コラム

初心者にもおすすめ! 華やかで食事にも合わせやすいブルゴーニュのロゼワイン4本 ~ブルゴーニュワイン試飲会③

ブルゴーニュワイン委員会(BIVB)は2022年7月13日、ブルゴーニュワインの展示会と試飲会を開催した。

出品されていたブルゴーニュワインの中から今回は、ブルゴーニュワインファンはもちろん、初心者にもおすすめしたい4本のロゼワインを紹介する。

ブルゴーニュのロゼワインとは

ブレンドワインが多いボルドーとは異なり、ブルゴーニュでは基本的に赤はピノ・ノワール、白はシャルドネだが、南部のマコン地区では、さらに南に位置するボージョレ地区と同様に、ガメイを使用した赤ワインが多くつくられている。ロゼワインについても、基本的にはピノ・ノワール、マコンではガメイが使用されている。

全てのアペラシオンでロゼワインがつくられているわけではなく、赤・白とともにロゼワインが認められている唯一の村名(コミュナル)アペラシオンがマルサネだ。

その他の産地では、ロゼワインを手掛けても村名アペラシオンを名乗ることができず、以下の地域名(レジョナル)アペラシオンを名乗ることとなる。

【ブルゴーニュ全域】
ブルゴーニュ
ブルゴーニュ・パス・トゥーグラン
クレマン・ド・ブルゴーニュ(発泡)
コトー・ブルギニヨン

【コート・ド・ニュイ地区】
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ

【コート・ド・ボーヌ地区】
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ

【コート・シャロネーズ地区】
ブルゴーニュ・コート・シャロネーズ

【マコネ地区】
マコン
デノミナシオン(Dénomination Géographiques Complémentaires、地理的補足を持つ呼称)付きマコン

出品されていたロゼワイン

今回は、インポーターによるブルゴーニュワインの試飲会で紹介されていたワインの中から、4本のロゼワインを紹介する。

ドメーヌ・バール/マルサネ 2018

コート・ド・ニュイの最北端に位置し、村名アペラシオンで唯一、赤・白・ロゼワインをつくることができるマルサネのロゼワイン。

ドメーヌ・バールは、マルサネ近代化の礎を築いたドメーヌ・クレール=ダユの血統を継ぐドメーヌの1つ。除草剤や化学肥料を使用せずにぶどうを栽培し、ヴィンテージごとの個性が感じられるワインづくりをしているのが特徴だ。

このワインは、醸造に樽を使用していない。チャーミングという言葉がぴったりなベリー系の香りとハーブや石灰岩の香り。爽やかさとまろやかさ、そしてミネラルが感じられる辛口ワインで、さまざまな食事との相性が良い。また、ピュアな印象だが、うま味もしっかりと感じられるので、ワイン単体で楽しんでも飲み飽きない1本だ。

マルサネは、良質のワインがリーズナブルな価格で楽しめる産地だ。現在、14のクリュがプルミエ・クリュに申請中。申請が通って知名度がアップすると値上がりが予想されるので、ぜひ今のうちに手に取っていただきたい。

DOMAINE BART/Marsannay Rosé 2018
アペラシオン:マルサネ
品種:ピノ・ノワール100%
参考小売価格:3850円(税込)

ドメーヌ ピエール=ルイ&ジャン=フランソワ ベルサン/ブルゴーニュ コート・ドーセール ロゼ

ブルゴーニュ コート・ドーセールは、シャブリと同じヨンヌ県に広がるグラン・オーセロワ地区のデノミナシオン付きAOC(Appellation d’origine contrôlée、原産地呼称)。サンブリ・ル・ヴィヌー村を中心に、5つの村に広がっている。ブルゴーニュAOCは、ブルゴーニュ全体で収穫されたぶどうが使用できるが、デノミナシオン付きのAOCは特定のエリアで栽培されたぶどうに限定されているのが特徴だ。より規定が厳しく、よりテロワールが味わえるワンランク上のワインだと言えるだろう。

テロワールを尊重してつくられており、樽は使用せずにステンレスタンクを使用して、果実の個性を引き出している。ロゼとしては深みのある色調で、果実感がたっぷり感じられる香り。豊かで繊細なかんきつ系の果実味、キレの良い酸、細やかなタンニンのバランスが良いワインだ。肉料理全般のほか、バターを使用した魚介料理とも相性が良い。

Domaine Pierre-Louis et Jean-Francois BERSAN/Bourgogne Cotes d’Auxerre Rosé
アペラシオン:ブルゴーニュ コート・ドーセール
品種:ピノ・ノワール100%
参考小売価格:3520円(税込)

カミュ・フレール/ヴェズレイ ロゼ 2018

このロゼワインのアペラシオンはブルゴーニュだが、シャブリと同じヨンヌ県に広がるグラン・オーセロワ地区のヴェズレイ村で育ったピノ・ノワールだけでつくられている。

ブルゴーニュの北寄りのエリアでありながらも、しっかりとした果実味が魅力的だ。華やかな香りがあり、口に含むと香りの印象よりもドライで、余韻に感じられるミネラル感とともに、さまざまな食事との相性の良さを感じさせる。特におすすめのペアリングは、野菜のフリット、トマトのカプレーゼ、白身魚のグリル。

DOMAINE CAMU FRÈRES/Vezelay Rosé AOC Bourgogne 2018
アペラシオン:ブルゴーニュ
品種:ピノ・ノワール100%
参考小売価格:3080円(税込)

サラジニエール/マコン・ロゼ 2019

ブルゴーニュ南部のマコンでつくられた、軽やかでフレッシュなロゼワイン。こちらはガメイ100%だ。チャーミングさやジャムのようなニュアンスは抑えて、品種の特性由来のふくよかさや厚み、そしてうま味の要素をしっかり堪能できる。

和食や中華、そしてカジュアルから本格料理まで、幅広くペアリングを楽しむことができる万能な1本。酸が緻密なので、豚肉や鶏といった白身のお肉、脂身を楽しむ料理に対しても、油分をキュッと引き締めてくれる。

サラジニエールは、土壌の持つ潜在能力と可能性を最大限に引き出すワインづくりを行っているドメーヌだ。酸化防止剤として使われるSO₂(亜硝酸塩)も最低限に抑えている。果実の実力、そしてテロワールを存分に堪能できるロゼワインだ。

DOMAINE DE LA SARAZINIERE/Mâcon, 2019
アペラシオン:マコン
品種:ガメイ100%
参考小売価格:3080円(税込)

【BIVBミニ記者会見】
①BIVB広報委員会会長ミシェル・バロー氏が語る、日本とブルゴーニュの今とこれから
②生産者の目線で語られた、気候変動がブルゴーニュに与える影響と対策とは
【ブルゴーニュワイン試飲会】
①ブルゴーニュワイン初心者にもおすすめ! おいしくて手頃なデノミナシオン付きブルゴーニュワイン4本
②親しみやすさ抜群のマコンワインは初心者にもおすすめ! おいしくて手頃なマコンワイン5本

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ