2012年に出荷数量が30万klを超え、第7次ワインブームに入ったとされる、日本のワイン市場。メルシャンが2020年7月に発表した「ワイン参考資料」を基に、ワインブーム突入から7年が経った2019年の日本のワイン市場を見ていこう。
2018年に低下した消費が再びプラスに
2018年は出荷数量が36万1388klとなり、前年比96.0%と若干の縮小傾向が見られた国内ワイン市場だが、2019年は37万7430klで前年比104.4%となった。これは第7次ワインブームに突入して以来、最も出荷数量の多かった、2015年の37万9196klに次ぐ記録となる。
好調を支えているのは輸入ワインだ。国内製造ワイン(国内醸造ワイン、日本ワイン)は11万9597kl(前年比98.0%)で2ポイントほど前年を下回ったが、輸入ワインは25万7833kl(同107.7%)と数字を伸ばした。この背景には、2019年2月に発効された日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)による関税撤廃の影響もあると見られる。
輸入元No.1は5年連続であの国に
関税撤廃により、EU各国からの輸入ワインは増えたが、2019年もスティルワインの国別輸入数量第1位はチリ(4万7213kl)で、5年連続首位となった。輸入ワインの中でチリワインが占める割合は26.8%となり、前年の30.9%を下回ったものの、4本に1本以上がチリワインという状況だ。安く楽しめるデイリーワインとして人気が定着してきたといえるだろう。
2位以下は、フランス、イタリア、スペインとワイン伝統国が続いている。この数年、順位に変わりはないが、2位フランスからの輸入数量は4万7118kl(前年比111.6%)で、チリワインに迫る勢いだ。イタリアは3万5497kl(前年比117.4%)、スペインは2万363kl(同116.2%)となり、この3カ国で輸入ワインの半数を占めている。また、ドイツは7位にとどまったものの、輸入数量が3466klで前年比144.3%となり、大きな伸びを見せている。
スパークリングワインもフランス、スペイン、イタリアからの輸入が増加し、輸入数量の合計は前年比121.3%となった。10年前の2009年と比べると、スパークリングワインの輸入数量は2倍以上になっている。
もはやブームではなく、日本の日常に定着しつつあるワイン。日欧EPA発効による関税撤廃でさらに買いやすくなり、ワインを楽しむ層が広がりそうだ。
<関連リンク>
メルシャン「ワイン参考資料2020」