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ワインの新興国の中でも、特に新しい産地であるニュージーランド。栽培や醸造に先進的な技術を取り入れたワインづくりで、ワインファンからの信頼や人気を集めている。
今回はそんなニュージーランドを代表するワイナリーの中から、高い人気がありながらも日本の市場から姿を消した、ノビロ(Nobilo)を紹介する。
ノビロとは
まずは、ノビロの歴史について見ていこう。
ノビロの成り立ち
ノビロは、クロアチア出身のニコラ・ノビロ氏が、1943年に移住先であるニュージーランドのオークランドで創設したワイナリーだ。ノビロが長年セラードアを開いていたクメウ地区を含むオークランド近郊は、クロアチア系移民によって20世紀初めにワインづくりが始まった地域。つまりノビロは、ニュージーランドのワイン産業を初期から引っ張ってきた存在でもある。
他にも、クロアチア系移民によるワイナリーには、バビッチ(Babich)、ヴィラ・マリア(Villa Maria)、モンタナ(Montana、現ペルノ・リカール)、クメウ・リヴァー(Kumeu River)などがある。
ノビロ家も、クロアチアで300年以上もワインづくりに携わってきた一族として、ニュージーランドのワイン産業を導いてきた。1970年代には、ソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールの栽培、マールボロ地区でのワインづくりに着手した。
しかし現在は、長年愛されてきたオークランドのセラードアは閉ざされている。ニュージーランド最大のワイン産地であるマールボロ地区で栽培されたソーヴィニヨン・ブランを中心に、ワインを手掛けているのみだ。
ノビロに何が起こった?
ニュージーランドの大手ワイナリーの1つであったノビロだが、2000年にはオーストラリアを代表するワインメーカーBRLハーディ(BRL Hardy)に買収された。そして2003年には、コンステレーション・ブランズ(Constellation Brands)と合併。これは、アメリカ市場での販売拡大を狙ったものだった。
ニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランは、国際的に高い評価を受けており、ニュージーランドで栽培されているワイン用ぶどう品種の約75%を占めている。トロピカルフルーツ、ハーブ、グリーンのトーンなどの華やかな香りが特徴で、特にマールボロ地区が産地として知られている。
しかしニュージーランドは人口が少なく、合併が行われた2000年代初頭は400万人以下、2022年現在でも513万人ほど。国内のワイン市場に限界があるため、海外に安定した販路の確保を目指す動きがあったのである。
この狙いは当たったと言えるだろう。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、アメリカ国内のレストランやバーが軒並み売り上げを下げるなか、低価格帯のノビロはスーパーや酒屋で売れ続けた。
2020年、コンステレーション・ブランズは、ノビロをカリフォルニアのワイン業界で最大手のワインメーカーであるガロ(E.&J. Gallo)に売却することを発表。今後はアメリカ市場を中心に、ノビロを国際展開させていく方針だ。
なお、ノビロに問い合わせたところ、2022年12月時点では残念ながら日本に再び入ってくる予定はないとのことだ。
ノビロのおすすめワイン
ノビロは現在、2つのソーヴィニヨン・ブランを展開している。
ノビロ ソーヴィニヨン・ブラン(NOBILO SAUVIGNON BLANC)
フレッシュでクリーンな味わいの、ニュージーランドらしさを感じられる1本。パッションフルーツやパイナップルの香りに、ほのかなグリーンなハーブが香る。バランスの良い酸があり、豊かな余韻が楽しめるのも特徴。アペティリフや軽めのシーフード料理、レモンハーブチキン、サマーサラダとの相性が良い。
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
味わい:白
ノビロ アイコン・コレクション(NOBILO ICON COLLECTION)
マールボロで最も冷涼な、アワテレ・バレーのヴィンヤードのぶどうのみを使用したワイン。かんきつ系の皮や完熟のトロピカルフルーツ、ほのかなミネラル感、複雑な香りが魅力的。口に含むとさらにパッションフルーツや白い花の味わいが広がり、力強いフィニッシュが楽しめる。生がき、焼いたエビ、蒸したムール貝などと相性が良い。
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
味わい:白・辛口
【今知っておきたいニュージーランドのワイナリー】
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