コラム

本当においしいワインを求めるなら。外飲み・店飲みワインをオススメする3つの理由

   

近所で買えるワインと言えば、小さな食材店にある「赤玉スイートワイン」だけ。私が子供のころ、いや、お酒を飲み始めた大学生のころもそんな状況だった。当時、「空前のワインブーム」と叫ばれるも、それは一部の飲食店での話。家で大人が楽しむのはまだまだビールや日本酒が定番だった。

それから約20年が経った。まさに隔世の感で、今や大手スーパーでは大きな商品棚にワインが並び、最寄りのコンビニでも世界中のワインが買えるようになった。

Spanish wines

ワインが日本の家庭に浸透する一方で、ワインの特別感は薄れてきている側面がある。身近になるのは喜ぶべきことだが、ワインの持つ本当の魅力を堪能しないまま、ワインの好き嫌いを語る人も多くなったのではないだろうか。

ワインの本当の魅力に気付いていない人は、ワインを外飲み・店飲みで楽しむべし!(ただし、ソムリエさんのいる、もしくはワインに自信のあるお店を選んでほしい) ワイン好きなWineBazaar読者にも、身近にそんな人がいたら、ぜひ外飲み・店飲みに連れ出してもらいたい。そう薦める理由を3つ、ご紹介しよう。

1. ワインの保存状態に細心の注意を払っている

ワインは生き物だ。ご存知のとおり、瓶の中でも熟成が進む。理想的でない環境では簡単に劣化してしまう。

スーパーで並んでいるワイン、倉庫で保管されているワインは程良い温度で保存されているだろうか? 猛暑の夏をどのように過ごしてきたか、想像してみてほしい。ワインは繊細なので、猛暑の中ではたった数時間で変質してしまう。

飲食店が発注するワイン輸入業者やワインに強い酒屋・専門店は、ワインを輸送する場合にも、もちろんクール便を使用している。到着後の保管にも気を遣い、ワインにダメージを与えないように最善の努力をしているのだ。

Wine Cellar

2. 専用グラスでワインの味・香りを損なわない

飲み口の薄いグラスでビールを飲んだことがあるだろうか? 飲み慣れているジョッキではなくワイン用のグラスで飲んでみると、これまで知らなかったビールの味わいに驚かされることになると思う。

このように飲み口の厚さだけで、飲料の味は劇的に変化したように感じられるものだ。一般的な家庭で使うコップは、口部が強化されている厚めのものが多い。それでおいしいワインを飲んでも、せっかくの魅力が目減りしてしまう。

またよく知られているように、ワイングラスの口が狭くなっているのには理由がある。香りもワインの大きな魅力のひとつ。それをより分かりやすく感じられるように、口の狭いグラスを使っているのだ。

Sogrape PORCO TINTO red wine

ワイン好きなら専用のワイングラスを自宅に用意しているだろうが、まだ用意していない人も中にはいるだろう。ワインの魅力を100%楽しみたいのなら、このようにワイングラスにもこだわった外飲み・店飲みを試してみてもらいたい。

3. たくさんのワイン、さまざまな料理を合わせるマリアージュの楽しみ

ワインを飲む一番の楽しさとは何だろう? それはずばり「料理に合わせる」ことではないだろうか。

グラスワインの種類が多い店なら、料理の進行に合わせて1杯ずつワインを変えていく楽しさがある。ボトルワインで頼む場合でも、たくさんの選択肢の中から、その日の料理にふさわしいチョイスができる。

どのワインが料理に合うのか分からなければ、恥ずかしがらずにお店の人に聞いてみよう。誇りを持ってワインをそろえているお店なら、間違っても白身魚のカルパッチョにボルドーの赤ワインを合わせるようなことにはならないはずだ。

そもそもワインは、食事と合わせて初めて味わいが完成するアルコールだ。フランス人は家庭においても、その日の食事に合わせるワインを真剣に選ぶのだ。

Charcuterie Plate

プロの作った料理と適切に合わせると、ワインのおいしさをより味わえることは間違いない。より深くより広く楽しむために、身近なレストランやビストロを行きつけにして、普段買わないワインもたくさん試してみてほしい。

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About the author /  Yayoi Ozawa
Yayoi Ozawa

フランス料理店経営ののち、ワインとグルメ、音楽を専門とするライターへ転身