コラム

AOCメドックとは? シャトー・カステラの2つのヴィンテージと共に解説 ~「メドックワイン マスタークラス 2023」レポート②

メドックワイン委員会は2023年9月26日、ホテル日航大阪(大阪市中央区)で、メドックの比類なきテロワールと多様性を改めて発見するマスタークラスを開催した。

今回は、AOCメドックの解説とシャトー・カステラ(Château Castera)の2020・2016ヴィンテージのテイスティングをしたパートを紹介する。

講師を務めたのは、ホテルニューオータニ大阪のフランス料理店「SAKURA」でソムリエとして活躍する田中叡歩(あきほ)氏だ。

AOCメドックとは

AOCメドックとは、メドックにある2つの地域名AOC(Appellation d’Origine Controlee、原産地管理呼称)のうちの1つで、メドック地区の北に広がる最大級の規模を誇るAOCだ。西に20km進むと海、ジロンド川の河口までは15kmといった場所に位置し、海洋性気候で風がよく吹くのが特徴だ。

「メドックワイン委員会資料」より

栽培面積はメドックのぶどう畑の34%(5500ha)を占め、年間生産量 は3600万本を誇る。

ジロンド川につながるガロンヌ川の砂利やピレネー山脈の砂利、粘土・石灰質など、あらゆる種類の土壌があり、熟成の可能性を秘めたコクがあって色の濃いワインから、若いうちから楽しめる繊細でアロマ豊かなワインまで、多様なワインがつくられている。

小さな家族経営のワイナリーが多く、ぶどうの生産をワイナリーが行い、協同組合が醸造するという工程で生産されるワインが全体の4分の1を占めている。

シャトー・カステラのワイン

今回のマスタークラスでは、シャトー・カステラの2020年と2016年の2つのヴィンテージをテイスティングした。

シャトー・カステラとは

シャトー・カステラは、メドックで最も古いシャトーの1つで、その歴史は14世紀にさかのぼる。1986年に、ドイツのプレス一族が取得している。現在、56のシャトーが認定されている、クリュ・ブルジョワ・シュペリュールの1つだ。

ピレネー山脈の砂利に覆われているが、粘土・石灰質の土壌なのでメルローを主に栽培している。カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド、カベルネ・フランも手掛けている。

ヴィンテージ解説

2020年はビッグ・ヴィンテージと呼ばれる年だが、パンデミックと天候条件のため、栽培的には難しい年だったという。5月と6月に雨が多く、カビ(ベト病)の不安があったものの、6月末から8月の上旬までは乾燥して健全な状態に。果実は急速に成熟し、9月は暑い日が続いたが、夜は比較的気温が下がり、日夜の寒暖差があったため、最終的に理想的なヴィンテージとなった。

シャトー・カステラは、「素晴らしく成熟したぶどうを収穫できた。そのため、とても繊細で滑らかなワインが生まれた。私たちの特徴であるチェリーやブラックベリーが感じられる果実味主体のワインだ」と説明している。

2016年も、同じくビッグ・ヴィンテージの年だ。春先に湿気が多く、病害の危険性があったが、おかげで土壌の水分含有量が復活したため、夏に続いた乾燥と酷暑にも耐えるパワフルなぶどうが出来た。シャトー・カステラは、「2020年と比較するとより力強く、スパイスのニュアンスもより多く感じられる。口に含むと豊満で、より長い熟成が期待できる能力を持っている」と解説している。

シャトー・カステラ2020/2016

「メドックワイン委員会資料」より

いずれも品種構成は、メルロー65%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド5%。2020年と2016年は共通する点が多いと言われており、マスタークラスでは、4年でどのように変化したのかに注目しながらテイスティングが行われた。テイスティングコメントは、田中氏によるもの。

●2020ヴィンテージのテイスティングコメント

まだ若々しさがあり、タンニンが固い部分もあるが、華やかなガーネット色をしていて輝きがある。繊細で、果実味の強いフルーティーな味わい。フレッシュな黒系の果実の香りと黒系のスパイスの香りが調和。アタックは若いので強く、果実のジューシーなフレーバー、シルキーなタンニンが感じられる。熟成していくと、もっと調和のとれた味わいがある。

●2016ヴィンテージのテイスティングコメント

外見は若干、色が濃い。2020年と共通するものが多く、香りの構成はフルーツの現れ方とスパイスの現れ方など、ワインのシルエットが似ている。4年間熟成している分、ローストのようなボリューム感や軽いジビエのような第3アロマ(熟成によって現れる香り)が出始めている。タンニンが残っており、力強いスタイル。もう少し寝かせると、最大限のポテンシャルが引き出せそうだ。

今回は、2つあるメドックの地域名AOCの1つ、AOCメドックを紹介した。次回は、もう1つの地域名AOCであるAOCオー・メドックの解説パートを紹介する。

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①メドックの比類なきテロワールを田中叡歩ソムリエが解説! AOC・3つの格付け・段丘・土壌・品種を知ろう

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ