コラム

ロゼワインが丸わかり! つくり方、主要産地、おすすめワイン、楽しむコツを紹介

   

サーモンピンクから深いピンク色まで、美しい色合いで食卓を彩るロゼワイン。フランス語で「バラ」という意味のロゼワインは、赤ワインと白ワインの両方の魅力を併せ持ち、アペタイザーからメインまで食事にも合わせやすいワインとして人気だ。

甘口というイメージがあるかもしれないが、ドライなワインも数多く、いろいろな食材、いろいろな味付け、いろいろなコース、いろいろな料理に合わせやすい。皆で料理を持ち寄るホームパーティーやお花見、BBQでも重宝する存在だ。

春を連想させる色合いだが、夏はキリっと冷やして、冬は鍋料理にも合わせやすい。大人数で楽しむ時間も、1人で過ごす時間も彩ってくれる。また、ヨーロッパには、「満月の夜にロゼワインを飲むと恋がかなう」というジンクスがあるそうだ。

2000年代に入ってからは、空前とも呼べるロゼワインブームが起こり、今でも新商品が次々と出ている。

この記事では、既にロゼワインを愛飲している人はもちろん、今まで機会がなく、ロゼワインを選んでこなかったという人にも知ってほしい、ロゼワインをもっと楽しむための基礎知識をまとめた。

ロゼワインはどうつくる? 主なつくり方3種類

赤ワインは黒ぶどう品種から、白ワインは基本的に白ぶどう品種からつくられる。ロゼワインには専用の品種はなく、黒ぶどう品種のみを使うもの、黒ぶどう品種と白ぶどう品種を使うものなどさまざまだ。

ロゼワインをつくるには、主に3つの方法がある。

セニエ法

赤ワインをつくる過程では、黒ぶどうを果皮や種子と一緒にタンクで醸造する。アルコール発酵前または醸し(マセレーション)の初期の段階で、一部の果汁を取り出すのがセニエ法だ。

このように取り出した果汁だけを発酵させてつくると、色の成分を持つ果皮と接している時間があるため、比較的色の濃いロゼワインになる。セニエ法は本来、赤ワインの風味を濃縮するために行われる工程だ。ロゼワインにする果汁を取り出した後、タンクの中は果皮と種子の割合が高くなり、より色合いが濃く、タンニンを感じられる濃縮した赤ワインになる。

なお、セニエ(Saignee)とは、もともとは「瀉血(しゃけつ)」という意味を持つ。体にたまった老廃物などを血と一緒に抜き取るという、中世ヨーロッパで一般的だった治療法のことだ。

直接圧搾法

直接圧搾法(Pressurage Direct)は、黒ぶどう品種を白ワインのように醸造する方法だ。

果皮や種子と一緒に発酵させる赤ワインとは異なり、白ワインでは圧搾した果汁のみを発酵させる。ロゼワインでは、黒ぶどうを白ワインのように発酵前に圧搾するのだが、その際に果皮の色素が果汁に移る。

ちなみに、白ぶどう品種を赤ワインのように発酵させたものがオレンジワインだ。

混醸法

発酵させる前に、果皮が付いたままの黒ぶどう品種と白ぶどう品種を混ぜてしまう方法となる。黒ぶどうの果皮の色素が白ぶどうで薄められるので、一般的にセニエ法よりも色は薄くなる。混醸法でつくったロゼワインは、ドイツの「ロートリング」が有名だ。

ポイントは、「発酵前の果汁を混ぜる」という点。ヨーロッパ諸国では、スパークリングワイン以外で、発酵後の赤ワインと白ワインを混ぜることは認められていない。

【関連記事】
ロゼワインはどうやってつくる? 意外と知られていない3つのロゼワイン醸造方法

ロゼワインの主な産地は?

ロゼワインに限らず、ワインを選ぶときのポイントになるのが“産地”だ。ロゼワインの主な産地には、次のようなものがある。

プロヴァンス(フランス)

フランスの3大ロゼ産地の1つである、南フランスのリゾート地プロヴァンスは、地中海沿岸のマルセイユからニース一帯に広がるフランス最大のロゼワインの産地。ワイン生産量の約90%をロゼワインが占め、プロヴァンスワイン委員会によると、フランスで生産されるロゼワインの約40%、世界中で消費されるロゼワインの5%を占めているという。

主要品種はAOC(原産地統制呼称)によって異なるが、主にサンソーやグルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなど。フレッシュで魅惑的な香りがあり、フルーティーで辛口のものが多い。

コルシカ(フランス)

地中海に浮かぶコルシカ島では、シャカレッロ、ニエルッチョ(イタリアのサンジョベーゼのクローン)などを使用した、アルコール度数が低くてフレッシュなロゼワインを多く生産している。島のワイン生産量のうち、半分以上をロゼワインが占めている。

タヴェル(フランス・南部ローヌ地方)

フランスの3大ロゼ産地の1つ。グルナッシュを40%以上使用し、複数の品種をブレンドしてロゼのみをつくっている。チャーミングな香りがありながら、濃い色合いと力強い味わいが楽しめる。

アンジュー&ソミュール(フランス・ロワール地方)

フランスの3大ロゼ産地、残りの1つは、ロワール地方のアンジュー&ソミュールだ。ここではフランスの3大ロゼの1つ、ロゼ・ダンジュがつくられる。グロローを中心にカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、コット、ガメイなどを使用。やや甘口で、イチゴなどの香りがあるフルーティーな味わいが楽しめる。

ボルドー(フランス)

ロゼワインの新しいトレンドであるボルドー・ロゼは、フランスの銘醸地・ボルドー広域でつくられるロゼワインだ。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローなどを使用している。ワインの最高産地で生産されたワインでありながら、カジュアルな飲み方が似合うというのが大きな魅力だ。

また、色の濃いロゼワインである「ボルドー・クレレ」は、色・味わいともに、赤ワインとロゼワインの中間とも言える存在だ。「ボルドー・ロゼ」よりも、さらに果実味とボディ、渋みが楽しめる。

ボルドー地方では、他にもスパークリング・ロゼの「クレマン・ド・ボルドー」など、幅広いロゼワインがつくられている。

【関連記事】
ロゼワインの新しいトレンド「ボルドー・ロゼ」とは?

ロゼワインの楽しみ方!

続いて、ロゼワインをおいしく楽しむコツを見ていこう。

ロゼワインの冷やし方、適温は?

ワインの魅力を引き出すためにも注意したい、“適温”。ワインによっては適切な温度がホームページや販売サイトで紹介されているので、飲む前に確認しておくと良いだろう。

赤ワインの適温はボディの重さによって変わる。白ワインは甘口か辛口かによって適温が変わるが、一般的に低めの温度が適している。それではその中間の存在とも言えるロゼワインの適温は、どうやって判断すれば良いのだろうか。

正解は「料理によって変える」だ。

濃いめの味付けの料理に合わせる時には、辛口のロゼワインを10~18℃で楽しむと良いだろう。夏は家庭用冷蔵庫で3~4時間冷やし、冬であれば室温で。

素材の味を生かすようなあっさりした料理に合わせる時には、甘口のロゼワインを6~10℃で味わうのがおすすめだ。甘口のワインを冷やすことで、甘さが残り過ぎず、食事に合わせやすくなる。

スパークリングのロゼワインであれば、さらにしっかり冷やして5~8℃で楽しもう。

グラスを回す、グラスを手で温めるなどで、ワインの温度はすぐに上がる。低めの温度で飲み始めて、温度の変化によって変わる味わいを楽しんでみるのも良いだろう。

ロゼワインのタイプ別にチーズを試そう

ワインに手軽に合わせられるおつまみと言えばチーズだが、ロゼワインのタイプごとに相性の良いチーズは異なる。

淡い色彩でライトなロゼワインには、クリームチーズやモッツァレラチーズ、リコッタチーズなど、熟成させないフレッシュなチーズを合わせてみよう。他にもゴーダやマリボーといった、セミハードタイプのチーズもおすすめだ。

骨格のしっかりしたロゼワインには、エポワスなどのウォッシュチーズや、青カビタイプのブルーチーズ。ピノ・ノワールからつくられた繊細なロゼワインには、カマンベールチーズがマッチする。

そのままはもちろん、料理に合わせても良い。また、ワインは生産地の料理と相性が良い傾向があるので、試してみてはいかがだろうか。

カクテルにも使えるロゼワイン

ロゼワインはカクテルにもアレンジしやすい。カクテルには難しいイメージがあるかもしれないが、シェイカーを使わずに自宅で手軽にできるものもある。ロゼワインを使った、自宅で挑戦しやすいカクテルレシピを3つ紹介する。

ロゼパン(ロゼ・パンプルムース)

ロゼワインとパンプルムース(グレープフルーツ)を使ったカクテルで、ロゼパンと呼ばれている。

■材料
ロゼワイン/ロゼスパークリングワイン:60cc
グレープフルーツジュース/果汁:60cc
氷:適量

つくり方は非常に簡単だ。氷を入れたグラスにロゼワインとグレープフルーツの100%ジュースを1:1で割るだけ。お好みで、蜂蜜やグレナデンシロップ(ザクロと砂糖でつくるシロップ)を足しても良い。

ロゼワインをスパークリングワインにしても良いし、氷ではなくグレープフルーツの「アイスボックス」を使うなど、自由にアレンジして楽しめる。

ワイン・クーラー

ワイン・クーラーは、オレンジジュースを使った、夏向きのフルーティーなカクテルだ。ロゼワインに限らず、赤ワインや白ワインでもつくられる。

■材料
ロゼワイン:90cc
オレンジジュース:30cc
グレナンデシロップ:15cc
ホワイトキュラソー:10cc
クラッシュドアイス/キューブアイス:適量

氷を入れたグラスにロゼワイン、オレンジジュース、グレナンデシロップ、ホワイトキュラソーを注いで軽く混ぜる。お好みで輪切りのオレンジを添えると華やかさがアップ。分量はあくまでも目安で、アルコールを抑えたい人はオレンジジュースを増やしても良いだろう。

ロゼ・マルガリータ

ロゼワインを使ったマルガリータは、さっぱりと楽しめる定番カクテルだ。

■材料
ロゼワイン:90cc
テキーラ:30 cc
レモンジュース:適量
塩:ひとつまみ

グラスに材料を入れて混ぜるだけ。飾りとしてミントの葉を散らしても、グラスのふちに塩を付けても良いだろう。氷を入れないので、ロゼワインとテキーラはよく冷やしておこう。最近ではガムシロップを入れる飲み方も人気だ。

おすすめのロゼワイン

ここまで読んで、ロゼワインをもっと知りたい!と思ったら、ぜひこちらもチェックしてほしい。

1000円以下の高コスパロゼ

サンタ・ヘレナ アルパカ ロゼ

安旨ワインの定番ブランド「アルパカ」のロゼは、フルーティーな香りと辛口な飲み口に仕上げた、料理によく合うワインだ。

産地:チリ
ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー
参考小売価格:668円(税別)

サンタ・バイ・サンタ・カロリーナ ロゼ

多数の受賞歴を誇るチリのサンタ・カロリーナとサントリーが、日本の食卓に合うワインを目指してつくった1本。親しみやすい果実味と爽やかなほろ苦い後味がある、やや辛口のロゼワインだ。

産地:チリ
ぶどう品種:非公表
希望小売価格:オープン価格

銘醸地のロゼワイン

サン・タンドリュー ロラトワール

美しいサーモンピンク色の外観、爽やかな辛口という、プロヴァンス・ロゼの特徴を味わえる1本。メドック格付けの4級シャトー・タルボのオーナーが手掛けている。

産地:フランス/プロヴァンス
ぶどう品種:グルナッシュ、サンソー、シラー、ロール
参考小売価格:2750円(税込)

ミラヴァル ロゼ

ギフトやお祝いにもおすすめのプロヴァンス・ロゼワイン。ミラヴァルはブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが購入したことでも話題になったワイナリーだが、ワインづくりはローヌの5つ星生産者であるペラン・ファミリーが手掛けている。

産地:フランス/プロヴァンス
ぶどう品種:サンソー、グルナッシュ、シラー、ロール
参考小売価格:3400円(税別)

ラシュトー ロゼ・ダンジュ

やや甘口のフルーティーなロゼ・ダンジュの1本。イチゴやラズベリーを思わせる香りとフレッシュな果実味で、軽快に飲み進められるデイリー向けワインだ。手頃な価格がうれしい。ラシュトーは有機認証を受けたつくり手だ。

産地:フランス/ロワール
ぶどう品種:グロロー
参考小売価格:1450円(税別)

タヴェル・ロゼ シャプティエ

チャーミングな香りと力強さという、タヴェル・ロゼの特徴を味わえる1本。中華料理や肉料理とも相性が良い。

産地:フランス/ローヌ
ぶどう品種:グルナッシュ
参考小売価格:3100円(税別)

シャトー・ジャンフォー ロゼ

ボルドーでつくられる樽熟成の自然派ロゼ。豚肉や生ハム、また赤肉とも相性が良い、ロゼのイメージを覆す驚きのワインだ。

産地:フランス/ボルドー
ぶどう品種:メルロー、カベルネ・フラン
参考小売価格:2000円(税別)

こちらもおすすめ! 実力派ロゼワイン

コノスル スパークリングワイン ロゼ

安旨ワインの定番ブランドであるコノスルは、美しいサーモンピンクの華やかなスパークリングワインを発売している。果皮からにじみ出るわずかなタンニンが飲み応えと奥行きを与える1本。シーフードから肉まで、さまざまな料理に合わせやすい。『ワイン王国』誌のブラインド・テイスティングで五ツ星、「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards:DWWA) 2017」で93点を獲得した実力派だ。

産地:チリ
ぶどう品種:ピノ・ノワール
参考小売価格:1250円(税別)

サントリージャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼ

国際品種にも指定されている、日本の固有品種マスカット・ベーリーAを使ったロゼワイン。2012年ヴィンテージは「国産ワインコンクール 2013」のロゼ部門で金賞を受賞し、2015年ヴィンテージは、「サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards) 2018」にて、「ベスト日本ロゼワイン賞」「ダブルゴールド賞」「ベストロゼワイン賞」「ベストコストパフォーマンスワイン賞(1501円~2500円部門)」の4賞を獲得している。

産地:日本/山梨県、長野県
ぶどう品種:マスカット・ベーリーA
希望小売価格:オープン価格

ベリンジャー カリフォルニア・ホワイト・ジンファンデル

カリフォルニアの代表品種であるジンファンデルを使用し、直接圧搾法でつくったロゼワインだ。

ベリンジャーは、アメリカのワイン専門誌『ワイン・スペクテイター(Wine Spectator)』において、世界で唯一、赤・白ワインの両方でNo.1を獲得。『ワイン・アンド・スピリッツ(Wine&Spirits)』誌では、ワイナリー・オブ・ザ・イヤーを12回受賞している。

産地:アメリカ/カリフォルニア州
ぶどう品種:ジンファンデル
希望小売価格:オープン価格

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で
About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ