フィラディスは、シャンパーニュの試飲イベント「フィラディス 泡フェス!2024」を、2024年4月8日に大阪、同月10日に東京で開催した。フィラディスの考える「アルチザン・シャンパーニュ」に該当する6人の生産者が来日し、それぞれのシャンパーニュを提供した。アルチザン・シャンパーニュのコンセプトについては、下記の記事で紹介している。
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今回は、来場していた生産者のうち、ランスロ・ピエンヌ(Lancelot Pienne)について紹介する。
ランスロ・ピエンヌとは
グラン・クリュのクラマン村で120年続くワイナリー
ランスロ・ピエンヌは、コート・デ・ブランのグラン・クリュ(特級畑)であるクラマン村のシャルドネをメインに、栽培、醸造、キュヴェの仕上げまで、自分の理想を追求し続けている、まさにアルチザン(職人的栽培醸造家)だ。
シャンパーニュでは、複数のヴィンテージをブレンドしてノンヴィンテージのワインをつくることが多い。使用する最新ヴィンテージ以外のワインをリザーブワインと呼ぶが、ランスロ・ピエンヌでは、そのワインの貯蔵にスペインのシェリー酒で使用されているソレラシステムを取り入れている。
ソレラシステムでは、最も古いワイン(ランスロ・ピエンヌでは1995年)を下にして、ヴィンテージごとに樽を積み上げ、一番下の古いワインの入った樽からボトリングする。樽から減った分を2段目にある2番目に古いヴィンテージの樽から注ぎ足し、さらにその目減りした分をその上の樽から注ぎ足していく。いわゆる秘伝のタレのような注ぎ足しシステムで、安定した高い品質や複雑な味わいを生み出している。
ランスロ氏が目指すもの
現当主のジル・ランスロ氏が目指しているのは、テロワールの表現だ。本拠地であるクラマン村は石灰質土壌からくるチョーキーさとミネラル、シュイイ村は熟成感、アヴィーズ村は生き生きとした酸が大切なポイントとのこと。樽をあえて使わず、一次熟成にステンレスタンクを使用しているのも、自然のままにピュアな味わいを表現するためだ。
ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、ランスロ・ピエンヌのワインを「複雑なクラマンのテロワールを見事に表現している」と評価している。
ランスロ・ピエンヌのワイン
ターブル・ロンド
ヴィンテージ:NV
品種:シャルドネ100%
熟成:ステンレスタンク
瓶内熟成期間:54カ月
ドザージュ(補糖):3.5g/L
希望小売価格:9600円(税別)
ランスロ氏が表現する、クラマンを堪能できる1本。クリスピーさのある爽やかなワインで、フィラディスの担当者から刺身に合うとの説明があったが、ランスロ氏は「どんな食事にも合わせやすい」と自信をのぞかせていた。
爽やかなだけではなく、太陽を感じる果実味とソレラシステムが生み出す複雑な味わいがあり、最初に口に含んだ時と余韻で異なる表情を見せてくれるワインだ。
出会えたらラッキーなワインも
会場には、上級キュヴェも用意されていたが、こちらは流通先が非常に限られているとのこと。出会えたらラッキーなワインだ。
マリー・ランスロ
ヴィンテージ:2017
品種:シャルドネ100%
熟成:ステンレスタンク
瓶内熟成期間:66カ月
ドザージュ(補糖):2.3g/L
希望小売価格:1万5300円(税別)
クラマンのシャルドネのみを使用。「クラマンを堪能する」をかなえてくれる1本だ。
クリスピーさや爽やかさがあるワインは、初夏を思わせるが、ランスロ氏は「どの季節でも最適だ」と語っていた。確かにどの季節にも合い、幅広い料理に寄り添ってくれる深い味わいだと感じられた。“職人らしさ”を堪能できるワインだ。
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