コラム

ワイングラスの種類と違い ~ 赤や白のワインを飲むのに最適なグラスは?

料理や飲み物を頂くとき、使われている器によって雰囲気や味わいが変わる。多種多様な食器の中から、料理や飲み物、TPOに合わせた器を選ぶことで、料理や飲み物の魅力を最大限に引き出すことができるわけだ。

ワインに使用するグラスにしても、ワインの魅力を最大限に引き出そうとさまざまな形状・種類のものが存在する。ワイングラスの形状・種類によって、ワインの味わいの感じ方も変わってくるものだが、どのような形状・種類のワイングラスがあるのだろうか。

今回は、主なワイングラスの種類と違い、各ワイングラスに適したワインを紹介したいと思う。

Wineglasses

グラスによって味わいの感じ方が変わるのはなぜか

ワイングラスのうち、ワインが注がれてたまる部分を「ボウル」、唇が触れる飲み口の部分を「リム」と呼ぶ。

そうしたボウルのサイズやカーブの大きさ、リムとボウルの直径の比率によって、ワインの舌への流れ込み方、香りの立ち方が違ってくる。その違いによってワインの味わいの感じ方が変わってくるわけだ。

そしてリムやボウルの特徴によって、ワイングラスはいくつかの種類に分類できる。代表的なワイングラスの種類を取り上げてみよう。

「ブルゴーニュグラス」の特徴・形状

まず1種類目は「ブルゴーニュグラス」。名前からも分かるように、ブルゴーニュワインを飲むのに適したグラスだ。

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ブルゴーニュの赤ワインに使われるぶどう品種の代表格と言えば、ピノ・ノワール。ピノ・ノワールは、繊細な味わいで華やかで複雑な香りを持ち、渋味が少なく酸味が強いのが特徴だ。

ブルゴーニュグラスは、ボウル部分が大きいのでワインが空気と触れ合う面積が大きい。香りをしっかりと引き出せる形状になっているわけだ。

さらにリム部分の直径がボウル部分の直径よりもかなり小さいいため、繊細な香りをグラス内部に長くとどめておくことが可能だ。

また、ボウルのカーブが大きいので、甘味や苦味を感じる舌の先端から、すっと奥の方へとワインが流れていく。酸味を感じる舌の両脇に触れにくい形状に仕立てているのもブルゴーニュグラスの特徴だ。

※ 甘味や苦味、酸味といったそれぞれの味を感じる舌の場所は決まっていると唱える「味覚地図」という考え方は、現在では否定されている。舌のどの場所でも、同じように味を感じられると考えられている。

このようにブルゴーニュグラスは、ワインの香りをしっかりと楽しめて、酸味の強さを程良く感じることができるように工夫されている。

「ボルドーグラス」の特徴・形状

続いては「ボルドーグラス」。このグラスも名前から分かるように、ボルドーワインを飲むのに適している。

Glass of Bordeaux

ボルドーワインには、2種類以上のぶどうをブレンドしてつくられたものが多く、複雑な味わいと香り、渋味が特徴だ。

ボルドーグラスは、ブルゴーニュグラスよりもボウル部分がやや狭く、カーブが穏やかな形状をしている。そのため、香りの立ち方を少し抑え、複雑な香りを整えることができる。

さらに、ワインが広い幅で口に流れ込むので、酸味を感じる舌の横の部分にもしっかりとワインが触れることになる。そうすることでボルドーワインの渋味を和らげようという狙いがあるのだ。

こうした特徴を持つことから、ボルドーグラスは特に、タンニンのしっかりとしたフルボディの赤ワインに向いているグラスとされている。

「モンラッシェグラス」の特徴・形状

ブルゴーニュでつくられるワインの中でも、最高峰の白ワインと言われている「モンラッシェ」。その名前を冠したのが「モンラッシェグラス」だ。

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ボルドーグラスと同様に、ボウル部分のカーブが緩やか。ワインが舌全体に流れ込む形状になっている。

従って、酸味が少ないワインに向いている。ワインを舌全体で味わうことができるため、果実味を十分に楽しめるという特徴もある。

ただ、ボルドーグラスと比べてボウルの長さが短い。赤ワインよりも揮発性アルコールが少ないとされる白ワイン向きのグラスだ。

このような特徴を持つモンラッシェグラスは、その名前のとおり、酸味が少なく果実味が豊かな白ワインに適している。

「キャンティグラス」の特徴・形状

「キャンティグラス」はレストランなどでよく見掛ける形状のワイングラスだ。

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キャンティグラスも、キャンティという名前が付いていることから分かるように、イタリアのトスカーナ州で生産されているキャンティワインを楽しむためにつくられた。

国際規格に則ったテイスティング用グラスを大きくしたような形状なので、赤ワインにも白ワインにも適している。ワイングラスをそろえるのなら、真っ先に購入しておきたい汎用性の高いグラスと言えるだろう。

「フルートグラス(シャンパングラス)」の特徴・形状

特徴的な細長い形をした「フルートグラス」は、楽器のフルートに似ていることからそう呼ばれるようになった。一般的には「シャンパングラス」とも呼ばれている。

Sparkling wine

シャンパンをはじめ、スパークリングワインを楽しむためにつくられたグラスだ。ボウル部分を細長くしたことで、泡が立ち昇る様子を楽しめるようになっている。また、炭酸が抜けにくい効果も期待できる。

代表的なところでは、このような種類のワイングラスがある。グラスとワインの特徴や相性を知り、ワインをさらにおいしく楽しめるようになってもらいたい。

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