コラム

スパークリングだけじゃない! ビーニャ・バルディビエソの魅力が詰まったプレミアムワイン4本 ~「92+チリワイン グランド・テイスティング」レポート⑨

Wines of Chileが主催する「92+チリワイン グランド・テイスティング」が、2023年7月11日にザ ストリングス 表参道(東京都港区)で開催された。プレミアム・チリワインは世界的に注目されており、同展示会ではワイン業界関係者に向けて、国際的なワイン品評会などで92点以上の評価を受けたワインのみが出品された。

今回は、出展されたつくり手の中から、スパークリングワインの名手として知られるビーニャ・バルディビエソ(Viña Valdivieso)の4本のプレミアムワインを紹介する。

ビーニャ・バルディビエソとは

ビーニャ・バルディビエソは、1879年設立の南米で初めてスパークリングワインを手掛けたメゾンだ。チリの瓶内二次発酵(シャンパーニュと同じ製法)ワインでは、右に出る者はいないといった評価を受けている。日本への輸入の大部分はスパークリングワインだが、「バラエタル」シリーズ、「ヴァレー」シリーズ、「シングルヴィンヤード」シリーズなど幅広い種類の高級ワインを手掛けている。

設立者のアルベルト・バルディビエソ氏は、フランスでワインの素晴らしさを知り、チリに戻ってから小さなワイナリーを買収してワインづくりをスタートさせた。フランスからシャルドネをチリに持ってきた人物でもある。ピノ・ノワールに関しても、チリで最も有名なクローンとして「バルディビエソクローン」を使用しているワイナリーも多い。

ビーニャ・バルディビエソの92+プレミアムワイン

それでは、出品されていたビーニャ・バルディビエソのワインを見ていこう。テイスティングコメントは、輸入元のモトックス提供の資料によるものだ。

いずれもビーニャ・バルディビエソのテロワールや品種へのこだわりが感じられる。初めてビーニャ・バルディビエソのワインを味わう人にも、是非おすすめしたいワインだ。

シングルヴィンヤード カサブランカ・ヴァレー シャルドネ2021

太平洋に程近いカサブランカ・バレーは、海の影響を受ける冷涼な地域であり、シャルドネやピノ・ノワールといったブルゴーニュ品種の栽培に適したエリアとして知られている。

このワインは、スパークリングワインにも使用されているシャルドネと産地の魅力を引き出したスティルワインだ。天然酵母を使用し、フレンチオーク樽で発酵後、マロラクティック発酵はせずに、フレンチオーク樽(新樽比率30%)で12カ月熟成させている。

《テイスティングコメント》
グレープフルーツ、ピーチ、アプリコットの凝縮したフレーバーとミネラル感が感じられます。芳醇でありながら柑橘(かんきつ)系のアロマが特徴です。しっかりとした酸と長い余韻が続きます。

品種:シャルドネ100%
生産地:カサブランカ・バレー
参考小売価格:2650円(税別)
評価:チリのワインガイド『デスコルチャドス(Descorchados)2023』92点

シングルヴィンヤード マイポ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン2018

カベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地マイポ・バレーのぶどうを使用したスティルワインだ。ステンレスタンクで一次発酵後、野生乳酸菌を使用して酸を柔らかくするマロラクティック発酵を行い、フレンチオーク樽(新樽比率15%)で24カ月熟成させている。

《テイスティングコメント》
リッチなブラックベリーやチェリーの完熟アロマにスパイス香、ヴェルヴェットのように溶けるタンニン、ドライフルーツや大地を想わせる香りに繊細なミント香が感じられます。満足の1本です。

品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
生産地:マイポ・バレー
参考小売価格:2650円(税別)
評価:『デスコルチャドス2023』93点

バルディビエソ ブラン・ド・ブラン2017

ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)とは、白ぶどうのみを使用したスパークリングワインだ。このワインには、ビオビオ・バレー産のシャルドネのみを使用している。 マロラクティック発酵をせず、冷涼な産地でつくられたシャルドネの魅力を引き出し、60カ月かけて長期間の瓶内熟成を行っている。

《テイスティングコメント》
複雑に重なり合うアロマと酵母香、長期熟成が魅せる本格派の瓶内二次醗酵スパークリング、新鮮な柑橘果実の味わいとふくよかな熟成香が見事です。きめ細かな泡を持つ納得の1本だと言えます。

品種:シャルドネ100%
生産地:ビオビオ・バレー
参考小売価格:2750円(税別)
評価:『デスコルチャドス2023』93点

バルディビエソ エクストラ・ブリュット2018

ドザージュ(甘みを調節したリキュール添加)を6g/L以下に抑え、果実の味わいそのものの魅力を引き出しており、瓶内熟成も18~24カ月かけて実施している。お手頃な価格でビーニャ・バルディビエソのこだわりが感じられるワインだ。初めてビーニャ・バルディビエソを手に取るという人にもおすすめの1本。

《テイスティングコメント》
シャンパーニュと同じ製法の本格派瓶内二次醗酵スパークリングワインです。フレッシュなライムや青リンゴのアロマとほんのり広がるトースト香が心地よい上質の味わいです。

品種:シャルドネ55%、ピノ・ノワール45%
生産地:サウス
参考小売価格:1850円(税別)
評価:「ティム・アトキンソン(Tim Atkin)」93点

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ