コラム

ピッソルノ・ファミリー・エステイト|“革命的”なワインづくりで大量生産ワインから脱却 ~モトックスを魅了したウルグアイのワインメーカー④

モトックスは2024年1月末から、同社としては24カ国目となるウルグアイワインの取り扱いを開始した。同年2月8日には、メディア向けにセミナーを開催。ウルグアイワインの解説と共に、4生産者11アイテムの中から6アイテムの試飲も行われた。

講師は、元ワインメーカーという経歴を持ち、現在はモトックスで南半球と日本のバイヤーを務めている内藤大氏だ。

講師を務めたバイヤーの内藤大氏

セミナーでは、なかなか日本では巡り合うことの少ない、南米の隠れた銘醸地ウルグアイのワインについて語られた。今回は、新たに取り扱いを開始したピッソルノ・ファミリー・エステイト(Pizzorno Family Estates)について紹介する。

ピッソルノ・ファミリー・エステイトとは

ピッソルノ・ファミリー・エステイトは、ウルグアイ最大のワイン産地であるカロネロスで、イタリアからの移民だった初代が1910年に設立したワイナリーだ。現在は3代目のカルロス・ピッソルノ氏が、オーナー醸造家を務めている。大量生産ワインが中心だったワイナリーをフランス人醸造家の協力を得て本格派に移行し、ウルグアイワインの輸出事業にも尽力してきた人物だ。

規模ではなく高品質なワインづくりにこだわり、世界のトレンドを取り入れた革新的なワインづくりにも挑戦している。

ピッソルノ・ファミリー・エステイトのワイン

今回、モトックスが輸入を開始したのは、ピッソルノ・ファミリー・エステイトの「マユスクラス」シリーズだ。「マユスクラス」とは、スペイン語で「大文字」を意味しており、名前をユニークなラベルで表現している。ピッソルノ・ファミリー・エステイトでは、「マユスクラス」を革命的なワインブランドとして位置付けているという。

マユスクラス タナ マセラシオン・カルボニック 2023

産地:カネロネス県
品種:タナ100%
希望小売価格:2500円(税別)
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セミナーで紹介されたワイン。ボージョレ・ヌーボーなどで行われている醸造方法で、チャーミングな味わいになるマセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法)を、真逆のイメージを持つタナで行っている。まさに、革命的なワインだ。

タンニンの由来になっているとも言われるタナだが、フランスの南西地方と比べてウルグアイのタナは、雨が多い影響で質感が柔らかく、スムーズなタンニンが感じられる。また、華やかさよりも、アーシーさがあるのも特徴だ。

マセラシオン・カルボニックを施すことで、タナのアロマを引き出し、酸味やタンニンをより穏やかに仕上げた。2023年はウルグアイ全体が干ばつに見舞われ、通常よりも重さを感じるヴィンテージとなった。そうしたヴィンテージの特徴の中に、バランスの良さや滑らかな口当たりが感じられるワインとなっている。

マユスクラス アルバリーニョ 2023

産地:カネロネス県
品種:アルバリーニョ100%
希望小売価格:2450円(税別)
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こちらはセミナーでは取り上げられなかったが、ウルグアイでは高級品種となるアルバリーニョを手頃な価格で試せるお買い得なワイン。ステンレスタンクで醗酵後、6カ月熟成させており、樽を使用するボデガ・ボウサ(Bodega Bouza)のアルバリーニョと飲み比べてみるのもおすすめだ。

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About the author /  鵜沢 シズカ
鵜沢 シズカ

J.S.A.ワインエキスパート。米フロリダ州で日本酒の販売に携わっている間に、浮気心で手を出したワインに魅了される。英語や販売・営業経験を活かしながら、ワインの魅力を伝えられたら幸せ