Wines of Chileが主催する「92+チリワイン グランド・テイスティング」が、2023年7月11日にザ ストリングス 表参道(東京都港区)で開催された。プレミアム・チリワインは世界的に注目されており、同展示会ではワイン業界関係者に向けて、国際的なワイン品評会などで92点以上の評価を受けたワインのみが出品された。
今回は、出展していたつくり手の中から、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィット(Domaines Barons de Rothschild Lafite)が所有するロス・ヴァスコス(Los Vascos)のプレミアムワイン4本を紹介する。
ロス・ヴァスコスとは
ロス・ヴァスコスは、チリでファインワインをつくるという志のもと、1988年からドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィットが所有するワイナリーだ。所有者のドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィットは、1868年にロスチャイルド家が設立したドメーヌで、同家がフランス・ボルドー地方の1級格付けワイナリー、シャトー・ラフィット(Chateau Lafite)を取得した際に設立された。
チリの伝統とドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィットのノウハウを組み合わせ、彼らのイメージ通りのワインを生産している。植え替えや水源の確保、畑の区画ごとのミクロクリマの把握などを行い、品質向上にも余念がない。
ぶどう畑は、コルチャグア・バレーの中でも海から40kmほどの盆地状の場所に位置しており、海から吹き込む風の影響で、日光がありながら冷涼な気候だ。3600haの土地のうち、ぶどう畑は700haほど。こうしたぶどう畑を取り巻く環境を大切にしたワインづくりを行っている。
ロス・ヴァスコスの92+プレミアムワイン
それでは、出品されていたロス・ヴァスコスのワインを見ていこう。
ル・ディス・ド・ロス・ヴァスコス2018
ワイナリーを代表するグランヴァンといえるワインだ。「ル・ディス(Le Dix)」はフランス語で「10」を意味し、ロス・ヴァスコスの所有10周年を記念して1998年に初リリースされた。
「エル・フレイル」というヴィンヤードの最も古いグラン・クリュ(特級畑)にあたる区画から、樹齢50年のぶどうを厳選している。熟成は、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィット製フレンチオーク樽(新樽60%)で18カ月、さらにビン詰めしてから12カ月行っている。エレガントで柔らかいタンニンに適度な酸が魅力のワインだ。
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン92%、シラー8%
生産地:コルチャグア・バレー
参考上代:7500円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング(James Suckling)」95点、「ヴィノス(Vinos)」94点
クロマス・シリーズ
フランス語で「色」を意味する「クロマス(Cromas)」は、自然の色をコンセプトに、品種をイメージしたカラーでラベルがデザインされている。
その味わいは、“ラフィットエレガンス”で、冷涼な気候が生む味わいと、酸味のあるフレッシュさを重視して、チリらしい完熟感と清涼感を楽しめる。
それぞれのワインのテイスティングコメントは、輸入元のファインズによるもの。
●クロマス カベルネ・フラン グラン・レゼルバ2020
マセラシオン(醸し)後に、細かい区画ごとにぶどうを分類し、それぞれを小型のステンレスタンクで発酵させている。熟成は80%をフレンチオーク樽で、残りをコンクリートタンクで行っている。
【テイスティングコメント】
輝かしいルビー色で、ブラックベリーの香りが主体。さらにブラックチェリーやハーブ、ローストしたレッドペッパーの要素が現れます。完熟しながらもカベルネ・フランの特徴が十分に表現されているワインです。
品種:カベルネ・フラン100%
生産地:コルチャグア・バレー
参考上代:3200円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング」92点
●クロマス グラン・レゼルバ2019
ル・ディスでも使われている「エル・フレイル」のぶどうを中心に、良質なぶどうのみを厳選したワインだ。手摘みした果実をボルドーの伝統的な技法でマセラシオンを行い、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト・ラフィット製のフレンチオーク樽(新樽20%)で12カ月熟成させている。
【テイスティングコメント】
新鮮で完熟したラズベリー、チェリー、プラムのアロマが感じられます。コルチャグア・バレーのテロワールとラフィットスタイルを色濃く反映した、力強く、複雑なブーケが特長のコストパフォーマンスに優れたワインです。
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン85%、シラー10%、カルメネール5%
生産地:コルチャグア・バレー
参考上代:2650円(税別)
評価:「ヴィノス」92点
●クロマス シラー グラン・レゼルバ2019
花崗岩土壌の斜面で育ったシラーを使用し、恵まれた気候・土壌で品種のポテンシャルを引き出したワイン。醸造後、フレンチオーク樽で12カ月熟成させている。
【テイスティングコメント】
濃い紫色で、豊かなスミレの香りにプラムやイチジクなど熟した赤い果実、樹木やタバコ、黒コショウなどが混ざり合います。ボディがあり、洗練されたタンニンとエレガントで長い余韻が楽しめます。
品種:シラー100%
生産地:コルチャグア・バレー
参考上代:3200円(税別)
評価:「ジェームス・サックリング」92点
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