ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(Union des Grands Crus Bordeaux:UGCB)は2023年11月20日、「ヴィンテージ2020 トレード・テイスティング」を開催した。
当日は、東京都港区の八芳園を会場に、UGCBに加盟する85シャトーが集結。コロナ禍を経て、今年は4年ぶりに生産者も来日し、“当たり年”となった自慢のヴィンテージ2020をそれぞれ披露した。
今回は参加したシャトーの中から、サン・ジュリアン地区のシャトー ラグランジュ(Château Lagrange)を紹介する。
シャトー ラグランジュとは
シャトー ラグランジュは、フランス・ボルドー地方のメドック地区にある村名AOC(Appellation d’Origine Controlee、原産地管理呼称)の1つ、サン・ジュリアンに位置する。1855年に、メドック格付け(グラン・クリュ・クラッセ)の第3級に選出されている。
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サン・ジュリアンは、メドック地区の中央部にあり、範囲は狭いが平地のため日当たりや風通しが良く、テロワールにも恵まれている。ここでつくられるワインは、クラシカルなボルドースタイルを特徴とし、華やかさと複雑味を併せ持つ。
シャトー ラグランジュは、1631年にはその存在が記録されており、古い歴史を持つ。一時は所有者の変更などによって品質が低下したものの、1983年に日本のサントリーが欧米以外の企業では初めて経営に参画。ボルドー大学で醸造研究所の所長を務めていたエミール・ペイノー博士の協力を得て、改植や醸造設備の一新など大規模な改革を行い、現在の姿に生まれ変わった。
2005年にはテラ・ヴィティス(TERRA VITIS)の認証を取得し、自然環境に配慮したワインづくりにこだわっている。
シャトー ラグランジュのワイン
トレード・テイスティングでは、来日したゼネラルマネージャーのマシュー・ボルデス氏に話を伺った。
――おすすめのワインについて教えてください。
「シャトー ラグランジュ」です。味わいは、クラシカルなボルドースタイル。果実の凝縮感があり、タンニンは非常に滑らかで、詩的な表現をすれば「サン・ジュリアンのハーモニーを味わう」というイメージでしょうか。飲みごろは5~15年程度で、長期熟成のポテンシャルがあります。
――ヴィンテージ2020はどんな味わいでしょうか。
気候が温暖で乾燥していたため、ぶどうの出来がとても素晴らしく、凝縮したワインが出来上がりました。結果として、歴史に名を残すほどのヴィンテージになりました。これは29年ぶりのことです。ぜひ味わっていただきたいです。
「シャトー ラグランジュ2020」
タイプ:赤・フルボディ
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン74%、メルロー24%、プティ・ヴェルド2%
取り扱い先:カーヴ・ド・ヴァン
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