あなたのレストランに、グラスやボトルのロゼワインはありますか? ロゼワインは、実は多様な料理に合わせられる、万能で優秀なワインだ。ワインバザールでは、プロヴァンス・ロゼの魅力を日本で伝える、プロヴァンスワイン委員会広報担当・SOPEXA JAPONの恩田ひとみ氏とソムリエの五鬼上泰樹氏に、ロゼワインの広がる可能性について取材した。
飲食業の関係者をはじめ、家で料理とともにロゼワインを楽しみたいという人は、ぜひ一読してほしい。
ロゼワインのイメージ
一般的に、ロゼワインのイメージは、どのようなものだろうか。これまで日本では、「ロゼワインは中途半端」「ロゼワインは甘い」といった印象を持っている人が少なくなかったが、ここ数年で正しいイメージが広がりつつある。そのイメージとは、次のようなものが挙げられる。
■華がある
人目を引く、チャーミングな色合いが特徴的なロゼワイン。これは黒ぶどうの果皮を途中で引き上げるために付くものだ。同様に、香りも白ワインよりしっかりと華のある香りを持つ。
■都会的でおしゃれ
スパークリングワインと同様に、ロゼワインは昼下がりのオープンカフェなどで飲まれるイメージがないだろうか。実際にフランスでは、「明るい時間に外で飲むならロゼ!」というイメージがある。
幅広い料理とのペアリングが楽しめるロゼワイン
白ワインと赤ワインの良いところを兼ね備えたロゼワインは、実に幅広い料理に合わせられるワインだ。白ワインのようなフレッシュさはさっぱりした料理に、果実味と酸味はトマトソースに、ある程度感じられるボリュームはクリーム系の料理にぴったり。また、色合いで合わせると、サーモンや生ハムなどタパス系にもよく合うことが分かる。
ワインはスパイシーな料理とのペアリングが難しいが、タイ料理やエビチリなど、アジア系のスパイシーさにもロゼワインはぴったり。非常に“使える”ワインだといえるだろう。
ロゼワインにおすすめの料理
では実際に、ロゼワインにぴったりな料理を挙げてみよう。
■春菊やパクチーのサラダ
特に、プロヴァンスのロゼワインは、後味に若干の苦味と渋みが感じられる。この苦味と渋み、そしてもともとの爽やかさは、香り立つ野菜にぴったりだ。
■魚介のアヒージョ
爽やかさが特徴の白ワインでは、ワインの味わいが負けてしまう、ガーリック風味のアヒージョ。こんな料理もロゼワインは受け止め、同時に口中の脂をリフレッシュしてくれる。
■ラタトゥイユ
ロゼワインの程よい酸味は、トマト系の料理にぴったり。味の染みた優しい風味のラタトゥイユに、抜群のペアリングだ。
■柿とルッコラ、生ハムのサラダ
ルッコラやセルバチコ、また柿も渋みを持つ食材だ。口中が収斂するような渋みに、ぶどう果皮からもたらされた若干のタンニンが調和する。
■山菜のてんぷら
山菜の持つ独特の苦味は、フルーティーな白ワインでは苦さを助長させてしまう。こんな食材にもロゼワインはぴったり。
■フルーツのタルト
果実味あふれたロゼワインを生かす王道の1つが、フルーツに合わせること。まさに、前菜からデザートまでロゼワインだけでペアリングが可能な、万能選手といえる。
楽しみが広がる! さまざまな飲食店でロゼワインを味わう
フレンチやバルなど洋食系ならロゼワインのある店も多いが、それ以外にもロゼワインをおすすめしたいジャンルがたくさんある。ワイン愛好家の満足度もきっと大きく上がるだろう。
■中華料理店
あまりワインを扱っていない印象の中華料理店。オイスターソースやチリソースなどにも合わせられるロゼワインは、新しいペアリングの魅力が発見できるはずだ。
■タイ料理店・ベトナム料理店
パクチーからスパイシーまで、幅広い料理を受け止めてくれるロゼワインは、アジア系料理店全般におすすめできる。
■和食店・居酒屋
繊細な味わいの多い割烹料理では、苦味を味わせる料理におすすめ。寿司店では、サーモンやマグロ、カツオ、エビなどに万能。居酒屋では、揚げ物などをさっぱりと食べられる。ロゼワインの活躍できるシーンはとても多い。
■カフェ
オーガニックなカフェ料理、ハーブを使ったサンドイッチなどに、ぜひロゼワインを。見た目のチャーミングさも、カフェのおしゃれな内装に花を添えてくれる。
さまざまな料理と相性の良いロゼワイン。また、ロゼワインは、安定的な生産量のあるものが多く、仕入れ価格もリーズナブルだ。これまでロゼワインを扱っていなかったお店でも、ぜひ新しいペアリングを考えてみてはいかがだろうか。