエシェゾーのワイン。使用するぶどうの平均樹齢は50年以上の古樹だ。熟したラズベリーやダークチェリーのほか、スパイシーな香りも楽しめる。余韻が非常に長い。

ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・フルボディ・辛口
参考小売価格:2万5300円(税込)

ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ・ブラン

地域名アペラシオンの白ワイン。畑の土壌が泥灰土であるため、ミネラルが豊かなぶどう果実ができる。早い時期から新鮮な味わいを楽しめるのが特徴だ。

ぶどう品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口
参考小売価格:3520円(税込)

ラドワ・プルミエ・クリュ・ラ・コルヴェ・ルージュ

ラドワの北端にある、プルミエ・クリュのラ・コルヴェのぶどうを使用したワイン。ドメーヌ・ニュダンが所有する畑の中でも、最も古い畑の1つ。非常に力強いワインに仕上がっている。

味わい:赤・フルボディ・辛口
参考小売価格:7260円(税込)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  ワインバザール編集部
ワインバザール編集部

世界各国のワインに関するニュースやコラムなどを配信していきます。