コラム

革新的な挑戦を続ける伝統あるワイナリー、ブラウン・ブラザーズ ~解説:オーストラリアのワイナリー

ワイン新興国ながら、今や世界品質のワインを生み出すオーストラリア。今回は、その中でも“オーストラリアのリーディングワイナリー”と評される、ブラウン・ブラザーズ(Brown Brothers)を紹介する。

オーストラリアでは長い歴史を誇るが、「われわれは伝統あるワイナリーだが、伝統的なワイナリーではない」という言葉の通り、新しいことや革新的なことに挑戦し続けている。

ブラウン・ブラザーズとは

ブラウン・ブラザーズは、1889年にジョン・フランシス・ブラウン氏がオーストラリアのヴィクトリア州ミラワに創立した家族経営のワイナリーだ。2009年に結成した団体AFFW(Australia’s First Families of Wine、オーストラリアの最初のワイン・ファミリー)の中核メンバーでもある。なお、AFFWには、世界最高峰のシラーズワインを産するヘンチキ(Henschke)も参加している。

ブラウン・ブラザーズの歴史

ジョン氏がミラワの地でぶどう栽培を始めたのは、1885年のこと。およそ4haの土地にリースリングやマスカット、シラーズなどを植えた。その後、ワイナリー創立の1889年にファーストヴィンテージをリリース。以来、130年以上にわたって家族経営を続け、現在は、オーストラリアで最も古い家族経営のワイナリーの1つに数えられている。

2代目のジョン・チャールズ・ブラウン氏は、新しい技術を積極的に取り入れて、ブラウン・ブラザーズを大きく発展させた。白ワインを醸造する際、果汁と果皮をすぐに分けず、果皮をしばらく果汁に漬けておくことで果皮の成分を抽出し、品種の特性をワインにより濃く反映できるスキンコンタクトをいち早く導入したり、低温発酵の技術をヴィクトリア州で初めて実践したりした。また、オーストラリアで初となる、リースリングの貴腐ワインを手掛けている。

3代目のジョン・グラハム・ブラウン氏は、1989年にブラウン・ブラザーズ創立100周年を記念して、キンダーガーデンと呼ばれるミニ・ワイナリーを建設した。このミニ・ワイナリーは醸造試験場の役割を担っていて、醸造やぶどう栽培に関する研究開発が行われている。ブラウン・ブラザーズが1990年代後半にオーストラリアワイン市場に初めて導入したモスカートのほか、タランゴやドゥリフなどの品種も、このキンダーガーデンで醸造方法を確立した。

ブラウン・ブラザーズは、タスマニアにもフィールドを広げていく。2010年には、タスマニアを代表するワイナリーと評されたテイマー・リッジを買収して傘下に置き、タスマニア・ブランドを確立した。

何世代にもわたって家族経営を続けるワイナリーは現在、4代目に引き継がれ、キャサリン・ブラウン氏がファミリーで初の女性ワインメーカーを務めている。

ワインづくりに対する姿勢

ブラウン・ブラザーズは、「われわれは伝統あるワイナリーだが、伝統的なワイナリーではない(We are a wine company with tradition, but we’re not a traditional wine company)」という通り、長い歴史を持つワイナリーではあるが、伝統にとらわれず、常に新しい考えや技術を取り入れている。新しいぶどう品種を開発したり、CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)と協力してぶどう栽培の研究をしたりするなど、現状に挑戦するワイナリーと評されている。

現在は、ヴィクトリア州とタスマニア州に所有する6つの自社畑840haの土地で、30品種以上のぶどうを栽培。そのぶどうから60種類以上のワインを産している。ぶどうはそれぞれの品種に適した土地で栽培されていて、テロワールを生かしたワインがつくられている。

おすすめワイン7選

「人と、人々を結ぶ力を持つワインを愛している」というブラウン・ブラザーズ。「人が飲みたいと思うワインをつくる」という理念のもと、多くの人がさまざまな場面で楽しめるよう、たくさんの種類のワインをつくっている。

ブラウン・ブラザーズ パトリシア・シャルドネ

ブラウン・ブラザーズのフラッグシップワイン。2代目であるジョン氏の妻パトリシア氏の名前を冠した「パトリシア」シリーズは、2003年から発売している。緑がかった淡黄色で、カシューナッツやピーチなどを感じる複雑な香り。ミネラルやチェリーのエレガントな味わいを持つ。同シリーズには、シャルドネのほか、シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ノーブル・リースリングがある。

品種:シャルドネ
味わい:白・辛口
参考小売価格:4500円(税別)

ブラウン・ブラザーズ タランゴ

オーストラリアで開発されたぶどう品種のタランゴを使用したワイン。タランゴは、トゥーリガとサルタナという珍しいぶどう品種を交配してつくられた品種。ブラウン・ブラザーズは、1980年からタランゴ品種のワインの醸造を開始した。ボージョレ・ヌーボーと同じマセラシオン・カルボニック製法を用いて、渋みを抑えたフルーティーな赤ワインに仕上げている。赤い果実のようなフレッシュな香りと、まろやかで控えめなタンニンを持つ。酸と甘みのバランスが良いワイン。

品種:タランゴ主体
味わい:赤・ライトボディ
参考小売価格:1600円(税別)

ブラウン・ブラザーズ モスカート

マスカットを使用した微発泡の白ワイン。フレッシュなトロピカルフルーツの香りを持ち、さっぱりとした果実味を余韻に感じる。花やマスクメロン、トロピカルフルーツを思わせるワイン。

品種:マスカット・オブ・アレクサンドリア主体
味わい:白・甘口
参考小売価格:1700円(税別)

ブラウン・ブラザーズ 1889 シラーズ

ワイナリーの設立年を冠した、ミディアムボディの赤ワイン。赤い果実の香りにスパイスやオークなどの香りも感じる。バランスの良い酸を持ち、コクも感じられる。

品種:シラーズ主体
味わい:赤・ミディアムボディ
参考小売価格:2200円(税別)

ブラウン・ブラザーズ シエナ

オーストラリアで開発されたぶどう品種シエナを使用した、微発泡の甘口赤ワイン。シエナは、カベルネ・ソーヴィニヨンとスペイン原産のスモールを交配してつくられた品種。爽やかな甘みと豊かな香りを持つ。低温技術で発酵を途中で止めているため自然な甘さがあり、通常よりも低いアルコール度数で飲みやすい。

品種;シエナ主体
味わい:赤・甘口
参考小売価格:1700円(税別)

ブラウン・ブラザーズ ジビッボ・ローザ

マスカット・オブ・アレクサンドリアとシエナを使用した、ロゼのスパークリングワイン。淡い紅サンゴ色で、泡立ちは柔らかい。アルコール度数は低めで、ストロベリーの香りと優しい甘みを持つ。

品種:マスカット・オブ・アレクサンドリア、シエナ
味わい:ロゼ・甘口
参考小売価格: 1980円(税込)

ブラウン・ブラザーズ オレンジ・マスカット&フローラ

オレンジの香りがするオレンジ・マスカットと、ゲヴュルツトラミネールとセミヨンの交配品種であるフローラを使用したデザートワイン。収穫を遅くしたレイト・ハーヴェスト(遅摘み)のぶどうは、収穫までの間に水分が蒸発し、糖度が上がるため、甘みの濃い果実となる。その甘みの濃いぶどうを使用した「オレンジ・マスカット&フローラ」は、リンゴやモモのような香りにかんきつ系の香りも感じるデザートワインとなっている。

品種:オレンジ・マスカット、フローラ、リースリング
味わい:白・甘口
参考小売価格:1800円(375ml、税別)

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