コラム

かつて“モンタナ”の名で知られたNZの大手ワイナリー、ブランコット・エステートの日本で買えるワイン4本 ~「THE WINE SHOW by Pernod Ricard Japan」レポート⑥

かつて“モンタナ”の名前で知られていた、ブランコット・エステート(Brancott Estate)。ニュージーランドを代表する大手ワイナリーの1つとして、世界中から愛されている。

今回は、2023年11月21日にペルノ・リカール・ジャパンが開催した「THE WINE SHOW by Pernod Ricard Japan」より、ブランコット・エステートの4本のワインを紹介する。

なお、ワイナリーの詳細については、下記のコラムで紹介している。

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品種ごとに味わうブランコット・エステートの4本のワイン

左2本が「レター」シリーズ、右2本が「クラシック」シリーズ

「クラシック」シリーズは、ブランコット・エステートのフラッグシップワインであり、ワイナリーの表現する品種やテロワールを手軽に味わえる。「レター」シリーズは、特別な年にのみにつくられる、厳選されたヴィンヤードの高品質な果実を使用したシリーズだ。

テイスティングコメントは、ペルノ・リカールによるもの。

ソーヴィニヨン・ブランの2本

ブランコット・エステートが本拠地とするマールボロは、現在ではニュージーランド最大のワイン産地であり、ソーヴィニヨン・ブランの産地としても知られている。ブランコット・エステートは1975年、この地にソーヴィニヨン・ブランを植樹。1979年にはマールボロ産ソーヴィニヨン・ブランを使用したワインを発売し、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの先駆けとなった。

ブランコット・エステート クラシック ソーヴィニヨン・ブラン

リーズナブルな価格でありながら、高い評価を受けている1本。2020ヴィンテージは、「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards:DWWA) 2021」で88ポイント、ドリンクス・ビジネス誌が主催する「グローバル・ソーヴィニヨン・ブラン・マスターズ(Drinks Business Global Sauvignon Blanc Masters) 2020」でゴールド、2021ヴィンテージは「第10回サクラアワード(“SAKURA” Japan Women’s Wine Awards 2023年)」でダイヤモンドトロフィーを受賞するなど、数々の受賞歴を誇る。

暑い夏によく冷やして飲みたくなる味わいで、ハーバルなソーヴィニヨン・ブランが好きな人におすすめしたい1本。

【テイスティングコメント】
グリーンがかった輝きを持つ、淡い麦わら色。熟れたグズベリー(西洋スグリ)やピーマンと共に、トロピカルメロンとグレープフルーツの香りが感じられます。果実味を前面に表現するワインです。熟したピーマンとグズベリーのスパイシーな味わいが、凝縮感のあるトロピカルフルーツのフレーバーに補完されています。シャープかつ生き生きとした酸味が感じられる、バランスが取れた味わい。

タイプ:白
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン
小売価格:オープン/参考小売価格:1830円(税込)

ブランコット・エステート レター・シリーズ B マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン

まろやかさの中にキレとほのかな苦みがあり、食事と合わせやすい1本。2020ヴィンテージは、「世界ソーヴィニヨン・ブラン コンクール(Concours Mondial du Sauvignon) 2021」にて金賞を受賞している。

余韻も長く、ペルノ・リカールが提案するペアリングはシーフードが中心だが、豚肉や鶏肉とも寄り添ってくれる。日本食であればアユの塩焼き、山菜の天ぷら、焼き鳥の塩味とも合わせてみたくなるワインだ。

【テイスティングコメント】
熟したピーチやパッションフルーツ、グレープフルーツ、トロピカルな風味やフレッシュシトラスの香りの奥に、唐辛子やミネラルの風味を含んだ豊かなコクのある味わいが表れます。どこまでも濃厚で奥深い風味が広がり、長い余韻をもたらします。貝類やシーフード、特にマールボロ産のモエギイガイや冷製のスモークサーモンと非常によく合います。すぐに飲んでもおいしい早飲みタイプのワインですが、さらに、3年ほどセラーで寝かせることによって、より複雑な味わいをお楽しみいただけます。

タイプ:白
ぶどう品種:ソーヴィニヨン・ブラン
小売価格:オープン/参考小売価格:3630円(税込)

ピノ・ノワールの2本

近年では、ニュージーランドを代表する赤ワイン品種となったピノ・ノワールだが、ブランコット・エステートは早くからマールボロでのピノ・ノワール栽培に着手している。

ブランコット・エステート クラシック ピノ・ノワール

飲みやすさとコクを併せ持った、価格以上の満足感が得られるピノ・ノワール。2020ヴィンテージは、DWWA 2021で88ポイントを受賞している。

【テイスティングコメント】
ガーネット色。熟したチェリーと赤いフルーツと共に、スパイシーなドライハーブの風味がアクセントとして感じられます。熟した赤いベリーの果実、ほのかなスパイス香、滑らかなタンニンというエレガントで甘い第1印象から、凝縮感のある長い余韻へと続きます。しなやかでしっかりとしたタンニンは果実の凝縮感とバランスよく調和しています。

タイプ:赤
ぶどう品種:ピノ・ノワール
小売価格:オープン/参考小売価格:1946円(税込)

ブランコット・エステート レター・シリーズ T マールボロ ピノ・ノワール

ピノ・ノワールらしい華やかさがあり、果実味とコクが深まった1本。アメリカで開催されている「クリティクス・チャレンジ・インターナショナル・ワイン・コンペティション(Critics Challenge International Wine Competition) 2019」では、2017ヴィンテージが金賞を獲得している。

【テイスティングコメント】
深みのあるガーネットの色みを持ち、ダークチェリーやブラックベリーを思わせる軽やかな香りの奥に、マッシュルームやコーヒー、スモーキーなオークをかすかに感じる複雑な香り。ベリー類の甘い風味が口中を満たすような、滑らかで豊かな味わい。スパイスと優しく芳醇なタンニンが生み出す、複雑で重層的なフィニッシュを備えています。早飲みタイプのワインですが、セラーでさらに6年ほど熟成させることで、より複雑で芳醇な味わいをお楽しみいただけます。シカやイノシシ、カモといった脂肪分の少ない肉と非常によく合います。セラーで熟成させたものは、その土臭さを生かして、マッシュルームベースの料理と合わせていただくのもおすすめです。

タイプ:赤
ぶどう品種:ピノ・ノワール
小売価格:オープン/参考小売価格:4356円(税込)

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ