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Wines of Chileが主催する「92+チリワイン グランド・テイスティング」が、2023年7月11日にザ ストリングス 表参道(東京都港区)で開催された。プレミアム・チリワインは世界的に注目されており、同展示会ではワイン業界の関係者に向けて、国際的なワイン品評会などで92点以上の評価を受けたワインのみが出品された。
今回は、出品したつくり手の中から、エミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズ(Emiliana Organic Vinyards)の4本のプレミアムワインを紹介する。
エミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズとは
エミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズは、コンチャ・イ・トロの経営にも関わるギリサスティ家によって1986年に設立された、バラエタルワイン(単一品種のワイン)をチリで初めてリリースしたつくり手だ。1998年以降は、ビオディナミ&有機農法による、エコロジカルで持続可能なぶどう畑で脚光を浴びている。
オーガニック栽培に切り替えたのは、栽培を担当していたホセ・ギリサスティ氏が、作業中に頭痛やかゆみといった症状を感じ、人間に悪いものはぶどうの樹にも、もちろんワインにも悪いと考えたためだ。現在、ワイナリーの畑は全てオーガニック栽培またはビオディナミ農法を取り入れており、オーガニック認証団体の世界基準ともいわれる「ECOCERT(エコサート)」の認証を受けている。
また、チリのワイナリーで初めて、「Demeter(デメター)」から認証を受けたワイナリーでもある。マークの取得にはお金がかかることもあり、認証マークが付いていないワインもあるが、それらも含めて全てビオディナミでつくられているという。
エミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズの92+プレミアムワイン
それでは、出品されていたエミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズのワインを見ていこう。テイスティングコメントは、輸入元のWIN TO STYLE提供の資料によるものだ。
コヤム ヴァレ・デ・コルチャグア 2020
エミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズがオーガニック栽培に舵を切ってから、最初につくられたワイン。当時は13品種を育てて使用していたが、現在は10品種程度となっている。
ファーストヴィンテージは2001年で、チリ初のオーガニック認証ワインとなった。2003 年に「チリ・ワイン・アウォード(Wines of Chile Awards)」に出品されると、「ベスト・レッド・ブレンド」、そして最高賞の「ベスト・イン・ショー」に選出された。
75%をフレンチオーク樽、15%をフードル樽(熟成用の大樽)、10%を卵型コンクリートタンクで18カ月熟成させている。
《テイスティングコメント》
色は明るいチェリーレッド。チェリーやイチゴ、ブラックベリーなどの果実から、スミレ、地中海のハーブのような香りまで、非常に複雑な香りがある。ミディアムボディできめ細やかなタンニンとはっきりした酸が、しっかりとした骨格と余韻をつくり上げている。
手の込んだ料理からシンプルな料理まで、さまざまな料理と相性がよい。赤身肉や白身肉に、ブラックペッパー、ロックフォール、ガーリックバターのいずれかのソースを合わせるのが理想的だ。インド料理やメキシコ料理などのスパイシーな料理、マッシュルーム、パプリカ、ジャガイモ、ナス、豆類を使ったベジタリアン料理にも合う、とても懐の広いワイン。
品種:シラー38%、カルメネール37%、カベルネ・ソーヴィニヨン8%、カリニャン5%、ガルナッチャ4%、ムールヴェードル4%、プティ・ヴェルド2%、マルベック1%、テンプラニーリョ1%
生産地:コルチャグア・バレー
参考小売価格:3500円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング(James Suckling)」94点
シンクエンタ・イ・シエテ ロカス カルメネール ロス・ロブレス・エステート ヴァレ・デ・コルチャグア 2019
「57の岩」を意味する「シンクエンタ・イ・シエテ ロカス(57 Rocas)」は、57歳で亡くなったホセ・ギリサスティ氏の結晶ともいえるワインだ。
ロス・ロブレス・エステートは、1998年にオーガニック栽培とビオディナミ農法を試験的に始めた場所だ。この地の古い樹齢のカルメネールを使用し、70%を卵型コンクリートタンク、30%をフレンチオークの新樽にて16カ月熟成させている。
《テイスティングコメント》
色は凝縮感のあるルビーレッドで、チェリーやブラックプラムのような赤い果実の凝縮感のあるアロマがあり、スウィート・ブライヤーのような甘さ、月桂樹の葉、杉、黒コショウのようなスパイスがほのかに香る。バランスがよくエレガントで、素晴らしいボリュームと豊かな酸味を兼ね備えている。
さまざまな種類の肉、豆、煮込み野菜、コーンやポテト料理とよく合う。トマトソースのパスタやスパイスの効いたしっかりとした味付けの料理とも相性がよい。
品種:カルメネール100%
生産地:コルチャグア・バレー
参考小売価格:4000円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング」92点
シグノス・デ・オリヘン オーガニック・シャルドネ/ルーサンヌ ヴァレ・カサブランカ 2021
太平洋に程近く、海の影響を強く受けるカサブランカ・バレーのぶどうを使用している。チリで最も冷涼な地域の1つであり、酸が高くてアロマが豊かなぶどうができる。
「シグノス・デ・オリヘン」とは「その土地のサイン(Signs of Origin)」を意味する。エミリアーナ・オーガニック・ヴィンヤーズは、オーガニック栽培またはビオディナミ農法だからこそ、その地で育つ真の品種の個性が表現できると考えている。
40%をフレンチオーク樽で、30%を卵型コンクリートタンク、16%をフードル樽(熟成用の大樽)、14%をステンレスタンクで澱と共に熟成させている。
《テイスティングコメント》
黄金色で、パイナップル、マンゴー、ピーチ、アプリコットなどの甘い香りを持つ。ふくよかな口当たりで、みずみずしく、果実と熟成から来る複雑味のバランスがとれ、心地よい後味を持つワインだ。
わずかに金色がかった淡い黄色で、白い果実やアプリコット、かんきつ類やスパイスを感じさせる香りがある。ミディアムボディの味わいは、澱と共に熟成させたことによるクリーミーさがあり、同時に生き生きとした酸が余韻や持続性、そしてフレッシュさをもたらしている。
オイスターなどの生の魚介類、サーモンのタルタル、クリーミーな野菜のリゾット、チーズ、パテとの相性がよい。
品種:シャルドネ94%、ルーサンヌ6%
生産地:カサブランカ・バレー
参考小売価格:3000円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング」92点
サルヴァヘ シラー/ルーサンヌ カサブランカ・ヴァレー 2021
酸化防止剤として使われているSO2(亜硫酸塩)を添加していないワインだ。一歩進んだ、より自然なワインづくりへ挑戦しようと、「サルヴァヘ(野生)」という名前が付けられている。
50%を卵型セメントタンク、50%を円すい型コンクリートタンクで5カ月熟成している。その間に、酸を柔らかくするマロラクティック発酵(MLF)が自然に始まる。
《テイスティングコメント》
凝縮した藍色に近い紫がかった赤色を持つ。ブラックベリーやプラム、ブルーベリーなどの黒い果実のフルーティーな香りが中心となり、その後にかすかなフローラルなアロマが感じられる。口に含むとオリーブや白い花の香りが広がり、シルキーな口当たりと中庸なボリューム感を持つフィニッシュの長いワインだ。
品種:シラー95%、ルーサンヌ5%
生産地:カサブランカ・バレー
参考小売価格:2550円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング」93 点
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