イタリア、キャンティの名門ワイナリーを紹介するシリーズ。今回は、トスカーナの有名な老舗ワイナリーで、キャンティワインの生産に貢献してきた「ピッチーニ」について、ご紹介していこう。
ピッチーニのエピソード
ピッチーニが産するワインは、手頃な価格で品質が高い。驚くほどコストパフォーマンスが高く、世界60カ国以上で販売されている。イタリア国内だけでなく他国で開催されるコンクールでも多くの賞を受賞するなど、高い評価を得ていて、世界中のワイン愛好家を虜にしている。
ピッチーニの歴史
ピッチーニは、1882年に創業した家族経営のワイナリーだ。アンジェロ・ピッチーニ氏が、時代に先駆けてぶどう畑とセラーを設立したことが始まりとなっている。1920年代になると、アンジェロ氏の息子であるマリオ氏がピッチーニのワインをイタリア中に広めた。さらに海外にも広め始めると、すぐに注目され、ピッチーニは世界中に知られるようになった。1960年代には、3代目のピエランジェロ・ピッチーニ氏が、ピッチーニのワインだけではなくイタリアワイン全般の成長に貢献した。
今日のワイン市場は、愛好者のワインに対する知識が高まったことで、より高品質のワインが求められるようになっている。ピッチーニの4代目にあたる現当主のマリオ氏とマルティナ氏は、そうした市場の要求に応えるため、ファミリーの伝統を駆使して、ワイナリーを発展させている。
ピッチーニは、創業以来100年以上にわたって、トスカーナ地方の伝統的なワイン産地であるキャンティで、味にうるさいトスカーナの人々を満足させる品質の高いワインをつくり続けてきた。さらにキャンティワインの生産に長く貢献してきたことから、トスカーナ地方の有名な老舗ワイナリーとして高く評価されている。
ピッチーニのワインづくり
キャンティワインの生産量のうち15%をピッチーニが産している。しかし、ピッチーニでは、厳選したサンジョヴェーゼ種を細心の注意を払って収穫するなど、キャンティワインの生産量を増やすだけでなく、質の向上をも大切にしてきた。質を大切にするピッチーニの取り組みによって、「キャンティ=上質」のイメージが定着し、キャンティワインは、世界的に高く評価されるようになった。
さらにピッチーニでは、キャンティワインだけでなく、ほかのワインにおいても、テロワールや品質を大切にし、伝統とモダンを融合させたワインづくりをおこなっている。
ピッチーニのおすすめワイン
キャンティ・レゼルヴ・ ゴールドラベル
「Collezione Oro(金のコレクション)」という名前やゴージャスなラベルが、このワインの並み外れたクオリティを示している。ベルベットを思わせる色調で、ソフトなタンニンを持ち、しっかりとした骨格と長い余韻がある。全体の70%がオーク樽で9ヶ月間熟成され、残りの30%はバリックで9ヶ月間熟成される。
キャンティ・オレンジラベル
味にうるさいトスカーナの人々も満足するキャンティ。明るいルビーレッド色をしたワインで、調和のとれた穏やかなタンニンを持っている。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、ワインの王と言われるバローロと並ぶほどの、イタリアで最も名高い赤ワイン。4年の熟成が義務づけられている。ピッチーニが産するブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、アルコール分が強くてコクがあり、スパイスやブラックチェリーなどの濃厚な香りと強いタンニンがうまく調和したワインとなっている。手摘みで丁寧に収穫されたぶどうが使用されている。